青春タイムトラベル ~ 昭和の街角

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「大きな古時計」物語 3

2018-06-06 | 雑学(教養)の部屋

「大きな古時計」が出版された1876年から2年後、内容的に続編となる「Sequel to "Grandfather's Clock"」が発表されました。

「Sequel」とは、文字通り「続編」を意味し、曲のタイトルは「大きな古時計 続編」となります。上の画像は、「Sequel to "Grandfather's Clock"」の当時の楽譜の表紙。2人の男が荷車に大きな古時計を乗せようとしています。この絵はおじいさんの死後、家の管理を引き継いだ誰かが、他のガラクタと一緒におじいさんの古時計まで売り払ってしまったシーンを描いたものなのです。続編では、おじいさんの孫にあたる人物の視点で、売られていくおじいさんの時計への思いが綴られます。では、その続編を早速見てみましょう。



Sequel to "Grandfather's Clock" 
/ 大きな古時計 続編

Once again have I roamed
thro' the old-fashioned house,
Where my grandfather spent his ninety years.
There are strangers in charge,
and the change they have wrought
Oh! it saddens me, even to tears.

Dear old clock! when they found
you were speechless from grief,
Then they went and swapped you off, case and all.

For that vain, stuck-up thing
(tick, tick, tick, tick, tick, tick, tick, tick),
For that vain, stuck-up thing on the wall.

Grandfather sleeps in his grave;
Strange steps resound in the hall!

And there's that vain, stuck-up thing
(tick, tick, tick, tick, tick, tick, tick, tick),
There's that vain, stuck-up thing on the wall.

While we talked of the old clock they all ran it down.
Tho' they claimed that it couldn't be made to run.
It was useless they said-- it was quite out of style;
Built, no doubt, just about the year One.
And the words echoed round, with a faint, mocking sound,
As if some one gave assent to it all;

From the clock-peddler's cart in the junk-shop it went,
Where its cog-wheels were sundered one be one;
And the brass-founder joked as they writhed in the flames--
"Melt'em up," says he; "then they will run."
There is grief in my heart, there are tears in my eyes.
Yet indignantly the sight I recall
Of that vain, stuck-up thing
(tick, tick, tick, tick, tick, tick, tick, tick),
For that vain, stuck-up thing on the wall.

"An extremely hard case!" said the junk-dealer's wife,
As she carried it for kindling wood and sighed--
That mahogany case, with its quaint, figured face,
Which so long was my grandfather's pride.
"There is hope for the small; there's a change for us all;
For the mighty ones of Time, they must fall!"
Says that vain, stuck-up thing
(tick, tick, tick, tick, tick, tick, tick, tick),
Says that vain, stuck-up thing on the wall.

 

もう一度あの古めかしい家の中をぶらついてみたよ
おじいさんが90年過ごしたあの古びた家さ
そしたら知らない奴らが管理してて
そいつらが変えてしまったことと言えば
悲しくなって涙が出そうになったよ

愛しい古時計よ
おじいさんを失くした悲しみに暮れるお前を
奴らは何もかも売り払ってしまうつもりなんだ

墓の中で眠るおじいさん
広間で変な足音が鳴り響くよ

素っ気なくお高くとまった妙な奴
新しい時計が壁に掛かっている

古時計について話している間ずっと
奴ら全員が時計をけなしていた
その古時計は役立たずで時代遅れ
疑う余地なく古臭いと
古時計をバカにする失礼な言葉
まるで皆がそう思っているかのように

おじいさんの古時計は
時計商人の荷車に乗せられた
がらくた屋に持ち込まれ
歯車1つ1つまでバラバラに解体された
「炎の中でまるで悶え苦しんでいるようだった」
真鍮の鋳物師が冗談を言っていた
「溶けてしまえば動くようになるさ」
彼は続けた
胸の内には深い悲しみ 瞳には涙
見た目は憤然としていたように見えただろうが

「なんて堅いケースなの!」
ガラクタ商人の妻が言った
焚き付け用の木材にするため
彼女がケースを運んでいった
優美な装飾を施されたマホガニーのケースは
長い間私の祖父の誇りでもあった
小型の新しい時計には希望があり
私達に変化をもたらしている
強大な時の流れには
逆らえないということなのか

 

とても悲しい内容の続編です。おじいさんが生前大切にしていたあの大きな古時計が、なんとガラクタ扱いで売り払われ、バラバラに解体されてしまうというショッキングなストーリーです。

作曲者は、前作「大きな古時計」と同じくヘンリー・ワーク。前作のようなヒットはしませんでしたが、レトロで優しい雰囲気が漂い、ワーク独特の温か味のあるメロディーに仕上がっている作品です。では、そのメロディを忠実に聴いてみましょう。

 

「大きな古時計 続編」を聴く!

 

3回に渡ってお送りして来ました「大きな古時計」物語。お楽しみ頂けましたでしょうか?音楽には人の心を打つものがあり、その曲が作られた背景を知れば知るほど、楽しめるものです。音楽に国境はありません。


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