豊中市&吹田市の千里丘陵に整備された「千里ニュータウン」は、1962年に開かれた日本初の大規模ニュータウン。すぐ近くで1970年に大阪万博が開催され、「千里セルシー」は1972年の開業以来、多くの人々に愛されて来ました。ところが、2013年に施行された改正耐震改修促進法の耐震診断の結果により、「震度6強から7の地震で倒壊、または崩壊する危険性が高い」と診断され、施設の老朽化もあって、2019年5月31日をもって商業施設としての役目を終えました。
これは今週撮影した千里セルシーの姿ですが、2019年5月31日の閉館以来、何も変わっていません。施設の解体すら始まっておらず、全く放置されている状態です。確かに閉館半年後から、誰も予期しなかったコロナ禍となりましたが、実はこの先どうなるかも未定なのです。
「千里中央」駅北側には住友商事主導による商業施設とタワーマンション、西側には「イオンSENRITO専門館」や52階建てのタワーマンションなどがすでに完成しているものの、千里セルシーと隣接する百貨店「千里阪急」とを一体的に建て替え、跡地に10万㎡を超える大型商業施設の新設という再開発計画が明るみに出たのはセルシー閉館前だったのですが・・。
現在はセルシー広場も含み、セルシーは大部分が立ち入り禁止となっています。阪急バスのターミナルでもある、この千里中央の中心の横断歩道も閑散としています。
千里セルシーを管理する阪急阪神ビルマネジメントによると、「再開発を検討している段階であり、具体的なことはなにも決まっていない」とのこと。
2023年度には北大阪急行電鉄が箕面萱野駅まで延伸。大阪大学や箕面市民病院の移設も現在着々と進んでいますので、箕面等の千里中央の北側からのアクセス性の向上が期待できますが、これまで終端駅であった千里中央駅へのアクセスを担っていた阪急路線バスの再編は必至。それを見越しての分散しているバスターミナルを集約する必要もあるでしょう。
当然千里中央を取り巻く周辺環境の激変により、土地価格も大きく変動することが予想されるものの、どの程度の高騰が起きるのか?そのあたりの水面下の事情と併せて、今は下手な開発計画に着工出来ないというのが現実なのかも知れません。
しかし、住民が高齢化しているのに、5階建てでエレベーターも無い千里ニュータウンの団地群からは人が流出しており、明らかに街の活気が失われています。その上、街の中心にある千里中央の象徴であるセルシーまでもが中途半端に廃墟として放置されていては、せっかく大阪モノレールとのアクセスを得たにも関わらず、益々さびれて行くだけです。
大阪大学や箕面市民病院に近く、大阪市内へのアクセスも容易な場所だけに、まさかこの辺り一帯全てを高層タワーマンション化するわけでもないでしょうが、果たして一体どうなるのか?とにかく、かつては人で溢れて活気のあったこの場所が、このまま終わって行くことだけは避けてほしいと思うのですが・・・。