僕が小学生だった昭和40年代はじめ。年に1回、数年間「社会見学」がありました。
もう記憶も定かではありませんが、中でも印象に残っているのは警察所、消防署。消防署では火の見やぐらにも上りました。新聞社では今は無くなった職業、「活字」を1文字1文字ピンセットで拾って、新聞の印刷原紙を組んでいく所や輪転機が回る所も見ました。勿論新聞記者の方から取材の話も聞きました。ダイハツや本田のコンピュータ制御された、当時最新の工場も見学しました。面白かったり、ワクワクしたり、社会見学は楽しかった。
写真は第一屋製パン大阪空港工場を、小学生が見学した時のもので、昭和53年(1978年)撮影。社会見学に来た小学生に、食パンの製造ラインの説明を行っている所です。「第一パン」で知られる第一屋製パンは、昭和48年に大阪空港工場を開きました。
今も子供たちに「社会見学」はあるのでしょうか?
今、「社会体験学習」というものが子供たちに行われています。コンビニやスーパーで働く経験を積んだりするものです。受け入れ側の企業の都合も考えず、児童だけが約束の時間の30分から1時間前にやって来て、企業の仕事の邪魔をしたり、先生がそもそも社会経験がありませんので、いろんな迷惑を掛けて来ます。これって必要なのか?と何度も思ったことがあります。
多くの人子供たちが体験するものは、高校生にでもなればアルバイトで経験出来ることばかりです。更に口汚く言えば、誰にでも出来る下々の仕事。子供の時から働きアリになれと教えるような体験が、本当に必要なのでしょうか?
人の命を救う現場、誰かを助ける現場、人の上に立つような収入もやりがいもあるような現場・・子供たちが「いつかこんな仕事をしたい」というものを見せるなら分かるのですが、そうではない体験をさせてどうするのでしょう?自分の子供がコンビニでの仕事を数日体験し、大きくなったらコンビニで働きたい。「いろんなお菓子や食べ物があって、店内整理は勉強よりも面白かった」等と言い出したらどうするのでしょう。
不必要なことは止めるべき・・世の中にはそういうものが多過ぎると思います。