今季(22年上半期、第167回)の芥川賞受賞作である高瀬隼子さんの「おいしいごはんが食べられますように」を読んだが、感想は、「いやはや・・・」の一語につきる。
あるラベル製作会社の支店で働く人々を描いた作品だが、登場人物の底意地の悪さに辟易させられる。
差し入れられた手作りケーキを(毎回)捨てる人間がいるかと思えば、それをゴミ袋から取り出して来て(差し入れた)人の机上に置いておくという意地悪をする。しかも、ケーキの作り手と捨てる人間とは、(深い)恋愛関係にあるという。
つまり、現代人のモラル欠如を地で行くような事柄が延々と描かれているのだが、何故そうした作品が権威ある賞に値するのか不思議だ。
このところ毎回、そんな感想を持っているのであまり驚かなかったが、いずれにせよ、読後に少しは「さすがに受賞作は違うな」と言えるような作品を選んで欲しかった。