2021年上半期第165回直木賞候補作。
第1話を「小説現代」2018年8月号に掲載、以下書き下ろし。334頁の大作。
息子夫婦の不仲に心を痛める庄左衛門であったが、崖からの墜死によって郡方の息子を失うと、一人残された嫁との関係に悩みながらも、再び、郡方として出仕することになった・・・。
抑制の効いたストーリー展開と運筆の静かなたたずまいは、酷暑の中にあっても読書の楽しみを味わうに足るものであった。
主人公の置かれた立場は異なるのだが、藤沢周平氏の傑作「三屋清左衛門残日録」を想い起こさせた。ご一読をお勧めします。(お勧め度:★★★)