2018年上半期第159回直木賞受賞作。
「別冊文藝春秋」2016年7月~2018年1月号連載、299頁。
「動機はそちらで見つけてください」。
父親を刺殺した容疑で逮捕された女子大生「環菜」の台詞は、驚きをもって迎えられた・・・。
児童虐待が及ぼす広く深い影響を、彼女の家族、生い立ちや友人関係等を通して解明して行く過程を興味深く読んだ。
久しぶりに緊張感を強いられる読書であった。勿論、(排尿機能改善のための)入院加療中に読んだということからかも知れない。
選者評:伊集院静氏
「作品のテーマ、構成、展開、登場人物それぞれの存在感、そして何よりこの作家だけが持つ、どのセンテンスからも伝わって来る叙情の込もった文章が、今回の候補作の中で群を抜いていた。とくに本作で感心したのは主人公・真壁由紀から感じられた、内面に潜む、戸惑い、不安の表現であった。」