2月11日、第8回ミーティングをはじめて神戸で行いました。性感染症予防啓発ボランティアBASE KOBEの繁内さんをお迎えして、28名の参加者と一緒にお話を伺いました。関西一円からだけでなく遠く中国、九州、東京からも来てくださっていました。あるNHKの記者さんもご自身の勉強のためにと参加してくださいました。
はじめてご参加のご夫婦がいらっしゃいました。お子さんが性同一性障害で今は男性として暮らしておられるということですが、戸籍の性を変えるにあたってもう一度お父様に名前を考えてほしいと頼まれたそうです。5人のお子さんがいらっしゃってみなさんのお名前をお父様がつけてこられたとのこと。今になってまた名前を考えることになるとは夢にも思わなかったけれど、また一生懸命考えましたと語ってくださいました。戸惑った経緯もおありだと思いますが、ご夫婦でお子さんの新たな人生を応援しておられるお気持ちが伝わってきて、心からうれしくなりました。
繁内さんのお話は、ご自身にとって1.17には二つの意味があるということから始まりました。一つは1995年の阪神淡路大震災。そしてもう一つはさかのぼって1985年、日本ではじめて日本国籍の女性エイズ患者が神戸で確認された日、それが同じ1.17だったそうです。神戸がそのような街であったことを私は繁内さんのご活動からはじめて知りました。エイズの予防と支援は車の両輪であり、その両輪を走らせるレールは性的少数者の人権の推進だということ、そして何よりも様々なところから発信されているエイズ対策の誤ったメッセージがHIV陽性者をより生きにくくしていることなど、その迫力あるお話にはもう一度考え直さなければと思うことが多々ありました。例えば「エイズはかかりにくい病気です」というメッセージを送ることによって「かかった人はちゃんとしていなかったから自業自得だ」という非難を感染者に投げつけることになる、また非感染者が感染者を支える、強者が弱者を支えるという対立的な考えがさらに差別を助長することになるなど、気づかない場合が多いと思います。難しくてうまく言えないのですが、決して他人事ではなく、同じ社会に生きるものとして理解し合う、そのような姿勢を培っていかなければならないということでしょうか。このようなお話もありました。マザーテレサがある人から「なぜあなたのような方が反戦運動に参加されないのですか」と訊ねられた時、「私はノーという活動よりイエスという活動をしたいのです。平和を作ろうという活動ならいつでも参加します」と応えたとか。繁内さんは中学生に対して、レッドリボンはHIVだけでなくすべての差別や偏見に対して私は心を開いていますという「誇り」としてつけてほしいと教えるそうです。最後に繁内さんのサイトから“レッドリボンをつけよう”というページをご紹介します。HIVについて、そして差別ということについてもう一度考えてみたいと思います。
■レッドリボンをつけよう■
レッドリボンは、HIV感染症への理解と支援のシンボルです。
このリボンを着けることによって、HIV感染症に対する差別、偏見をなくそうという気持ちを表します。
私は、学校などで、「HIV陽性者の皆さんを支援したいのですが、何をすればいいですか?」という質問を受けることがよくあります。これは、HIV陽性者は、世間から差別と偏見にさらされている立場の弱い方だから、それを学んだ私たちは、何か支援する必要があるというものです。
全てのHIV陽性者の皆さんは、本当に弱い立ち場の人でしょうか?全ての陽性者は、本当に支援を必要としているのでしょうか?
そう考える背景には、私たちは感染していない(自分たちは感染していないし、今後もしないと思っている)から感染者の人よりも強い立場で、弱い立場の人を助けることはいいことだと、安易に子供たちに押し付けようとする大人の無理解があるように思えます。
そんなことをしていれば、「感染すれば差別される」と言っているようなもので、それでは、感染による差別を怖れて、ますます検査に行きにくくなる社会を作ってしまいます。つまり、HIV陽性者の仲間を、対等の立場で見るということを想定していないところに問題があります。
支援の基本は、足らずを補い、自立を促し、ともに生きることです。足らずは、本人にしか分かりません。必要以上に与えることがいいとは言えないという、当然のことを逸したエイズ教育は、結果として、ますますHIV感染症とともに生きる社会を阻害しているということを思うと、本当に残念でなりません。
普通に接すると言っても、HIV陽性者は、顔を出しにくい人たちである現状もありますから、レッドリボンを着けることで、HIVとともに生きている皆さんに対して、『私にいつでも声を掛けてください=私は心の窓を開いています』というメッセージを、いつも発信していることが大事なのだと思います。
わが国でも、あなたの身近な人たちの間に、HIV感染症は、静かに、確実に広がっています。もし、感染が確認された直後に、レッドリボンを着けたあなたが傍にいたとしたら、どんなに心強いでしょうか?
私たちは、そんな想いを持って、レッドリボンを着ける仲間が増えることを願います。そして、いっしょに、HIVとともに生きることのできる、心優しい市民社会を目指しましょう。それが、私たちが、HIVに打ち勝つことのできる唯一の方策なのでしょう。
性感染症予防啓発ボランティア BASE KOBE 代表 繁内幸治
☆第9回ミーティングは次のように決まりました。
日時;3月25日(日)1時半~4時半
場所;神戸市立総合福祉センター(TEL.078-351-1461)
・内容など詳しくはホームページに掲載いたします。どなたでもご参加いただけます。
はじめてご参加のご夫婦がいらっしゃいました。お子さんが性同一性障害で今は男性として暮らしておられるということですが、戸籍の性を変えるにあたってもう一度お父様に名前を考えてほしいと頼まれたそうです。5人のお子さんがいらっしゃってみなさんのお名前をお父様がつけてこられたとのこと。今になってまた名前を考えることになるとは夢にも思わなかったけれど、また一生懸命考えましたと語ってくださいました。戸惑った経緯もおありだと思いますが、ご夫婦でお子さんの新たな人生を応援しておられるお気持ちが伝わってきて、心からうれしくなりました。
繁内さんのお話は、ご自身にとって1.17には二つの意味があるということから始まりました。一つは1995年の阪神淡路大震災。そしてもう一つはさかのぼって1985年、日本ではじめて日本国籍の女性エイズ患者が神戸で確認された日、それが同じ1.17だったそうです。神戸がそのような街であったことを私は繁内さんのご活動からはじめて知りました。エイズの予防と支援は車の両輪であり、その両輪を走らせるレールは性的少数者の人権の推進だということ、そして何よりも様々なところから発信されているエイズ対策の誤ったメッセージがHIV陽性者をより生きにくくしていることなど、その迫力あるお話にはもう一度考え直さなければと思うことが多々ありました。例えば「エイズはかかりにくい病気です」というメッセージを送ることによって「かかった人はちゃんとしていなかったから自業自得だ」という非難を感染者に投げつけることになる、また非感染者が感染者を支える、強者が弱者を支えるという対立的な考えがさらに差別を助長することになるなど、気づかない場合が多いと思います。難しくてうまく言えないのですが、決して他人事ではなく、同じ社会に生きるものとして理解し合う、そのような姿勢を培っていかなければならないということでしょうか。このようなお話もありました。マザーテレサがある人から「なぜあなたのような方が反戦運動に参加されないのですか」と訊ねられた時、「私はノーという活動よりイエスという活動をしたいのです。平和を作ろうという活動ならいつでも参加します」と応えたとか。繁内さんは中学生に対して、レッドリボンはHIVだけでなくすべての差別や偏見に対して私は心を開いていますという「誇り」としてつけてほしいと教えるそうです。最後に繁内さんのサイトから“レッドリボンをつけよう”というページをご紹介します。HIVについて、そして差別ということについてもう一度考えてみたいと思います。
■レッドリボンをつけよう■
レッドリボンは、HIV感染症への理解と支援のシンボルです。
このリボンを着けることによって、HIV感染症に対する差別、偏見をなくそうという気持ちを表します。
私は、学校などで、「HIV陽性者の皆さんを支援したいのですが、何をすればいいですか?」という質問を受けることがよくあります。これは、HIV陽性者は、世間から差別と偏見にさらされている立場の弱い方だから、それを学んだ私たちは、何か支援する必要があるというものです。
全てのHIV陽性者の皆さんは、本当に弱い立ち場の人でしょうか?全ての陽性者は、本当に支援を必要としているのでしょうか?
そう考える背景には、私たちは感染していない(自分たちは感染していないし、今後もしないと思っている)から感染者の人よりも強い立場で、弱い立場の人を助けることはいいことだと、安易に子供たちに押し付けようとする大人の無理解があるように思えます。
そんなことをしていれば、「感染すれば差別される」と言っているようなもので、それでは、感染による差別を怖れて、ますます検査に行きにくくなる社会を作ってしまいます。つまり、HIV陽性者の仲間を、対等の立場で見るということを想定していないところに問題があります。
支援の基本は、足らずを補い、自立を促し、ともに生きることです。足らずは、本人にしか分かりません。必要以上に与えることがいいとは言えないという、当然のことを逸したエイズ教育は、結果として、ますますHIV感染症とともに生きる社会を阻害しているということを思うと、本当に残念でなりません。
普通に接すると言っても、HIV陽性者は、顔を出しにくい人たちである現状もありますから、レッドリボンを着けることで、HIVとともに生きている皆さんに対して、『私にいつでも声を掛けてください=私は心の窓を開いています』というメッセージを、いつも発信していることが大事なのだと思います。
わが国でも、あなたの身近な人たちの間に、HIV感染症は、静かに、確実に広がっています。もし、感染が確認された直後に、レッドリボンを着けたあなたが傍にいたとしたら、どんなに心強いでしょうか?
私たちは、そんな想いを持って、レッドリボンを着ける仲間が増えることを願います。そして、いっしょに、HIVとともに生きることのできる、心優しい市民社会を目指しましょう。それが、私たちが、HIVに打ち勝つことのできる唯一の方策なのでしょう。
性感染症予防啓発ボランティア BASE KOBE 代表 繁内幸治
☆第9回ミーティングは次のように決まりました。
日時;3月25日(日)1時半~4時半
場所;神戸市立総合福祉センター(TEL.078-351-1461)
・内容など詳しくはホームページに掲載いたします。どなたでもご参加いただけます。