LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

帆にはらむ風

2006年06月21日 | Weblog
尾辻さんのアメリカ研修記を読んでいます。日本にいてもアメリカの様子が写真を通して手に取るようにわかり、インターネットってすごいなと今更ながら思います。同時進行で世界を感じることができます。

本やネットで海外の様子は知っていましたが、パレードやフェスティバルに集まるあの人の多さは驚きです。みんな堂々とカミングアウトして普通に暮らしている。ゲイやレズビアンのカップルが普通に子どもを育てながら、パレードにも参加している。ヒューマンライツ・キャンペーンやP-FLAG、その他様々な組織が様々な人々の人権を訴え、守り、活動している。ゲイ・パワーの強さは今では常に政治を二分するほど。

でも、もう一方では同性婚を禁止するための憲法修正案を何が何でも通そうとする動きもある。日本ではまだまだカミングアウトする人が少ないので、問題が可視化されていないことが偏見や差別の大きな理由となっていますが、あれほど多くの人がカミングアウトし、普通に暮らしている、つまりすぐ隣に当事者がいるにもかかわらず、その人たちの権利を認めようとしない、そんな動きがある。これは一体何なのだろうと考えてしまいます。宗教の力でしょうか? それとも単なる人間のレベルの低さ? つまり人を思いやる心が欠如しているのでしょうか・・?

考えてみれば、どんなことでもすべての人が賛成することなどありえないわけです。それはそれで自由なのですから。この反勢力は、たとえば船が前進するときに帆にはらむ風のようなものなのかもしれません。要はその風をさわやかに受けながら、それ以上の力で前に進めばいいのです。日本でもみんなの力を集めて早く船を前進させなければ。残念ながらまだ風は感じられていません。

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希望の光

2006年06月18日 | Weblog
活動を始めて5ヶ月がたち、多くの人と知り合うことができました。その中には、ご本人がセクシュアルマイノリティでもなく、その家族でもないのに、そして他にお仕事もお持ちなのに、応援してくださる人がいます。

彼女はアメリカの大学で日本語を教えておられるのですが、5月に日本に帰られた折には、地元のカルチャー講座で「性的マイノリティと人権、教育」と題する講演をしてくださいました。誰から頼まれたわけでもないのに、学校関係者に宛てて自ら50通ものDMを書かれたそうです。ただ正義感から・・とおっしゃっていましたが、ほんとうに頭が下がります。

彼女と知り合ったきっかけは、「Rainbow High」というアメリカで結構売れているという小説でした。これは「Rainbow Boys」「Rainbow Road」と合わせて3部作なのですが、「・・Boys」はベストセラーになったそうです。ゲイの高校生3人の友情と恋愛の物語なのですが、アメリカの今の子ども事情や、家庭、教育、社会がそのまま描かれています。また全米中の学校に広がっているGSA(ゲイ・ストレート・アライアンス)というマイノリティとマジョリティが一緒に活動しているクラブのことや、P-FLAGというアメリカの親の会も出てきます。彼らのカミングアウト、そして彼らを取り巻く親や教師、友人たちが少しずつ理解していく様子がポジティブに描かれています。またHIVにも話は及び、出遅れている日本にとってはいいきっかけになりそうな本です。それを翻訳したいと奔走しているのが彼女なのです。他にも奔走してくださる方がいて、可能性が出てきました。もし出版されたら、皆さんに是非読んでいただきたいです。

それからいくつかの新聞社の記者さん、彼女たちも(不思議と彼女ばかりですが・・)一個人として関心を持ってくださり、この会やみなさんのお役に立てればと言ってくださいます。

またカミングアウト・コンサルタントのかじよしみさんも、ニューヨーク大学で学ばれた知識と経験で私たちを支えてくださっています。

もし私が子どもからカミングアウトされていなかったら、そしてこの問題を知ったら、はたしてこの人たちのように動き始めていただろうか。親であったからこそ、動かずにはいられなかったのだと思います。今の日本の社会にこのような方々がいらっしゃることは、この問題に取り組んでいく上で、大きな希望の光です。未来は明るいです。そしてその未来はそんなに遠くはないように思えます。

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ラヴ・ユー・フォーエバー

2006年06月07日 | Weblog
いい絵本を見つけました。ロバート・マンチ作、乃木りか訳。
アメリカの超ベストセラー絵本。親子とはこんなもの・・でありたい。

    『ラヴ・ユー・フォーエバー』

おかあさんは うまれたばかりの あかちゃんを だっこしています。
ゆっくり、やさしく、あやしています。
ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。
そして、あかちゃんを だっこしながら、
あかあさんは うたいだします。

アイ・ラヴ・ユー いつまでも
アイ・ラヴ・ユー どんなときも
わたしが いきているかぎり
あなたは ずっと わたしのあかちゃん

あかちゃんは 大きくなります。どんどん、どんどん
大きくなります。大きくなって
2さいになり、・・・
9さいになり、・・・(略)
ティーンエイジャーになりました。
ティーンエイジャーの しょうねんは
へんな ともだちを つくり、へんな ふくをきて、
へんな おんがくを きいています。
ときどき、 おかあさんは おもいます。
「まるで どうぶつえんに いるみたいだわ!」

でも、よるになり、しょうねんが ねむりにつくと、
おかあさんは こどものへやの ドアをあけ、
そうっと ベッドのところまで ちかづいていくのです。
そして、こどもが ぐっすり ねむっているのを たしかめると、
その 大きな 大きな こどもを だっこします。
ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。
そして、おかあさんは うたいだします。

アイ・ラヴ・ユー いつまでも
アイ・ラヴ・ユー どんなときも
わたしが いきている かぎり
あなたは ずっと わたしのあかちゃん

しょうねんは 大きくなります。
どんどん、どんどん、大きくなります。
大きくなって、おとなに なりました。
おとなになった むすこは、いえをでて
となりまちに すむように なりました。

でも、よるになり、あたりが まっくらになると、
ときどき おかあさんは くるまにのって、
となりまちまで でかけるのでした。

そして、もし、むすこのいえの あかりが すべて きえていたら、
おかあさんは しんしつの まどをあけ、
そうっと ベッドのところまで ちかづいていくのです。
そして、むすこが ぐっすり ねむっているのを たしかめると、
その りっぱな おとなになったむすこを だっこします。
ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。
そして、おかあさんは うたいだします。

アイ・ラヴ・ユー いつまでも
アイ・ラヴ・ユー どんなときも
わたしが いきているかぎり
あなたは ずっと わたしのあかちゃん

そして、おかあさんは、としをとりました。
どんどん、どんどん、としをとっていきました。
あるひ、おかあさんは
むすこに でんわをかけて いいました。
「あいに きてちょうだい。
 すっかり としをとって、
 げんきが なくなってしまったわ」

むすこは おかあさんに あいに いきました。
おかあさんのへやに はいろうとすると、
おかあさんは うたを うたおうと
しているところでした。

アイ・ラヴ・ユー いつまでも
アイ・ラヴ・ユ- どんなときも

でも、そのあとを つづけることが できません。
おかあさんは すっかりとしをとって、
げんきが なくなってしまったので、
もう うたうことが できないのでした。

むすこは おかあさんのへやに はいりました。
そして、おかあさんを だっこしました。
ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。
そして、むすこは うたいだしました。

アイ・ラヴ・ユー いつまでも
アイ・ラヴ・ユー どんなときも
ぼくが いきている かぎり
あなたは ずっと ぼくのおかあさん

そのよる、じぶんのいえに かえった むすこは、
しばらくのあいだ、
しんしつのまえで たちどまっていました。

それから、へやに はいりました。
そこには、まだうまれたばかりの おんなのこが ねむっています。
かれは、あかちゃんをだっこして、
ゆっくり、やさしく、あやしだしました。
ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり、ゆらーり。
そして、あかちゃんを だっこしながら、うたいました。

アイ・ラヴ・ユー いつまでも
アイ・ラヴ・ユー どんなときも
ぼくが いきているかぎり
おまえは ずっと ぼくのあかちゃん 


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講演会に参加して

2006年06月04日 | Weblog
6月2日(金)、この会を強力サポートしてくださっている大阪府議の尾辻かな子さんの講演会が関西学院大学で行われました。驚いたことに参加者の半数近くはセクシュアルマイノリティの人を知っているという人たち、つまり直接的であれ間接的であれ、何らかの形で誰かからカミングアウトされている人たちでした。ですから「性同一性障害と同性愛の違いは?」という問いかけにも「知っている」という人が多く、尾辻さんがよくマスコミから「尾辻さんには診断書はあるのですか?」という質問を受けるという話にも笑いが起こるほどでした。

このような人たちがこの講演会に参加した理由は、周りにいるセクシュアルマイノリティの友人なり、家族なりをもっと理解したいという気持ちがあるからなのでしょうか。この講演会でさらに詳しい性の知識を得、また社会の状況や世界の趨勢を知った彼らの周りでは、さらにこの問題についての認知が進むだろうと思われます。また初めての人にとってはきっと、今まで信じきっていた間違った性の知識を覆されるショッキングな話だったのではないかと思います。

私もこれまでに何人かの友人にこの話をしているのですが、「私、カミングアウトされたのよ」というと、「ねえ、カミングアウトって聞いたことあるけど、一体どういう意味?」という質問が返ってくるのです。そこで私が得た知識をあれこれと話すと、ほとんどの友人が「ぜんぜん知らなかった!」「教えてもらってよかった!」「自分の世界が広がった!」「もっとみんなに知らせないと・・」「応援するよ」とまで言ってくれます。「もし自分の子どもが当事者だったら?」と聞くと「きっと自分も応援すると思う」と言うのです。

確かに今の社会はカミングアウトしにくい社会だと言えます。正しい認識がない上に、マスコミの報道等で「笑い」のネタになっているわけですから。でもそのマスコミも、一方では「禁断の同性愛の楽園」と書き、アカデミー賞受賞作の映画「ブロークバックマウンテン」を「男同士の禁断の愛を描いた問題作」と書きながら、もう一方では「同性愛、依然根強い偏見」「社会全体の問題として考える必要があるのでは・・」「不断の人権啓発活動が必要」などと書いています。誰かがまじめに声を上げたところでは確実に認知が進むのです。

ひとりでも多くの人が声を上げること、行動を起こすこと、それがこの問題の解決に繋がっていくのだと実感しています。当事者やその親や家族はもちろん、この問題に触れた人たちの一声が波紋となって社会全体に広がっていくことを考えると、たった一人のカミングアウトの価値はとてつもなく大きいといえるでしょう。そしてその勇気ある行動を受けた親が、友人が、次へとバトンタッチしていくこと、これも欠くことができません。

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