★5月25日(日)に行われたNPO法人フェミニストカウンセリング学会京都大会でのワークショップは、12名の参加者でした。
はじめにAGPの平田さんから「カミングアウトされた親が受容に至るプロセス」のお話があり、引き続き二人の母親の体験を聞いていただきました。また東京と神戸から駆けつけてくださった二人のお父さまは、「LGBTの父親をつなぐ会」を作りたいという冗談(本気・・?)も交えながら父親の気持ちを語ってくださいました(大爆笑でした)。
参加者からは「数年間このテーマがなかったので待ちわびていた」「カウンセラーにとっては大事なセクションなので、もっと参加者があってもよかったと思う」「電話相談を受けている、もっと深く知りたい」「来年もぜひ続けてほしい」などの声をいただき、来年への期待を感じました。
このくらいの人数だとあまり緊張せずお話ができ、みなさんのご意見もゆっくりと聞くことができました。「つなぐ会」が始まったころは10人前後でしたので、ワークショップのリラックスした雰囲気に、ついその頃をなつかしく思い出しました。
このワークショップの発題者となってくださった会のお母さまからご報告が届きましたので、お読みください。
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ワークショップ:「性的マイノリティの子どもにカミングアウトされた時」
L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシュアル)T(トランスジェンダー)など性的マイノリティの人たちにとって、今の社会はホモフォビア(同性愛者に対する偏見・差別感)を始めとした間違った偏見や誤解があるために、人権が守られ安心して暮らせる社会とは言い難い。一昨年性的マイノリティの子どもからカミングアウトされた親たちが立ち上げた「LGBTの家族と友人をつなぐ会」(以下「つなぐ会」)では、ほぼ月1回の定例会を開催してきた。同じようにカミングアウトを受けて悩み苦しんだ親同士で支え合い、少しでも性的マイノリティにとって生きやすい社会になるようにと活動している。
性的マイノリティの子どもからカミングアウトされた時、多くの親は「喪失」体験に近い経験をし、「悲嘆」に似た心理状態になる。子どもがどこか別の知らないところへ行ってしまったような感覚におそわれたり、子どもがそのような仕打ちを自分に対して仕掛けてきたような気持ちに陥ることもあるという。そして、ショック→否認→罪悪感に悩み苦しむ。この時期に、親のせいではないと伝えることがきわめて重要で、性指向、性自認を決定づける要因については未だにはっきりとはわかってはいないことを伝えたり、親の体験が書かれた本や冊子を読むように勧めたり、心理教育的なアプローチが有用に働く。
その後、多くの親は他者との対話を欲するようになり、自分の感じている感情を認め始めるようになる。この時が、親がもっとも開かれていく時期で、渦巻いていた様々な感情が表現されるようになる。こういった感情を体験し表現するための十分な時間を保障することが大切である。しかし、こうした経緯を経ながらも、すべての親が受容の段階まで進むのではなく、サポーティブな態度を取る親もいれば、もうこれ以上はごめんだという親、慢性的な闘争状態を続ける親もいる。
「つなぐ会」に参加して来られる親は、否認、罪悪感、感情の表出の段階で、自分を責めたり、子どもを責めたりしていることが多い。同じ悩みや苦しみを経験した親と思いを共有することで、罪悪感を払拭し、十分に感情を表現し認めてもらうことで受容の段階に進むことが多いように思う。また並行して、カミングアウトに悩む子ども立場の人たちが、親が悩みつつも受け入れていく段階を垣間見ることによって、親との距離を縮めるべくカミングアウトに向けて動いていくのもこの会ならではの効用である。
FC大会では数年ぶりに復活した性的マイノリティのワークショップだったが、性的マイノリティと一括りにしたことで、多少の混乱があった。参加者からは、セクシュアリティを語る時のジェンダーの視点による葛藤や、セクシュアリティとジェンダーの関係について考えたいなど次回に向けての問題提議が出された。
はじめにAGPの平田さんから「カミングアウトされた親が受容に至るプロセス」のお話があり、引き続き二人の母親の体験を聞いていただきました。また東京と神戸から駆けつけてくださった二人のお父さまは、「LGBTの父親をつなぐ会」を作りたいという冗談(本気・・?)も交えながら父親の気持ちを語ってくださいました(大爆笑でした)。
参加者からは「数年間このテーマがなかったので待ちわびていた」「カウンセラーにとっては大事なセクションなので、もっと参加者があってもよかったと思う」「電話相談を受けている、もっと深く知りたい」「来年もぜひ続けてほしい」などの声をいただき、来年への期待を感じました。
このくらいの人数だとあまり緊張せずお話ができ、みなさんのご意見もゆっくりと聞くことができました。「つなぐ会」が始まったころは10人前後でしたので、ワークショップのリラックスした雰囲気に、ついその頃をなつかしく思い出しました。
このワークショップの発題者となってくださった会のお母さまからご報告が届きましたので、お読みください。
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ワークショップ:「性的マイノリティの子どもにカミングアウトされた時」
L(レズビアン)G(ゲイ)B(バイセクシュアル)T(トランスジェンダー)など性的マイノリティの人たちにとって、今の社会はホモフォビア(同性愛者に対する偏見・差別感)を始めとした間違った偏見や誤解があるために、人権が守られ安心して暮らせる社会とは言い難い。一昨年性的マイノリティの子どもからカミングアウトされた親たちが立ち上げた「LGBTの家族と友人をつなぐ会」(以下「つなぐ会」)では、ほぼ月1回の定例会を開催してきた。同じようにカミングアウトを受けて悩み苦しんだ親同士で支え合い、少しでも性的マイノリティにとって生きやすい社会になるようにと活動している。
性的マイノリティの子どもからカミングアウトされた時、多くの親は「喪失」体験に近い経験をし、「悲嘆」に似た心理状態になる。子どもがどこか別の知らないところへ行ってしまったような感覚におそわれたり、子どもがそのような仕打ちを自分に対して仕掛けてきたような気持ちに陥ることもあるという。そして、ショック→否認→罪悪感に悩み苦しむ。この時期に、親のせいではないと伝えることがきわめて重要で、性指向、性自認を決定づける要因については未だにはっきりとはわかってはいないことを伝えたり、親の体験が書かれた本や冊子を読むように勧めたり、心理教育的なアプローチが有用に働く。
その後、多くの親は他者との対話を欲するようになり、自分の感じている感情を認め始めるようになる。この時が、親がもっとも開かれていく時期で、渦巻いていた様々な感情が表現されるようになる。こういった感情を体験し表現するための十分な時間を保障することが大切である。しかし、こうした経緯を経ながらも、すべての親が受容の段階まで進むのではなく、サポーティブな態度を取る親もいれば、もうこれ以上はごめんだという親、慢性的な闘争状態を続ける親もいる。
「つなぐ会」に参加して来られる親は、否認、罪悪感、感情の表出の段階で、自分を責めたり、子どもを責めたりしていることが多い。同じ悩みや苦しみを経験した親と思いを共有することで、罪悪感を払拭し、十分に感情を表現し認めてもらうことで受容の段階に進むことが多いように思う。また並行して、カミングアウトに悩む子ども立場の人たちが、親が悩みつつも受け入れていく段階を垣間見ることによって、親との距離を縮めるべくカミングアウトに向けて動いていくのもこの会ならではの効用である。
FC大会では数年ぶりに復活した性的マイノリティのワークショップだったが、性的マイノリティと一括りにしたことで、多少の混乱があった。参加者からは、セクシュアリティを語る時のジェンダーの視点による葛藤や、セクシュアリティとジェンダーの関係について考えたいなど次回に向けての問題提議が出された。