10月31日(土)、神戸市男女共同参画センターの「あすてっぷ登録グループによる企画発信DAY」に、セミナー『教育現場におけるLGBTの子どもたちの支援を考える』を開きました。今回は大きな会場が借りれず、「消防法の関係上必ず定員以内で!」とも言われていましたので、あまり宣伝して入れなくなったらどうしよう・・という心配もありましたが(笑)、参加者は21名、始めて参加してくださった方が7名でした。AGP(同性愛者医療・福祉・教育・カウンセリング専門家会議)共同代表の平田俊明さんをお迎えし、
「It’s Elementary : Talking about Gay Issues in School」というビデオと米国におけるLGBTユース・サポートの現状についてのお話をお聞きし、後半はグループに分かれて意見や感想などを話し合いました。
このビデはアメリカの4つの小学校におけるLGBT教育の様子を紹介したもので、1996年に制作されたものなのですが、13年も前の教育とは思えないほどのすばらしい内容です。平田さんがいろいろな場面を通訳し、説明も加えながら進めてくださったので、字幕以上にとてもわかりやすく、アメリカの子どもたちに混じって授業を受けているようで、あっという間の楽しいセミナーでした。もっと宣伝して、たくさんの人に見て、聞いていただきたかった!!という内容でしたので、少し長くなりますがその様子だけでもお伝えしたいと思います。
まず最初の学校の授業は,先生が黒板の真ん中に「Gay(ゲイ)」と大きく書き、この言葉から連想することを子どもたちに聞いてそのまわりに書き込んでいくというもの。小学校3年生という子どもたちからはいろいろな言葉が出てきます。つまり子どもたちは同性愛について何かしらの情報を持っているし、知っていることがある。それを正しいものにしていくことがこの授業の目的なのですね。その後、同性愛を具体的に理解させるためにカミングアウトしている有名人を紹介していきます。みんなの知っている有名な曲を上げ、それを作ったエルトン・ジョンがゲイだと言うとものすごく驚く少女の顔に、会場は大爆笑!他にも次々と挙げられる当事者の人たちの名前に、子どもたちは徐々に親近感が涌いていく様子でした。感想を聞くと「私たちと何も変わらない・・」という答え。本来当然のことなのですが、この授業によってその感覚が子どもたちの中に確立されていくのですね。
次の学校は、レズビアンカップルを母親に持つ女の子が学校で体験したことを絵本にしたお話を先生が読み聞かせ、小学校1・2年生の子どもたちに感想を言ってもらう、という授業。絵本の中で母親が二人いるというその子の家庭を先生が理解できない様子を見て、子どもたちからは「先生がopen minded(心が広い)ではないからだ」とか、「prejudice(偏見)を持っているから・・」など、難しい言葉もちゃんと使えて意見が出てくるのです。実際そのクラスにはレズビアンカップルを母親に持つ女の子がいて、最後にその子が家庭の様子を話すとみんなは「いいと思う、自然だと思う」と話していました。授業を行ったその先生は「自分の存在が肯定されるような教育が必要だと思う」と話されていました。はたして日本ではそんな教育が行われているでしょうか・・?
3番目の学校は、「Gay and Lesbian Pride Day」という日に全校的な取り組みをしているということ。全ての授業の中で、教員はゲイ・レズビアンのことを取り上げるそうです。その日は体育館での全校集会で、あるゲイの体育の先生が生徒に向けてカミングアウトします。「何かを隠していることはつらいこと。でもこの学校では隠さなくいていいので、とても自分にとって心地よい」と例えを使って話します。みんなからは大きな拍手が起こっていました。その後12歳から14歳くらいの生徒に感想を聞いてみると「この学校では先生はカミングアウトできて、みんなからも理解されているけれど、他の学校などで理解されない先生や子どもたちは大変だと思う」という意見が出ていました。このくらいの年齢になれば他の社会の状況も知っていて、そこにも思いを馳せることができるのですね・・
最後の学校では、同じく「Gay and Lesbian Pride Day」にゲイカップルやレズビアンカップルと子どもたちを写した写真展「Love makes Family」を開催します。開催にあたってはさまざまな議論が巻き起こり、PTAや住民による話し合いも。地元の新聞にも取り上げられます。実施に踏み切ったこの学校の校長先生は「レズビアン当事者の人からの反対もあった。けれど子どもたちには、正しいことを知る権利があるのです」ときっぱり!子どもたちを連れて会場を訪れたある先生は、写真を食い入るように見ながら熱心に語り合う子どもたちの反応に、「こんなことは学校ではなく市民会館などでやればいいのに・・と思っていたけれど、やってよかった、必要なことだとわかった」という感想を述べていました。
このビデオのあと「米国におけるLGBTユースのサポート」について、過去からのさまざまな取り組みや団体についてお聞きしました。ビデオで見た四つの学校のうち、三つはマサチューセッツ州の学校だったのですが、この州はアメリカの中でも10代のセクシュアル・マイノリティの問題に対して初めて行政が公式に取り組んだ州であり、また公立学校におけるゲイ・レズビアンへの差別を禁止する法律が制定された初めての州とのこと。すばらしい州なんですね。これらの授業は、アメリカの、その中でももっとも進んでいるマサチューセッツ州の教育であり、その他の地域には今でもまだまだ根強い偏見や差別が残っているようですが、「13年前の授業」と考えると、驚きと共に感心することしきりでした。日本の遅れは13年どころではありませんね・・
どの授業を行った先生も最初は成功するという確信を持っていたわけではなく、恐々・・という感じもあったようです。けれど子どもたちの反応はすばらしく、先生の勇気ある挑戦に応えてくれるものでした。これが日本であっても、やはり子どもたちの反応は同じだろうと私には思えます。「子どもたちには正しいことを知る権利があるのです!」と言いきったあの校長先生のように、勇気を持って子どもたちに正しいことを伝えられる先生が増えてほしいですね。先生だけでなく、自分自身もそんな大人にならなければと思います。自分の存在を肯定でき、自分とは違う他人とも共生できる、そんな大人へと育つことができる教育環境を、神戸から!!とまたまた熱くなりました(笑い)。平田さん、ほんとうにありがとうございました。
「It’s Elementary : Talking about Gay Issues in School」というビデオと米国におけるLGBTユース・サポートの現状についてのお話をお聞きし、後半はグループに分かれて意見や感想などを話し合いました。
このビデはアメリカの4つの小学校におけるLGBT教育の様子を紹介したもので、1996年に制作されたものなのですが、13年も前の教育とは思えないほどのすばらしい内容です。平田さんがいろいろな場面を通訳し、説明も加えながら進めてくださったので、字幕以上にとてもわかりやすく、アメリカの子どもたちに混じって授業を受けているようで、あっという間の楽しいセミナーでした。もっと宣伝して、たくさんの人に見て、聞いていただきたかった!!という内容でしたので、少し長くなりますがその様子だけでもお伝えしたいと思います。
まず最初の学校の授業は,先生が黒板の真ん中に「Gay(ゲイ)」と大きく書き、この言葉から連想することを子どもたちに聞いてそのまわりに書き込んでいくというもの。小学校3年生という子どもたちからはいろいろな言葉が出てきます。つまり子どもたちは同性愛について何かしらの情報を持っているし、知っていることがある。それを正しいものにしていくことがこの授業の目的なのですね。その後、同性愛を具体的に理解させるためにカミングアウトしている有名人を紹介していきます。みんなの知っている有名な曲を上げ、それを作ったエルトン・ジョンがゲイだと言うとものすごく驚く少女の顔に、会場は大爆笑!他にも次々と挙げられる当事者の人たちの名前に、子どもたちは徐々に親近感が涌いていく様子でした。感想を聞くと「私たちと何も変わらない・・」という答え。本来当然のことなのですが、この授業によってその感覚が子どもたちの中に確立されていくのですね。
次の学校は、レズビアンカップルを母親に持つ女の子が学校で体験したことを絵本にしたお話を先生が読み聞かせ、小学校1・2年生の子どもたちに感想を言ってもらう、という授業。絵本の中で母親が二人いるというその子の家庭を先生が理解できない様子を見て、子どもたちからは「先生がopen minded(心が広い)ではないからだ」とか、「prejudice(偏見)を持っているから・・」など、難しい言葉もちゃんと使えて意見が出てくるのです。実際そのクラスにはレズビアンカップルを母親に持つ女の子がいて、最後にその子が家庭の様子を話すとみんなは「いいと思う、自然だと思う」と話していました。授業を行ったその先生は「自分の存在が肯定されるような教育が必要だと思う」と話されていました。はたして日本ではそんな教育が行われているでしょうか・・?
3番目の学校は、「Gay and Lesbian Pride Day」という日に全校的な取り組みをしているということ。全ての授業の中で、教員はゲイ・レズビアンのことを取り上げるそうです。その日は体育館での全校集会で、あるゲイの体育の先生が生徒に向けてカミングアウトします。「何かを隠していることはつらいこと。でもこの学校では隠さなくいていいので、とても自分にとって心地よい」と例えを使って話します。みんなからは大きな拍手が起こっていました。その後12歳から14歳くらいの生徒に感想を聞いてみると「この学校では先生はカミングアウトできて、みんなからも理解されているけれど、他の学校などで理解されない先生や子どもたちは大変だと思う」という意見が出ていました。このくらいの年齢になれば他の社会の状況も知っていて、そこにも思いを馳せることができるのですね・・
最後の学校では、同じく「Gay and Lesbian Pride Day」にゲイカップルやレズビアンカップルと子どもたちを写した写真展「Love makes Family」を開催します。開催にあたってはさまざまな議論が巻き起こり、PTAや住民による話し合いも。地元の新聞にも取り上げられます。実施に踏み切ったこの学校の校長先生は「レズビアン当事者の人からの反対もあった。けれど子どもたちには、正しいことを知る権利があるのです」ときっぱり!子どもたちを連れて会場を訪れたある先生は、写真を食い入るように見ながら熱心に語り合う子どもたちの反応に、「こんなことは学校ではなく市民会館などでやればいいのに・・と思っていたけれど、やってよかった、必要なことだとわかった」という感想を述べていました。
このビデオのあと「米国におけるLGBTユースのサポート」について、過去からのさまざまな取り組みや団体についてお聞きしました。ビデオで見た四つの学校のうち、三つはマサチューセッツ州の学校だったのですが、この州はアメリカの中でも10代のセクシュアル・マイノリティの問題に対して初めて行政が公式に取り組んだ州であり、また公立学校におけるゲイ・レズビアンへの差別を禁止する法律が制定された初めての州とのこと。すばらしい州なんですね。これらの授業は、アメリカの、その中でももっとも進んでいるマサチューセッツ州の教育であり、その他の地域には今でもまだまだ根強い偏見や差別が残っているようですが、「13年前の授業」と考えると、驚きと共に感心することしきりでした。日本の遅れは13年どころではありませんね・・
どの授業を行った先生も最初は成功するという確信を持っていたわけではなく、恐々・・という感じもあったようです。けれど子どもたちの反応はすばらしく、先生の勇気ある挑戦に応えてくれるものでした。これが日本であっても、やはり子どもたちの反応は同じだろうと私には思えます。「子どもたちには正しいことを知る権利があるのです!」と言いきったあの校長先生のように、勇気を持って子どもたちに正しいことを伝えられる先生が増えてほしいですね。先生だけでなく、自分自身もそんな大人にならなければと思います。自分の存在を肯定でき、自分とは違う他人とも共生できる、そんな大人へと育つことができる教育環境を、神戸から!!とまたまた熱くなりました(笑い)。平田さん、ほんとうにありがとうございました。