平成22年12月19日(日)つなぐ会ミーティング報告
今回は宝塚大学看護学部の日高庸晴先生に講師として来ていただき、「セクシャルマイノリティのメンタルヘルス」について講演していただきました。日高先生はご存知のようにセクシャルマイノリティに関する実証的な研究をされておられます。当日はアンケート調査に基づく客観的なデータから、主にゲイ男性のメンタルヘルスについてのお話をしていただきました。
この中でゲイ男性のメンタルヘルスを悪くしている要因にはいろいろなものが絡んでおり、なかなか難しい問題が多い事、その中で特に自殺未遂経験が多いことは深刻な問題であるとのお話は、セクシャルマイノリティの置かれている状況の厳しさを改めて感じさせるものでした。また児童期からの様々な傷つき体験がその後のメンタルヘルスに強く影響を及ぼしている事から、小学校の時からセクシャルマイノリティに対する正確な知識を教えていくことが必要とのことでした。このような早期からの対応は、その後の深刻な事態を防止する上で重要なことであることがよく理解できました。さらに心理カウンセリングのニーズが高い事からカウンセラーなど援助者のあり方についてのお話もありました。またHIV感染については特にゲイ男性の問題であるとも言え、依然として感染者が増加している中でそのような認識を持つことが必要と思われるが、保健所など行政機関での理解や対応は十分でない事などのお話もありました。
参加者からは、客観的なデータが示されているので説得力があること、今後はまだ調査の少ないレズビアン女性への研究を希望する意見などがありました。日高先生からはセクシャルマイノリティ全体に対する横断的な研究をより大規模に行うことがこれからは必要であるとのご意見をいただきました。
当日は参加者28名と多く、また初めて参加された方もおられました。講演後のミーティングではつなぐ会の活動の近況や石原都知事の差別発言に対して抗議文を送付したことなどが報告されました。また日高先生のお話に対する感想もたくさん話され予定時間を少しオーバーしたほどでした。