☆MTF女性として介護職に就いて頑張っておられる晴子さんからのエッセイです。
「介護」が抱える課題は若い方にはまだ他人事かもしれませんが、いずれは我が身・・・(笑)また、我が国の財政問題にも大きな影響を与えている分野でもありますね。私たち親世代の多くは、実際に介護や支援の必要な親を持っており、それほど遠くはない未来の自分自身の姿をそこに見ることができます。賃金や労働形態、離職率のような労働問題だけでなく、医療やジェンダーや家族のあり方などさまざまな課題を含んでいる「介護」の現場からのエッセイです。
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晴子から伝えたいこと(パート23)
本年の私は、ホームヘルパー(訪問介護員)2級修了とケアクラーク(介護保険事務)資格取得を果たしました。そして私の長期目標はグループホーム(認知症高齢者共同生活介護)の管理者になることで、その前段階として3年勤続の上で国家資格(介護福祉士)取得することだと、自分でどうしたらいいのかを確かめることができました。
話を変えます。かつて介護は家内労働的イメージが強かったのですが、核家族化や夫婦共働きなどの社会的変化等により、介護の社会化(事業所等から介護サービスをお受ける形態)へと変化してきました。しかし形態が変化しても、介護従事者の多くは女性です。それは介護職の所得が低い要因と思われますが、私はそれだけではないと思います。その他に考えられるのは、介護従事者からの視点に立つと、自己啓発が働きにくい雰囲気が漂っており、結果として従業員が育成されにくいためではないだろうかと私は思います。
確かに自己啓発して頑張っても所得が向上しないと思えば、誰しも勤務への意欲がなくなりやすいです。慈善事業ではありませんしね。そのためか、ただ日々の業務を淡々とこなせばいいと私も思った時期があります。それにも増して、介護業務の特性上からして心身共にきついです。介護職の離職率の高さは一理あります。
だからこそ、専門性のある業務に就いて所得向上を図るにはどうしたらいいのかを、自分なりに考えてみました。その上で私の長期目標が何なのかを見据えて、日々の業務に就いて行きたいと私は前向きな気持ちになれてよかったです。
そんな中にあっても、また私には気になることがありました。私の勤務する介護事業所も民間です。一方、民間の介護事業所で施設タイプのものは、認知症高齢者対応のグループホームと実質は自立度の高い高齢者対応の有料老人ホームが存在します。
前者のグループホームは自立生活に難のある認知症の方が共同生活している施設であるため、いわゆる待機利用者の多い特養(特別養護老人ホーム)や老健(介護老人保健施設)より利用料が高いものの、他より優先順位が高くて必要性あるものだと私は思います。
後者の有料老人ホームは、福祉に予算をかけられないという役所側の理由で特養建設が鈍ったための代替施設とされてきたものの、現実はそうなっているとは言い難いです。事業所側の経営見通しの甘さが災いして、破たんした事業所も少なくありません。高額な入居一時金や利用料を取る割には、手間のかかる要介護度の高い方や認知症の方への対応に消極的な傾向があります。これが介護保険財政悪化の一因にもなっております。しかし高齢者の方は、一般的に段々と要介護度が高くなります。当然ながら、事業所と利用者の方やその家族の方、役所等の間でトラブルが多発しております。
私がどうしても心配なのは、私の勤務先事業所も有料老人ホーム事業に手を出して裏目に出てしないのかということです。経営に行き詰まれば、それが結果として何らかの形で従業員に跳ね返ってきます。しかし何が生じるのかわからないにしても、認知症高齢者の方への介護で私は続けて行きたいです。