LGBTの家族と友人をつなぐ会ブログ

レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダーの家族や友人による会のブログです。

晴子から伝えたいこと(パート18)

2011年01月26日 | Weblog

☆晴子さんからエッセイが届きました。

先日の神戸ミーティング(ご報告はまた後日)ではホームレスのトランスジェンダーの方の話題が出て、ただでさえ厳しい就職状況の中でトランスジェンダーの方の就職も大変難しく、最終的なセイフティネットである生活保護さえも受給できないという現実も伝えられていました。そんな中、MTF女性を受け入れたくないという人たちも現実に存在する職場環境で、時間をかけてそんな人たちの気持ちを変えていきたいと努力されている晴子さん。彼女のエッセイからは生き方を教わるだけでなく、政府の行う事業の問題点も垣間見えます。

 

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☆晴子から伝えたいこと(パート18)

 

 昨年は、私にとって本当に色々と遭った試練の年でした。しかし私と同期で介護福祉士養成の専門学校で職業訓練を開始した女性達の多くが、2年生も終盤で卒業が近づいていても、就職がままならない実態です。この同期の中の私の友達もそうですので、もし私も職業訓練を継続できていたとしても、試練を強いられたのではないのかと思い知らされました。

 つまり先に資格取得しても、年齢や業務未経験などがネックとなって、介護事業者から採用されにくい(就職難)実態があるのです。このような問題は介護分野に限った話ではなく、ハローワーク(職安)が主催する職業訓練全般に関わる問題なのです。狭き門と化した職業訓練の入り口にたどり着けても、就職できない率が高いのです。このように職業訓練自体が機能していないのでは、結果的に勤労者の雇用保険や税金の無駄遣いとなってしまっている感を私にも受けます。なので、せっかくの制度を効果あるものにして行くためには、職業分野問わずハローワーク(職安)・教育機関(学校)・事業者との連携強化がより望まれるのではないのだろうかと私には思いました。

 以上から、ただでさえ未経験分野への就職は厳しいのに、トランスジェンダーの人にとっては尚更のことです。それでも私は、ちょっと意地になってでも就職しようという想いばかりで、なんとか介護分野へ就職し、働き出して年を越すことができました。しかし私の現勤務先にも、少なからずMtF女性の私をあまり受け入れたくない想いの従業員がいるのを、私には敏感に受けることも事実としてあります。だからといって、そのような人達の気持ちが容易に変わるなどと私は思っておりません。確かに勤務する上で、私にはそのことがストレス要因にもなっております。ですが時間というか期間をかけて、その人達の気持ちを段々と変えられるように、私は努力して行きたいです。なぜなら、その一方でMtF女性の私のことを受け入れたい人達がいて、私が入社できた経緯もあるからです。私の味方になってくれる人達がおり、また現場管理者の人も強い味方になってくれるからこそ、その人達の気持ちを裏切ってはならないという想いが強いです。

 なので、本年は介護の能力・経験共に着実に積み重ね、段々と安定化を図れる年に私はして行きたいです。そして介護福祉士養成の専門学校卒以外の場合、3年の介護業務経験で介護福祉士の受験資格を得られることから、ちょうど3年後(毎年1月の学科試験と毎年3月の実技試験)の介護福祉士資格試験合格を目指して行きたいです。

 ところで、職業訓練を開始する数カ月前から最近までの2年間、MtF女性の私は、公私共に男性として生活することが皆無です。たまたま私がスカートを穿いていないと、若い女性から驚かれたこともあったほどです(笑)。しかし私の身体は男性のままですので、私は温泉やプール等の利用を止めています。少なくとも私には、一般男性の方やFtM男性の方を異性と感じられるようになっています。その一方で、一般女性の方やMtF女性の方を私が同性と感じるのは、仲が良い相手ほど高くなります。


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イベント「石原都知事の同性愛者差別発言、なにが問題か?」のご報告

2011年01月19日 | Weblog

 昨年12月3日と7日に、石原都知事によって、同性愛者に対する差別発言が発せられました。

「(同性愛者は)どこかやっぱり足りない感じがする。遺伝とかのせいでしょう。マイノリティーで気の毒ですよ」

「(米・サンフランシスコを視察した際の記憶ととして)ゲイのパレードを見ましたけど、見てて本当に気の毒だと思った。男のペア、女のペアあるけど、どこかやっぱり足りない感じがする」

 これらの差別発言に対して、1月14日(金)19時から、なかのZERO小ホールで、イベント「石原都知事の同性愛者差別発言、なにが問題か?」が開催されました。
主催は「石原都知事の同性愛者差別発言に抗議する有志の会」。つなぐ会in東京の世話人2人がパネラーとして、当イベントに参加しましたので、その模様を簡単にご報告します。

 イベントの第1部は、「石原都知事の同性愛者差別発言、なにが問題か?」というテーマで、パネラー9人が登壇し、各々の立場から発言しました。パネラーは、石川大我さん、石坂わたるさん、イトー・ターリさん、大江千束さん、小川葉子さん、沢部ひとみさん、ミナ汰さん、つなぐ会からわれわれ2人。司会は島田暁さん。
第2部は、『「男のペア 女のペア」同居生活★喜怒哀楽』というテーマで、ゲイカップル、レズビアンカップルと司会歌川泰司さんとのクロストークでした。

 第1部のパネラーの発言で、印象に残ったのは、「足りないのは、石原都知事の方だ。何かが足りないのであれば、それを補うのが行政の責任、義務であるはずだ。その行政の長があのような発言をすることは、職務放棄だ。」、「セクシュアルマイノリティはクローゼットから必死になって、這い出ようと努力しているのに、あのような発言を聞くと、またクローゼットに戻ってしまいかねない。あのような人権を全く無視した発言は絶対に許すべきではない。」、「石原さんありがとうと言いたい。セクシュアルマイノリティは横の連携を取るのが苦手だが、石原発言のお陰で、今日のイベントのように、短時間でしっかりと連携できることがわかった。今後もこうした連携を取りながら、活動して行きたい。」

 様々な発言がありましたが、総じて恨みがましい後ろ向きな発言は全くなく、むしろ前向きな発言ばかりでした。セクシュアルマイノリティとしての今後の活動の方向性が垣間見えたと思いました。

 第2部のクロストークは、歌川泰司さんの暖かい、引き出し方の上手なキャラのせいで、ゲイカップル、レズビアンカップルの赤裸々な共同生活が披露され、会場は笑いで溢れました。そして最後に、「皆さん、カップルのお話を聞いて、足りないところを感じましたか?」という言葉でトークを締めました。会場の出席者全員が共有できた言葉だと思いました。

 イベント参加者は357名ということで、人数、内容とも大成功であった思います。イベントの詳細はhttp://ishiharakougi.blog137.fc2.com/で公開されると思います。


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