第21回福岡ミーティング
2016年7月17日、第20回福岡ミーティングを開催しました。
午前の部の
『LGBTと就労 ~当事者と職場の架け橋として~』では、産業カウンセラーでキャリアコンサルティング技能士でもいらっしゃる佐々木佐代子さんにお話しいただきました。
LGBT当事者の置かれている現状を、「就職前」「就労時」「退職時」に分けてお話しいただきましたが、履歴書の性別欄や研修時の宿泊施設、さらには福利厚生や職場での周囲の発言など、働く側に日常的にどのような苦難があるのかを具体的に知ることができました。
また、その現状を知るだけではなく、それらの諸問題に対してどのような権利や相談先が働く側にはあるのかもご紹介いただいました。
実際に佐々木さんのもとに相談に来られ、のちに保育士として希望に満ちた再スタートを切ることができた方のエピソードを聞き、「当事者が一人で苦しまずに共に解決していく仲間がいる」ことを強く感じることができた参加者さんがたくさんおられたと思います。
参加者さんの中には、「当事者と職場の架け橋であるべき立場にありながら、まだまだLGBTの知識や当事者の方への対応に多くの課題がある」との声もありました。
佐々木さんのように、まずは決めつけずに当事者に傾聴して会話を丁寧にしていく、真の「当事者と職場の架け橋」となる方が今よりもさらに多くなることを願っています。
午後の部では2グループに分かれてのミーティングを行いました。
当事者や当事者の家族からいろいろな話が出ましたが、その中に「同じマイノリティである『左利き』はなぜLGBTほどは生きづらくないのか?」という話が出ました。
日本の総人口に占めるLGBTの割合はおよそ7.6%、これは左利きやAB型の人とだいたい同じくらいの割合らしいのです。ではなぜ『左利きの家族と友人をつなぐ会』なるものが存在しないのでしょうか……。
左利きの人は自分が左利きであることをカミングアウトすることに特に抵抗もなさそうです。家族には自分からカミングアウトするまでもなく知られてしまうことでしょう。一方LGBT当事者にとって周囲へのカミングアウトというのはとても慎重になってしまうことのひとつです。ともすれば今の生活に終わりを告げられるほどの一大事だと言えます。左利きとLGBTとの間のこの差はどこから来るのでしょうか。
LGBTと左利きの『周囲へのカミングアウトの難易度の差』はまず周囲のマイノリティに対する認識の違いから来ているのだと思います。
周りが否定的だから自分を否定するのか、自分自身が自分を否定するから周囲が否定的なのか・・・
LGBTの家族と友人をつなぐ会は、現在の日本社会におけるLGBTに対するネガティブなイメージをポジティブなものへと変えていこうとする団体です。しかし、当事者自身が己に対して否定的では周囲の認識を変えてゆくことは難しいのではないでしょうか。
「他人と過去は変えられない、でも自分と未来は変えられる」なんていうセリフもあります。
実際その場にいた左利きの方は自分が左利きであることにあまり否定的ではないそうです。それは確かに周りが左利きの人に否定的でないことも関係していることでしょう。しかし逆に左利きの人が自分の左利きに自信が持てなかったり左手を嫌いだったりしたら?そんな本人の言動に周りは気を遣ったり面倒な奴だと思ったりするのでは?右利きの人は左利きの人にどう接していいのかわからなくなるのではないでしょうか。
もちろんまったく同じとは言えませんが、LGBT当事者とそうでない人の間には同じようなことが起きているのではないでしょうか。
これが左利きとLGBTの間にある『周囲へのカミングアウトの難易度の差』を生んでいるように思います。しかしここで問題なのはこう結論づけることで、あたかも当事者自身に責任の所在があるかのような言い方になってしまうことです。そうではありません。
LGBT当事者が悩みを抱える理由は大きくわけて二つ。先に述べたように、
『自分で自分を否定すること』
『周りが自分を否定すること』
社会というシステムがある以上、当事者が人間である以上、そこには法や感情が介在し何も気にしないなどということはほぼ不可能と言えます。それこそ家族や友人もいるわけですから。どこからなのか何からなのかは様々ですが、そこにネガティブな感情が生まれるのは自然なことなのかもしれません。しかし、この当たり前だとか自然だとかいう固定観念を取り去っていくのがLGBTの家族と友人をつなぐ会であり、私たちが目指すべき未来なのではないでしょうか。
LGBTを左利きと同じ身近なマイノリティにすべくこれからも当事者に寄り添い互いに歩み寄り、活動していけたらと思います。
2016年7月17日、第20回福岡ミーティングを開催しました。
午前の部の
『LGBTと就労 ~当事者と職場の架け橋として~』では、産業カウンセラーでキャリアコンサルティング技能士でもいらっしゃる佐々木佐代子さんにお話しいただきました。
LGBT当事者の置かれている現状を、「就職前」「就労時」「退職時」に分けてお話しいただきましたが、履歴書の性別欄や研修時の宿泊施設、さらには福利厚生や職場での周囲の発言など、働く側に日常的にどのような苦難があるのかを具体的に知ることができました。
また、その現状を知るだけではなく、それらの諸問題に対してどのような権利や相談先が働く側にはあるのかもご紹介いただいました。
実際に佐々木さんのもとに相談に来られ、のちに保育士として希望に満ちた再スタートを切ることができた方のエピソードを聞き、「当事者が一人で苦しまずに共に解決していく仲間がいる」ことを強く感じることができた参加者さんがたくさんおられたと思います。
参加者さんの中には、「当事者と職場の架け橋であるべき立場にありながら、まだまだLGBTの知識や当事者の方への対応に多くの課題がある」との声もありました。
佐々木さんのように、まずは決めつけずに当事者に傾聴して会話を丁寧にしていく、真の「当事者と職場の架け橋」となる方が今よりもさらに多くなることを願っています。
午後の部では2グループに分かれてのミーティングを行いました。
当事者や当事者の家族からいろいろな話が出ましたが、その中に「同じマイノリティである『左利き』はなぜLGBTほどは生きづらくないのか?」という話が出ました。
日本の総人口に占めるLGBTの割合はおよそ7.6%、これは左利きやAB型の人とだいたい同じくらいの割合らしいのです。ではなぜ『左利きの家族と友人をつなぐ会』なるものが存在しないのでしょうか……。
左利きの人は自分が左利きであることをカミングアウトすることに特に抵抗もなさそうです。家族には自分からカミングアウトするまでもなく知られてしまうことでしょう。一方LGBT当事者にとって周囲へのカミングアウトというのはとても慎重になってしまうことのひとつです。ともすれば今の生活に終わりを告げられるほどの一大事だと言えます。左利きとLGBTとの間のこの差はどこから来るのでしょうか。
LGBTと左利きの『周囲へのカミングアウトの難易度の差』はまず周囲のマイノリティに対する認識の違いから来ているのだと思います。
周りが否定的だから自分を否定するのか、自分自身が自分を否定するから周囲が否定的なのか・・・
LGBTの家族と友人をつなぐ会は、現在の日本社会におけるLGBTに対するネガティブなイメージをポジティブなものへと変えていこうとする団体です。しかし、当事者自身が己に対して否定的では周囲の認識を変えてゆくことは難しいのではないでしょうか。
「他人と過去は変えられない、でも自分と未来は変えられる」なんていうセリフもあります。
実際その場にいた左利きの方は自分が左利きであることにあまり否定的ではないそうです。それは確かに周りが左利きの人に否定的でないことも関係していることでしょう。しかし逆に左利きの人が自分の左利きに自信が持てなかったり左手を嫌いだったりしたら?そんな本人の言動に周りは気を遣ったり面倒な奴だと思ったりするのでは?右利きの人は左利きの人にどう接していいのかわからなくなるのではないでしょうか。
もちろんまったく同じとは言えませんが、LGBT当事者とそうでない人の間には同じようなことが起きているのではないでしょうか。
これが左利きとLGBTの間にある『周囲へのカミングアウトの難易度の差』を生んでいるように思います。しかしここで問題なのはこう結論づけることで、あたかも当事者自身に責任の所在があるかのような言い方になってしまうことです。そうではありません。
LGBT当事者が悩みを抱える理由は大きくわけて二つ。先に述べたように、
『自分で自分を否定すること』
『周りが自分を否定すること』
社会というシステムがある以上、当事者が人間である以上、そこには法や感情が介在し何も気にしないなどということはほぼ不可能と言えます。それこそ家族や友人もいるわけですから。どこからなのか何からなのかは様々ですが、そこにネガティブな感情が生まれるのは自然なことなのかもしれません。しかし、この当たり前だとか自然だとかいう固定観念を取り去っていくのがLGBTの家族と友人をつなぐ会であり、私たちが目指すべき未来なのではないでしょうか。
LGBTを左利きと同じ身近なマイノリティにすべくこれからも当事者に寄り添い互いに歩み寄り、活動していけたらと思います。