かねてから告知され、LGBTがテーマのインタビュー主体の映画『私はワタシ』を観てきました。
ポレポレ東中野での上映は最終回ということもあって、ほぼ満杯でした。
知る人ぞ知る長谷川博史さんをメーンに据え、他に50人もの歴代戦士から若手アクティビスト、親まで網羅してのそれぞれの語り。ある人は理念を語り、ある人は体験を述べ、また、生きづらさや自殺者の多さについて語られたり、ここ数年の変化を喜ばれたり、反動的な動きに身構えたり、50名が様々な視点でLGBTにまつわる事柄を話しています。
長谷川さんのことは、以前、AIDS文化フォーラムの講演会で知り、AIDS問題の先駆者として身を挺して活動している姿に感動を覚えましたが、今回映像の中での姿はもう、カッコイイったらなかった。その唇から語られる詩は長年の苦い思いから紡ぎ出された開き直りにも似た覚悟。うちの子どもも同じようなこと言ってたなぁって、感慨深かったです。
映像の中には親もいます。試写会を観た方の応援メッセージの中に、母親のインタビューに心打たれたとあって、同じ親として嬉しかった。この活動をしていると、当事者の子どもが自立してもはや何も問題ないのに(全くないことはないんだけど、そう思われるらしい)何故、延々とこんなことやってるの? と聞かれることがあります。だって、自分の子どもはいいとしても、社会はセクシュアル・マイノリティにとって相変わらず差別的だし、次の世代の子どもたちが自分らしく生きられる世の中になるように親だからこそ言えることもあるんですよ、って言っても、【物好きな人】という目でみられてしまう。そんな経験もしてきたので、親として関わってきて間違いはなかったという安心感というか、これからの活動の勇気づけにはなりました。
今回は1週間だけの上映でしたけれども、これからいろいろな場所で上映されていくことでしょう。人によってそれぞれの思いを抱かれる、そんな映画ですが、是非、沢山の方に見ていただきたい。誰であれ、人はそれぞれに違います。一人びとりの存在のかけがえのなさを感じ、個々それぞれの思いというものをしっかりと受け止めてほしい。同時代にいろんな人がいることを当たり前のこととして受け止められる人たちがどんどん増えていけば、社会は確実に変わるのですから。 M・M