私が彼女の訃報を知ったのは、『失恋』という文庫本を読み終えた直後でした。
鷺沢萠さんの作品は好きで、特に自分の血のルーツを求めて韓国へ留学した時に書かれたエッセー『ケナリも花、サクラも花』、在日韓国人の主人公が登場する『君はこの国を好きか』には感銘を受けていました。(読んだのはおそらく1998~2000年にかけて)
鷺沢さん自身は在日として育ったのではなく大人になってから自分のおばあさんが韓国人だったと知ったということでしたが、作品に描かれている現代っ子の在日青年たちはまさに私の友達の在日の人たちと重なり、とても(私にとって)リアルでした。肩肘はった主張ではなく、主人公に寄り添うことで読者に問題提起をそっと与えるような感じがあり、また読後にさわやかな印象を与えたのが多分私には合ったのだと思います。
そんな彼女の自伝的小説『私の話』が文庫本になりました。
彼女の1992年、1997年、2002年をクローズアップした三篇が収録されており、解説は親しい友人だった酒井順子さん(『負け犬の遠吠え』著者)が書かれています。
父親の会社の倒産と死、母の病気、自らの結婚離婚、そして、韓国人であることを隠し通していた祖母、韓国に興味を持ったことでできた友達たち。
途中から彼女の心境を綴った箇所に何度も泣かされました。
また、周りの人たちの言葉も沢山印象に残っています。
彼女と在日の友達たちが作った架空の国・ウリ国の憲法第一条「弱者には同情ではなく愛情を注ぐこと。」在日の若い友人が考えたこの第一条が胸にずしんと響きました。
読み終えて感じたのは鷺沢さんが本当に傷つきやすくて優しい人だった、ということ。もう、新作が読めないのは残念なことです。
鷺沢萠さんの作品は好きで、特に自分の血のルーツを求めて韓国へ留学した時に書かれたエッセー『ケナリも花、サクラも花』、在日韓国人の主人公が登場する『君はこの国を好きか』には感銘を受けていました。(読んだのはおそらく1998~2000年にかけて)
鷺沢さん自身は在日として育ったのではなく大人になってから自分のおばあさんが韓国人だったと知ったということでしたが、作品に描かれている現代っ子の在日青年たちはまさに私の友達の在日の人たちと重なり、とても(私にとって)リアルでした。肩肘はった主張ではなく、主人公に寄り添うことで読者に問題提起をそっと与えるような感じがあり、また読後にさわやかな印象を与えたのが多分私には合ったのだと思います。
そんな彼女の自伝的小説『私の話』が文庫本になりました。
彼女の1992年、1997年、2002年をクローズアップした三篇が収録されており、解説は親しい友人だった酒井順子さん(『負け犬の遠吠え』著者)が書かれています。
父親の会社の倒産と死、母の病気、自らの結婚離婚、そして、韓国人であることを隠し通していた祖母、韓国に興味を持ったことでできた友達たち。
途中から彼女の心境を綴った箇所に何度も泣かされました。
また、周りの人たちの言葉も沢山印象に残っています。
彼女と在日の友達たちが作った架空の国・ウリ国の憲法第一条「弱者には同情ではなく愛情を注ぐこと。」在日の若い友人が考えたこの第一条が胸にずしんと響きました。
読み終えて感じたのは鷺沢さんが本当に傷つきやすくて優しい人だった、ということ。もう、新作が読めないのは残念なことです。