天空☆faya-y的毎天☆

~faye-yの日常~ 天空疊著層層的思念。

単騎、千里を走る

2006-01-31 22:36:15 | 映画
張芸謀(チャン・イーモウ)×高倉健。
長年のファンだという張芸謀が高倉健への最大の敬意を表し、そして数年の準備期間を経て制作された映画。エンタメ作品として知られる「HERO」などの前に企画自体はあったようなので、流れとしては「あの子を探して」や「初恋の来た道」に通ずる市井の人間を描いた“文芸もの”になります。
高倉健演じる父親が長年の確執にあった息子の命の期限を知り、息子を知るために中国へと旅立つというストーリー。
実は、日本国内で進行する部分は「日本を描くことは出来ない」という張芸謀の意向により日本人監督、スタッフが撮影を担当していますが、それも「高倉健をもっとも知る人たちに」という理由から長年高倉健と仕事をともにしている監督・スタッフが制作にあたっているそうです。私も映画がはじまってすぐに「ん?張芸謀ってこういう撮り方するんかな?」と感じてパンフを見て知りました。
ですから、日本部分と中国部分で質感がやっぱり違うのです。
確執云々などということよりも、高倉健が中国に行ってから人々と出会うというメインのストーリーはエピソードがきらきらしていて、張芸謀が撮りたかったのはこの部分なんだろうなぁ、と感じました。
うるるん風に言うと「中国の麗江で高倉健がぁ、人情に出会った~」(by下条アトム)。
中国部分のキャストはすべて素人。ガイドさんはホントにガイドをしている人、警官役は警官、村長役は村長さん、仮面劇の役者役は農民の人・・・。これはもう張芸謀の真骨頂。プロの役者とは違い、それぞれの生きてきた道が感じられる自然な演技。泣くシーン、笑うシーン、心からの気持ちを感じることができました。
そして、圧巻は自然、町並み、人が生活している光景。
高倉健が最後にたどり着く石頭村は少数民族の住む村。村の伝統として家と家の間の細い道に食卓を並べて太陽の下、村民全員で来客を歓迎するのです。並べられた食卓の長さは画面に映しきれないほど長く、館内からも感嘆の声が上がっていました。
昨年11月にNHKで放送された、この映画のドキュメントによると石頭村は数年後にはダムの下に沈む運命だとか。
でも、そこに生きた人たちの映画は映画として後世まで残るのです。
高倉健が出あった中国も。
全体を通しては、ちょっとどうかな?と思う部分もあるのですが、私的にはとても満たされた作品でした。

http://www.tanki-senri.com/index.html
コメント (4)
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