ハルカ・エイティ (文春文庫) | |
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文藝春秋 |
直木賞候補になったけど惜しくも逃した作品。
というか私は直木賞にならなかったのが意外に思うくらい面白かったです。
作者あとがきで高齢の作家に戦争を知らない作家が戦争を書くというのはと言われて憤慨ということが書かれてありましたが、そういうことも多いに関係あったんでしょうね。
評価の分かれる方ではあります。
大正時代に生まれたある女性の一生。「ごちそうさん」「花子とアン」とほぼ同じ時代。何より関西を舞台にしているのがいいです(あ、これも原因のひとつか)。
まず導入がいい。主人公であるハルカの今(現在軸)を描いているのですが、これが年齢不詳。このハルカの姿を想像して読書を遥か大正時代までタイムスリップさせるのです。
そして、作品の特徴のひとつが過去を描きながら時々、現在軸の作者が顔を出すこと。現代の価値観と当時を比較したり。いっけん蛇足に感じるかもしれませんがそこはさすがのカオルコさん。これが効いてる。ちょっとした距離感を演出しています。ほかのよくある一代記とは違う。
また、ハルカは結婚します。お見合いで。その長い結婚生活が物語の多くを占めるのですが、(ネタバレになるので以下略)。
うーん…。考えさせられた!ハルカは豊かな人だな…。
ぜひ文庫本で読んでいただきたい、作者のあとがきがあるから。
読み応えのある一冊です。