朝ごはんぬき? (新潮文庫) | |
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新潮社 |
田辺聖子さんの新装文庫本。もう新作は出ませんが、こうやって復刊してまた私たちを楽しませてくれるのはとっても嬉しい。
まとめ買いをしたのであと一冊、控えています。いひひ。
メールもラインも出てこない。
30代前半でハイミス設定。
時代が違う!!
なのに、なんで、どうしてこうも私たちを惹きつけるのでしょうか、お聖さんは。
マリ子が同じ会社の年下の男と別れ、小説家えりか先生のうちに秘書として雇われるところから話ははじまります。
この年下の男はマリ子がいながらもあっけらかんと年下の見合い相手と結婚し、マリ子は結婚に期待を持つのはこりごりという状況。
先生一家はどうやらアパレル会社の役員らしい旦那さんと超内気な娘の家族で、えりか先生はまるで子どものように自由奔放。
こんな話です。
いや、書き出すとなんてことないじゃないの?とお思いでしょうが、ハイミス女性の強さと弱さが時を超えて共感させるのです。
そして、根底にあるのはコミカルさ。
そう、失敗したって客観的になれば笑える要素はたくさんあるのだ。
喜怒哀楽という反応がはっきりある出来事、なんて現実生活ではは少なくて「もやっとしとるな」ということが多く、ん?泣けた方が楽ちゃうんと思いながらも泣くに至らず、ああ、現実はそんなもの。
それでも、毎日って続いていくんだなあ~、という感じがする田辺聖子作品が好きです。