Elton John & Taron Egerton – Your Song (Brighton & Hove 2019)
まず、アップした動画の紹介。
エルトン・ジョンの名曲を彼本人と、映画「ロケット・マン」でエルトン役を演じたタロン・エガートンが一緒に歌うという面白い動画です。
タロンはこの映像では、全然エルトンに見えませんけど、映画では見事に変装して、エルトンになりきっています。映画「ボヘミアン・ラプソディ」のフレディ役をやった俳優以上に本人に似せているかもしれません。まず、役者自身で吹き替えなしに歌を歌っているのが素晴らしい。
さて、まず映画についての感想を述べましょう。
あの「ボヘミアン・ラプソディ」との比較にどうしてもなってしまいます。
もし、70年代のエルトンの活躍をリアルタイムで知らない最近の若い人、つまり40代以下の人が見た場合、「ボヘミアン・ラプソディ」ほど感動はしないでしょう。
「ボヘミアン・ラプソディ」ほど、ライブシーンがないし、若い人が知っている曲が少ないからです。日本人の感性に訴えるという点では、やはりクイーンの曲の方が、1枚も、2枚も上です。もちろん、エルトンも稀代のメロディメイカーではあるのですが、サビとかアレンジの部分で「素晴らしい!」と日本人の老若男女を感動させる曲はそれほどないのがわかります。まあ「ユア・ソング」はまちがいなくキラーソングですけど。
ただし、現在50代以上の洋楽ファンにとっては、全盛期のエルトンを知っているだけに、けっこう、じーんと来る曲のオンパレードかもしれません。
あと、ライブシーンが多かった「ボヘミアン」と比べ、こちらはミュージカル仕立てで、そのへんも好き嫌いが分かれそう。ここは個人の趣味ですね。
共通点としては、やはり主人公がゲイで周囲とうまくなくなり、かつ絶頂期に自堕落的な生活に陥って健康を害してしまったことでしょうね。
健康を害していくところは、「ボヘミアン」とほぼ同じような描写で、70年代のスターのドラッグ&アルコール漬けがよくわかります。
ただし、エルトンは結局は健康を回復し、この映画も、自らが指揮をしたみたいなので、非業の死を遂げたフレディ・マーキュリーとの違いを強く感じます。
映画封切2日目に映画館に行って、入りは3割くらいでした。同じように、2日目に行って7割くらいの入りだった「ボヘミアン」ほど評判になってはいないようです。
まとめると、70年代の洋楽ファンにとっては楽しめる映画です。バニー・トーピンとの出会い、別れ、そして再度のタッグとかは、70年代の洋楽に詳しい人は、「なるほど、こうだったのか。」と納得できるかもしれません。
70年代の洋楽を知らない人にこの映画を勧めるときは、事前にエルトンの名曲の数々や彼の歴史を予習していくように言った方がいいかも。その方が楽しめます。予習なしでも楽しめる「ボヘミアン」とはちょっと違うと思います。
個人的には「クロコダイルロック」と「ピンボールの魔術師」の演奏シーンが気に入りました。