ミュウのCLASSIC ROCK LOVE

70年代、80年代のロックとその周辺の音楽について気の向くままつぶやきます♪最近のロックも取り上げます。

カンタベリー・ロック特集 26 Space Shanty  / Khan  1972年

2023-11-03 16:36:07 | カンタベリー・ロック
最後はカーンで行きたいと思います。
1971年、Steve Hillage (g,v)、Nicholas Greenwood (b,v)、Pip Pyle (d)、Dick Henningham(k) で、結成。Pyleはすぐ脱退して、Eric Peachy に交代。1972年にはHenninghamが脱退するも、Steve Hillageの友人であるエッグのDave Stewartがゲストで全面的に参加し、1st アルバムの「Space Shanty(宇宙の船乗り歌)」を録音、リリースします。
その後、エッグをやめたDave は正式メンバーになりますが、セカンド・アルバムをレコード会社に拒否され、1972年秋に解散。Steve Hillageはケヴィン・エアーズ・バンドを経てゴングへ、Dave Stewartはハットフィールド&ザ・ノースを経てナショナル・ヘルスへと活動を移していくことになります。

エッグを聴いたあと、このバンドを聴くと、かなりエンターティメントに振れたバンドだと感じました。目まぐるしく展開を変えるプログレ・サウンドでありながら、かなり聴きやすいのです。やはりギター・ヒーローであるスティーブ・ヒレッジがいるだけあって、彼の弾きまくりがけっこう印象に残ります。
プログレを本格的に聴く人から言わせれば、大衆的だなと思うかもしれません。
でも、やはりレコード会社から見たら、商業的なサウンドではないと判断したのでしょうね。セカンド・アルバムを作るところまで至りませんでした。
結果的にはスティーブもデイヴも別のバンドでの成功をしているので、このバンドも経験値を高めるために必要だったし、リスナーからすれば、十分楽しめる音楽で、カンタベリー・ロックの一派として、押さえておきたいものかなと思います。。


まずは、アルバム・タイトルの曲をご紹介しましょう。
やはり、スティーブ・ヒレッジが派手。
それに引っ張られるように、ゲストのデイヴも弾いています。
目まぐるしく展開するので、面白いのですが、ポップな作品とは言い難いかな。

Space Shanty (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)


もう一曲ご紹介します。「Mixed up Man of the Mountains」です。曲の始めはけっこうポップな作品かな?と思うのですが、やはり変態的に展開します。プログレですね。ギターとキーボードのソロの絡みは聴きどころです。やはり、このバンドはスティーブとデイヴがメインなのです。そして、スティーブのギターは主張が強い。音も大きい感じ。また、スキャットもあれば、コーラスもあるし、目まぐるしく展開しますね。ポップな曲調あり、プログレっぽくあり、ハード・ロックっぽくあり、いろんな顔を見せる曲です。どんなスタイルの音楽でもこなしてしまうスティーブ・ヒレッジのテクニックがあればこそのダイナミックなロック作品です。

Mixed up Man of the Mountains (feat. Steve Hillage & Dave Stewart)



2曲だけご紹介しましたが、他の曲も展開力のある派手な曲が多いですね。
傑作だと思います。ただし、サイケ&プログレ・ファン向きの作品であることは間違いはありません。一般の洋楽ファンは混乱するかも。
個性派ぞろいのカンタベリー・ロックの中で、やはり個性が発揮されているアルバムです。


さて、カンタベリー・ロック特集をこれで終わりにしたいと思います。
元々は、キャラヴァンの全盛期と、ソフト・マシーンの「バンドルズ」が大好きで、聴き始めたジャンルですが、聴きこむと深いですね。
ワイルド・フラワーズを祖とし、キャラヴァンとソフト・マシーンという2大潮流を太い枝としながら、デイヴ・スチュアートが3本目の流れを作っていくという流れで、1970年代後半までシーンを存続させたという感じでしょうか?聴きこめば聴きこむほど新たな発見がある感じがします。

カンタベリー・ロックに興味を持った方は、この特集を最初から見ていくと、かなり詳しくなると思います。私のブログ中の動画は削除されることが多いですが、曲名を動画サイトに貼って検索すれば、すぐに見れます。ロックの名曲は次々とアップされているものです。
普通のロックや有名なプログレに飽き足らない人にとって、カンタベリー・ロックはイギリスのロックの深さを追っかけて行くにはいいテーマだと思います(ゴングはフランスですけど)。
好みはあると思いますが、私の特集を参考にしていただければ幸いです。

個人的には、この特集に取り組んでいるときに、キャラヴァンの日本公演に行けたというのが素晴らしい思い出です。生パイ・ヘイスティングを目撃できたことに喜びを感じます。

次回は、元イエスのあの方の作品を取り上げたいと思います。

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カンタベリー・ロック特集 25 Egg / Egg 1970年

2023-11-02 20:53:58 | カンタベリー・ロック
カンタベリー・ロック特集も今回を入れて、残り2回です。

今回は、前回予告したとおり、ナショナル・ヘルスのデイヴ・スチュアートがいたエッグ。
モント・キャンベル(ベース、ヴォーカル)、デイブ・スチュアート(キーボード)、クライヴ・ブルックス(ドラム)というキーボードをメイン楽器とするロック・トリオです。もともとはユリエル(Uriel)というバンド名で、ギターにスティーブ・ヒレッジがいたようなのですが、脱退し、その後バンド名をエッグに変えたという経緯があります。
このバンドは、ロンドン出身なのですが、モントとデイヴがカンタベリー系ミュージシャンと合流したことにより、このバンドもカンタベリー・ロックの一群の中に捉えられるようになりました。

Eggは3枚のアルバムを残しています。1970年にファースト・アルバム「Egg」と「The Polite Force」を発表し、その後解散したのですが、一時的に再結成し、サードアルバム「The Civil Surface」を1974年に発表しています。

インパクトの強いのはやはりファースト・アルバムで名盤とされています。
オルガン主体のトリオのロックといいながら、かなりクセのあるサイケの香りがするプログレで、同じトリオのEL&Pとかなり印象が違いますね。
エンタティメント系でポップな方向にあるEL&Pと違い、かなり真剣に実験的に音楽を突き詰めようとしている感じで、一般の人にはとっつきにくい印象があるかもしれません。
でも、クラシカルだったり、ジャズっぽかったり、複雑な構成・リズムに挑んだりとマニアにとってはワクワクするサウンドです。のちのナショナル・ヘルスに通じるところが確かにあるような気がします。
モント・キャンベルのベースが結構存在感があり、そこも聴きどころですね。
彼のヴォーカルについては、ちょっと時代を感じてしまいますが、ベースは好きな音です。

今回はファースト・アルバムがレコードで発表されたときに、B面全部を使った大作「Symphony No 2」をご紹介します。
長い曲ながら、いろんな展開があり、聴きごたえ十分。
彼らはキース・エマーソンのナイスを参考にしていたようですが、単に参考にするだけでなく、さらに新しいロックを作ろうと挑んでいる勢いを感じます。
三人の若者の研ぎ澄まされたセンスが見事に発揮されているのではないかと思います。。

Egg - Symphony No 2




さて、次回で、カンタベリー・ロック特集は最終回とさせていただきます。
次回は「カーン」です。
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カンタベリー・ロック特集 24 Of Queues and Cures / National Health 1978年

2023-10-29 15:29:57 | カンタベリー・ロック
長らく続けてきたイギリスのカンタベリー・ロック特集ですが、ついにカンタベリー・ロックの最終形態「ナショナル・ヘルス」の事実上の最後のアルバムとなりました。セカンド・アルバム、「Of Queues and Cures」です。
ナショナル・ヘルスはもう1作アルバムを出していますが、それは、アラン・ゴーウェン追悼盤で、企画盤的な位置づけです。
やはり、このアルバムで、一区切りととらえるべきでしょう。
時は1978年。UKがファースト・アルバムを出したのも1978年。
プログレッシブ・ロックの最後の傑作が同時期にリリースされたんだなと感慨深くなります。
メンバーはベースが交代しています。ニール・マーレイはホワイト・スネイク参加のために脱退し、元ヘンリー・カウのジョン・グリーヴスが参加。
また、前回ゲスト参加したアラン・ゴーウェンとアマンダ・パーソンズは参加していません。でもゲストとして、ジョージ・ボーン(チェロ)、ポール・ニーマン(トロンボーン)、フィル・ミントン(トランペット)、ジミー・ヘイスティングス(フルート、クラリネット)、キース・トンプソン(オーボエ)、ピーター・ブレグヴァド(ボイス)といったメンバーが参加して、彩りを加えています。
前作とは違って、かなり聴きやすい作品です。
けっこうプログレのカッコよさがあり、クリムゾン風のところもあります。
日本のファンが好きなタイプのプログレ作品なのですが、発売当時、日本ではクリムゾンみたいに知名度がなかったため、あまり売れなかった印象ですね。

聴きやすくなったと言っても、ポップになってしまったということではありません(ポップな部分もけっこうありますけど)。複雑だし、展開が目まぐるしい。曲も長い。でも、聴き入ってしまいます。
UKがプログレの壮大さ、ドラマティックさを表現して聴き手を満足させたのに対し、ナショナル・ヘルスは複雑な曲構成とインプロビゼーション的演奏で聴き手を緊張させて圧倒するという感じですね。カンタベリー・ロックが持ち続けていたジャズ・ロック的な構築を通過した上で行きついた至高のロック・サウンドかもしれません。印象的なメロディもあります。
ヴォーカル入りの曲はいいアクセントになっていて、そこも魅力。
何回でも聴きたくなる不思議な魅力をもつ本作品は、ハットフィールド&ザ・ノースの「ロッターズ・クラブ」同様、名盤だと思います。

ご紹介するのは、まず1曲目の「The Bryden 2-Step (For Amphibians) (Part 1)」。デイヴ・スチュアート作です。
キーボードの静かな音から始まるこの曲は実に耳にすんなり入ってきます。
前作とはかなり雰囲気が違います。けっこう、メロディアスでキャッチーな作風です。緊張感があり、音もキレがあって、まさにかっこいいプログレのイメージですね。勢いを感じます。曲はいろいろ展開しますけど、聴き手を置いていくようなことはなく、難解な雰囲気はありません。割とシンプル。

The Bryden 2-Step (For Amphibians) (Part 1)


次にご紹介するのは3曲目の「Squarer for Maud」。ジョン・グリーヴス作です。
これがまさに万華鏡のようなサウンド。約12分の長尺の曲の中に、様々な展開があって、圧倒されます。個人的にはこの曲にプログレの理想郷を感じます。複雑ながらスムーズに聴けてしまう構成力があります。ワクワクドキドキの流れですね。彼ららしく遊び心もあります。フィル・ミラーの弾きまくりのギターも印象的。
途中でゲストのピーター・ブレグヴァドの朗読がありますが、彼の参加はジョン・グリーヴスとのつながりのようです。二人ともヘンリー・カウにいましたね。

Squarer for Maud


5曲めの「Binoculars」をご紹介します。ピップ・パイルの曲です。おだやかやなヴォーカルはハットフィールド&ザ・ノース時代を思い起こさせます。まるで、キャラヴァンのようなポップな雰囲気があり、やはり前作とは違う印象です。
フルートが入ると、軽快な感じになり、実に心地良いですね。
全体的に穏やかで、可愛らしい感じの流れがあり、カンタベリー・ロックの遺伝子をここで発揮したか!とちょっと感動してしまいました。

Binoculars



最後にラストの「The Bryden 2-Step (For Amphibians) (Part 2)」。スチュアートの曲ですね。
1曲目の続きのような曲。実に聴きやすい。UKのようでもありますね。
静かに終焉を迎えます。

The Bryden 2-Step (For Amphibians) (Part 2)


今回で、カンタベリー・ロック特集を終わりにしようと思ったのですが、最後まで頑張ったデイヴ・スチュアートに敬意を表して、彼が参加したエッグについて1回、カーンについて1回取り上げる予定です。
つまり、あと2回で終了です。
そのあとは、別のブリティッシュ・ロック・バンドの特集を開始する予定となっております。
1970年代のイギリスのバンド・シーンは本当に奥が深いですね。





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カンタベリー・ロック特集23 National Health / National Health 1978年

2023-10-21 15:48:10 | カンタベリー・ロック
久々にカンタベリー・ロック特集です。
この特集を終えてしまわないと気がすまないので、今回からは連続していきたいと思います。
今回はナショナル・ヘルスのファースト・アルバムです。
時は1978年。もうプログレは終わったと言われている時代ですね。まあ、日本ではUKがブレイクしますけど、なんとなく大真面目にプログレをやっていると珍しい感じでした。
でも、カンタベリー・ロックはジャズ・ロックのイメージもあるので、プログレをまだやってるんだ!なんて非難はされなかったかな?UKのように、注目されてなかったし。

さて、カンタベリー・ロックの最終形態ともいわれるナショナル・ヘルスは、カンタベリー・ロックの中で似たタイプのハットフィールド&ザ・ノースとギルガメッシュの合体プロジェクトから始まったようです。
結成は1975年。元エッグのモント・キャンベル(b)、元ハットのデイブ・スチュアート(k)、元ギルガメッシュのアラン・ゴーウェン(k)、元ハットのフィル・ミラー(g)、元ギルガメのフィル・リー(g)、ギルガメッシュのゲストヴォーカルだったアマンダ・パーソンズにより結成されます。
しかし、ファースト・アルバム発表までに、かなりメンバーは流動的で、時間がかかりました。1976年にキャンベル脱退、元ギルガメでコロシアムⅡにもいたニール・マーレイ加入。ドラムにはビル・ブラッフォード加入。1977年にはビルがUK参加のために脱退し、元ゴング、元ハットのビップ・パイルが加入。ゴーウェン、パーソンズ脱退。そして、結局はスチュアート、ミラー、マーレイ、パイルというメンバーでファースト・アルバムを製作。元メンバーのゴーウェンとパーソンズはゲストとして参加してます。結局、正式メンバー3人は元ハットになってしまってます。でも、いろいろ変遷を経たせいか、ハットの音楽とはちょっと別物の印象。なお、キャラヴァンでの客演で有名なジミー・ヘイスティングス(フルート、クラリネット)が参加。

このアルバムの特徴は、まず1曲が長いということです。5曲しか入っていません。10分超の曲が3曲あるのです。そして、全体的にクールというかシリアスな印象です。ハットの「ロッターズ・クラブ」にはややポップな質感があったのに対し、かなりプログレ的なこだわりを感じる作品です。やはり、ジャズ・ロックではなく、プログレッシブ・ロックの混沌さの印象が強いと感じます。ポップな音楽になることを拒否している・・・そんなイメージもあります。聴き手にかなりの集中力を求めまる音楽だと思います。ぼんやり聴いていると、わかりにくい音楽かもしれません。一般の音楽ファンよりマニアのための音楽なのかな?
それにしても、ホワイト・スネイクで有名なニール・マーレイがこんなテクニカルなバンドで演奏していたとは。
彼についてはハード・ロック系のベーシストのイメージが強いので意外な感じがありますね。

1曲目の「Tenemos Roads」はメリハリのある複雑な展開を持つ作品。シンセの柔らかな音とメロディに親しみを感じるところもありますが、それはあくまで楽曲の一部という感じで、曲は遊び心ある展開を示し、テクニカルでスリリングな音楽を構築していきます。演奏力はさすがのレベル。
印象的なのはアマンダの高音ヴォーカル。曲のアクセントになるような役割を務めています。「凝った音楽、凝ったロック」というのが聴き終えての感想。

Tenemos Roads



もう1曲ご紹介しましょう。「Borogroves (Part One)」です。
重いギターといかにもプログレといった感じのシンセが強烈な導入部です。
でも、予想がつかない変化に富む展開がすごい。遊び心がたっぷりあります。
クラシック音楽を感じるような部分もあるんですよね。
ぼんやり、聴いていると、「あれ、どの曲聴いてたんだっけ?」と思ってしまうほどの曲の変化があります。
アマンダのスキャット的なヴォーカルはやはり印象的。
真剣に聴くと、かなり面白い曲で、圧倒されます。
プログレッシブ・ロックの一つの到達点かも。
でも、大衆的な音楽とは言い難い作品です。


Borogroves (Part One)


次回はセカンド・アルバムをご紹介します。
そこで、ナショナル・ヘルスのご紹介は終了。
あとはカンタベリー・ロック系のバンドを2つほど取り上げてカンタベリー・ロック特集を終えたいと思います。

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カンタベリー・ロック特集22 Another Fine Tune You've Got Me Into / Gilgamesh

2023-07-20 11:51:11 | カンタベリー・ロック
1978年、Alan Gowen(key)を主体としたバンド、ギルガメッシュはギターのPhil Lee はそのままで、リズム隊をヒュー・ホッパー(b)、トレヴァー・レギンス(d)に変更してセカンド・アルバム「Another Fine Tune You've Got Me Into」を発表。
ファースト・アルバム同様、フュージョンとジャズ・ロックの間の微妙な位置を感じます。
今回は、最も聴きやすいと思われる1曲目だけを紹介したいと思います。紹介するのは1曲目の「Darker Brighter」。
ハット・フィールド&ザ・ノースに似ていると言えば似ているけど、スマートに仕上がったジャズ・ロックです。プログレだけど、ジャズ寄りという感じがします。フィル・リーのギターはジャジー。


このあと、このバンドはNational Helthに発展するんだけど、2枚の作品でやりたことは全部やったという感じなんでしょうね。

Gilgamesh - Darker Brighter  




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