フジテレビと産経新聞の政権擁護の姿勢は有名であるが、今回の日本学術会議問題でも、政権擁護に終始している感がある。マスコミは、右派系とか左派系とか何となく色分けされている感じがするが、一方的に偏ることなく、公正な報道に心がけてほしいものである。内外のマスコミは、日本学術会議メンバーの任命拒否問題で政府に批判的な報道が大半であると思うが、フジ・産経グループは、首相による任命拒否は、なんら学問の自由の侵害にも当たらないという政権擁護の論調に徹している。
夕刊フジのネット版であるzakzakでも、「傲慢!学術会議めぐる学者の病の深さ」という見出しで、{日本学術会議の任命拒否で「学問の自由」脅かされるわけがない。税金支出する組織に民主的統治働かせるのは当然}として、ジャーナリスト、長谷川幸洋氏の論説を掲載している。日頃、夕刊フジ・zakzakは、韓国と中国の悪口ニュースばかりが目立ち、うんざりするほどである。
同じ問題でも、こうも論調が食い違うのかと驚くばかりであるが、我々読み手は、相当気をつけて、ニュースや論評を見ていく必要がある。個人的には、政権べったりのフジ・産経グループは好きではないので、フジテレビもほとんど見ないし、フジテレビ解説委員の平井文夫氏のとんでも誤認発言もニュースでしか知らない。さもありなんという感じである。ネットニュースの方も、政権批判に片寄り過ぎる感もあるので、しっかりと事実関係を見極める必要がある。
最新のニュースでは、菅首相は6人の名前の入った推薦名簿を見ていないというおかしな報道もなされている。首相が6名のことを知らないわけがなく、99名分のリストしか見ていないというのは、どうも怪しい。新たに105名の任命が必要だということは当然知っているはずだから、何とか論法のようである。
また、推薦名簿上、6人については、まさに人格を否定するかのように、黒塗りで名前が抹消されているが、高圧的な政権の姿勢が消し方一つで見えてくる。黒塗りされた理由も述べないので、6人はさぞかし、嫌な思いをされていると同情する。この際、傲慢な政権に抗議するために、学術会議メンバー全員で、反旗を翻したらどうかと思うくらいである。
また、ここにきて、政権は行政改革の一環として日本学術会議のあり方の見直しが必要であると論点をずらそうと躍起になっているが、とんでもない話である。見直しはそれなりに必要だが、任命拒否の理由の説明をうやむやにさせてはいけない。全く、別の問題である。任命拒否は、総合的・俯瞰的活動を確保する観点としているが、言い訳でしかない。
政権に批判的な人達を排除しようとする現政権は、北朝鮮の金正恩とあまり変わらないやり口で、かってのドイツのヒットラーをも思い出させるほどである。こういった独裁政権を支持する人がまだ、60%以上もいるというから日本の前途に明かりは見えてこない。
画像は、名前が黒塗りされた推薦名簿