劇団わらび座が民事再生申請 コロナで経営悪化、負債14億円超
2021/11/02 22:10
(河北新報)
秋田県仙北市の劇団「わらび座」は2日、秋田地裁に民事再生法の適用を申請し、同日付で手続きの開始決定を受けたと発表した。負債額は約14億4600万円。新型コロナウイルスの流行で団体客のキャンセルが相次ぐなど経営が悪化した。今後は新設した「一般社団法人わらび座」に事業を承継し、従業員約170人の雇用も継続する。
同社は1951年創業、71年設立。オリジナルミュージカルを国内外で公演し、地ビールの製造販売や宿泊施設なども経営。ピーク時の2007年度には約20億円の売り上げがあったが、新型コロナ流行で修学旅行や全国公演がキャンセルとなり、20年度は5億円まで減少した。
今年3月、秋田県内の経済人らでつくる「わらび座支援協議会」が発足。支援金などを集めていたが経営の改善が見込めず、10月22日に民事再生法の適用を申し立てていた。
県庁で記者会見した山川龍巳社長は「このまま続ければ70年の歴史に幕を下ろすことになる。債権放棄を願い出る事態になり、申し訳ない」と陳謝。「経営責任を取る」として新法人の経営には携わらず、劇場事業本部長の今村晋介氏が代表理事に就いた。
今後は来年3月30日までに債権者の同意を得て再生計画案を作成する。
[わらび座]東北の人材や芸能をテーマにした舞台を上演する劇団事業のほか、地ビール「田沢湖ビール」の製造販売事業、宿泊施設運営事業などを展開する。コロナ禍前は国内外で年間約800ステージを開催。劇場やレストラン、温泉宿泊施設がある「あきた芸術村」(仙北市)は修学旅行の人気スポットで、年間約150校、約1万5000人が訪れていた。2002年に河北文化賞を受けた。