マナティーの楽園、米フロリダで異変…餌が足りずに1000頭死ぬ
2021/11/21 01:35
(読売新聞)
大きな体とゆったりとした動きで人気の水生動物「マナティー」が、世界有数の生息地の米フロリダ州で大量死している。水質悪化で餌の水草が不足したのが原因で、年間で過去最多の1000頭超が死んだことが確認された。(米フロリダ州ベロビーチ 船越翔)
州の東海岸を南北約250キロ・メートルにわたって細長く延びる 潟湖(せきこ) 「インディアン・リバー・ラグーン」。今月16日、気温30度近くで日差しが照りつける中、自然観察ツアーの小型ボートに乗り込んだ。
両岸にマングローブが生い茂る浅瀬を進み、水鳥やイルカに見とれていると、ボートが急に減速した。「あなたは運がいいね。見てごらん」。ガイドが指さした水面に、灰褐色のマナティーがゆっくりと浮き上がってきた。体長3メートルはありそうだ。しばらくその場に漂うと、また水中に潜っていった。
フロリダ州やその周辺に推定約7500〜1万頭いるマナティーのうち、大部分はインディアン・リバー・ラグーンに生息する。だが、この自然の宝庫に異常が起きている。州の集計によると、今年、州内で死んだマナティーは今月12日までで1003頭を記録した。昨年の同時期(498頭)の2倍以上で、今年だけで全体の生息数の少なくとも1割が減った形だ。