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陽性者急減のワケは「ウイルスの自滅?」仮説を検証
3日 18時45分
緊急事態宣言の解除後も全国の陽性者数は急減しています。地域にもよりますが、「人流」自体は増える傾向があるにもかかわらず、減っているのはなぜなのでしょうか?
そんな中、「ウイルス自体が自滅したのでは?」という仮説が注目されています。ウイルスのコピーミスを修復する機能が何らかの理由により変化してしまったのではないか?という説です。第5波は人流とは無関係に陽性者は減ったのか?ウイルスの自滅も考えられるのか?専門家にききました。
■東京都の新規陽性者 1年5か月ぶりに一桁
上村彩子キャスター:
東京都で3日、新たに感染が確認された新規陽性者数は25人。重症者は14人。そして亡くなった方は3人です。グラフで見てみると、第5波、8月をピークに9月10月急激に減っています。カレンダーでも見てみましょう。前の週よりも、次の週の同じ曜日が下回るというものが続きました。11月1日、1年5か月ぶりに一桁9人という数字です。そして10月1日に緊急事態宣言が解除されました。街中には人流も戻ってきましたが、人流があるにも関わらず、1か月間ずっと減り続けたというのがわかると思います。
■人流があるのに、なぜ急激に減ったの?
上村キャスター:
要因は様々あると言われていますが、この仮説に注目しました。「ウイルスが自ら弱くなったのではないか」という仮説です。新型コロナウイルスを含むウイルスというものは体の中で自分のコピーを作って、どんどん増えていきます。このコピーを正確にしていくために重要な役割を果たしているのが酵素nsp14というもので、コピーミスを修復する力があるんです。修理屋さんだと思ってください。このnsp14の働きによってコピーを正確にやっていきます。例えばコピーミスが起こりそうになった場合、このnsp14の力が働いて、コピーミスを修復していきます。今回の仮説では、このnsp14がある変化をしたことで感染力の弱い新型コロナウイルスが出回ったのではないかというものです。
■ウイルスの“修復機能”が弱くなった?
上村キャスター:
どんな変化をしたのかというと、nsp14は修復の機能が弱くなってしまったといいます。これによって、コピーも正常に行われていっているんですが、修復の機能が弱くなったので、コピーミスをしたウイルスも出回ってしまっているんですね。この“コピーミスのウイルス”が広がったことについて専門家の方の仮説ですが、「“コピーミスのウイルス”がたまたま感染力の弱いガラクタだった」ということなんですね。感染力が弱いものが出回ったので、新規感染者数も減っている。
そして「ワクチンによる抗体がデルタ株には効いたが、ガラクタには効かなかったので増えたのではないかということなんですね。ワクチンによって、(正常な)コピーの方は抑えられている。しかし(出回ったのは)コピーミスの感染力の弱い方なので、感染者数は減ったとみられるという、あくまで仮説ですが、こういうものも出ています。
ホラン千秋キャスター:
修復機能が弱くなってしまうという変化をするというのは、つまりどういうことなんでしょうか?
国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授:
ウイルスというのが増えていく段階で自分の全く同じコピーを作れればいいんですけど、それが逆にちゃんとしたコピーを作れない場合もあります。その修復のミスをちゃんと補う機構も備わってるんですねその修復を補う機構がもしうまく働かないとすれば、コピーミスが起こりやすいウイルスがどんどんどんどん蓄積していって、コピーミスが起こったウイルスはおそらく感染もしにくいだろうから、おそらくそういう出来損ないといいますか、そういうウイルスがどんどん増えていくことによって結局はその人から他の人にも移りにくくなるし、体の中でも増えにくくなるということがそういう仮説の重要な部分だと思います。
ホランキャスター:
(修復を補うことが)うまく働かないことは頻繁にあるんですか?
松本主任教授:
頻繁にはないんですけれど、ただ今回説明されている部分に関しては、コピーミスが起こっているウイルスが今広がっている割合が高くなっているとそこまではわかってるんですね。ただしそれが本当にコピーミスをたくさん起こしてその人の体の中で増えにくくなってるかというところまでを証明できていないので、あくまで部分的には疑わしい部分は確かにあるんだけど、確実な証明には至っていないというとこだと思います。
井上貴博キャスター:
大変重要な研究なんでしょうけど仮説ですからここからまた研究が進んでいくんだと思います。明らかに人流と関係なくなってきたとなると、今まで2年間の政策をやっぱり変えていかなきゃいけないのかなと。人流が悪いわけではなくて、室内の人数制限とか、ウイルスが変わっているのであれば私たちも頭の中をかえていく必要があるのかなというふうに感じるんですが。
松本主任教授:
例えば国内で今この状況のウイルスに関しては確かにうまく抑え込めましたよね。ただ海外では決して同じようなことがどんどん起こっているわけではなくて、いまだに感染が拡大しているような国がたくさんあるわけです。なので、そういうウイルスが持ち込まれれば、また同じように流行が起こりますので、やり方自体は決して変えなければいけないというよりはですね、あくまで今回本当にこのタイプのウイルスが国内で広がったことが日本ではラッキーだったというふうに思った方がいいと思います。
■海外では新規陽性者増 日本の水際対策は重要
松本主任教授:
今広がっているウイルスが本当に日本の中ではもしかしたら自滅しやすいものだったかもしれない。だけど海外で今広がっているものは決してそういうものではないと。もしそれが国内でまた持ち込まれて広がってしまうと、本当に厳しいので、水際対策はやっぱり重要だと思います。
ホランキャスター:
確かに新型コロナウイルスも最初は一人二人というところから何万というところまで変化をしていきながら増えていったということを考えると、一つ二つ最初を食い止めるっていうことは大変重要ですね。
松本主任教授:
やっぱりさらに検疫も大事ですし、きちんとした検査体制も大事ですし、今これだけ落ち着いているときにこそ、ちゃんとした検査体制をもっと広げていって、もし見つかってもちゃんと抑え込むことが大事だと思います。
井上キャスター:
日本のウイルスが自滅のサイクルに入ったと仮定しますと、日本ではそのサイクルに入って海外でははいらなかった。これはたまたまという考え方ですか?
松本主任教授:
たまたまですよね。もう本当に日本でそのタイプのものが広がったことが幸運だったということなので、決して何か日本特有のことを起こしたわけではないというふうに思います。
井上キャスター:
一つ言えるのは、やはり人から人に移っていくときにコピーをしていくので、全体の検査・陽性者が下がれば、この変異をしていくリスクを減らせる、つまり強い株が国内では今は出にくいけれども、海外のをどう入れないか、とこういう考え方ですか。
松本主任教授:
そうです。今落ち着いてるんですけど本当にこれからはまだなんとも。海外から持ち込まれるとわからないということだと思います。
3日 18時45分
緊急事態宣言の解除後も全国の陽性者数は急減しています。地域にもよりますが、「人流」自体は増える傾向があるにもかかわらず、減っているのはなぜなのでしょうか?
そんな中、「ウイルス自体が自滅したのでは?」という仮説が注目されています。ウイルスのコピーミスを修復する機能が何らかの理由により変化してしまったのではないか?という説です。第5波は人流とは無関係に陽性者は減ったのか?ウイルスの自滅も考えられるのか?専門家にききました。
■東京都の新規陽性者 1年5か月ぶりに一桁
上村彩子キャスター:
東京都で3日、新たに感染が確認された新規陽性者数は25人。重症者は14人。そして亡くなった方は3人です。グラフで見てみると、第5波、8月をピークに9月10月急激に減っています。カレンダーでも見てみましょう。前の週よりも、次の週の同じ曜日が下回るというものが続きました。11月1日、1年5か月ぶりに一桁9人という数字です。そして10月1日に緊急事態宣言が解除されました。街中には人流も戻ってきましたが、人流があるにも関わらず、1か月間ずっと減り続けたというのがわかると思います。
■人流があるのに、なぜ急激に減ったの?
上村キャスター:
要因は様々あると言われていますが、この仮説に注目しました。「ウイルスが自ら弱くなったのではないか」という仮説です。新型コロナウイルスを含むウイルスというものは体の中で自分のコピーを作って、どんどん増えていきます。このコピーを正確にしていくために重要な役割を果たしているのが酵素nsp14というもので、コピーミスを修復する力があるんです。修理屋さんだと思ってください。このnsp14の働きによってコピーを正確にやっていきます。例えばコピーミスが起こりそうになった場合、このnsp14の力が働いて、コピーミスを修復していきます。今回の仮説では、このnsp14がある変化をしたことで感染力の弱い新型コロナウイルスが出回ったのではないかというものです。
■ウイルスの“修復機能”が弱くなった?
上村キャスター:
どんな変化をしたのかというと、nsp14は修復の機能が弱くなってしまったといいます。これによって、コピーも正常に行われていっているんですが、修復の機能が弱くなったので、コピーミスをしたウイルスも出回ってしまっているんですね。この“コピーミスのウイルス”が広がったことについて専門家の方の仮説ですが、「“コピーミスのウイルス”がたまたま感染力の弱いガラクタだった」ということなんですね。感染力が弱いものが出回ったので、新規感染者数も減っている。
そして「ワクチンによる抗体がデルタ株には効いたが、ガラクタには効かなかったので増えたのではないかということなんですね。ワクチンによって、(正常な)コピーの方は抑えられている。しかし(出回ったのは)コピーミスの感染力の弱い方なので、感染者数は減ったとみられるという、あくまで仮説ですが、こういうものも出ています。
ホラン千秋キャスター:
修復機能が弱くなってしまうという変化をするというのは、つまりどういうことなんでしょうか?
国際医療福祉大学 松本哲哉主任教授:
ウイルスというのが増えていく段階で自分の全く同じコピーを作れればいいんですけど、それが逆にちゃんとしたコピーを作れない場合もあります。その修復のミスをちゃんと補う機構も備わってるんですねその修復を補う機構がもしうまく働かないとすれば、コピーミスが起こりやすいウイルスがどんどんどんどん蓄積していって、コピーミスが起こったウイルスはおそらく感染もしにくいだろうから、おそらくそういう出来損ないといいますか、そういうウイルスがどんどん増えていくことによって結局はその人から他の人にも移りにくくなるし、体の中でも増えにくくなるということがそういう仮説の重要な部分だと思います。
ホランキャスター:
(修復を補うことが)うまく働かないことは頻繁にあるんですか?
松本主任教授:
頻繁にはないんですけれど、ただ今回説明されている部分に関しては、コピーミスが起こっているウイルスが今広がっている割合が高くなっているとそこまではわかってるんですね。ただしそれが本当にコピーミスをたくさん起こしてその人の体の中で増えにくくなってるかというところまでを証明できていないので、あくまで部分的には疑わしい部分は確かにあるんだけど、確実な証明には至っていないというとこだと思います。
井上貴博キャスター:
大変重要な研究なんでしょうけど仮説ですからここからまた研究が進んでいくんだと思います。明らかに人流と関係なくなってきたとなると、今まで2年間の政策をやっぱり変えていかなきゃいけないのかなと。人流が悪いわけではなくて、室内の人数制限とか、ウイルスが変わっているのであれば私たちも頭の中をかえていく必要があるのかなというふうに感じるんですが。
松本主任教授:
例えば国内で今この状況のウイルスに関しては確かにうまく抑え込めましたよね。ただ海外では決して同じようなことがどんどん起こっているわけではなくて、いまだに感染が拡大しているような国がたくさんあるわけです。なので、そういうウイルスが持ち込まれれば、また同じように流行が起こりますので、やり方自体は決して変えなければいけないというよりはですね、あくまで今回本当にこのタイプのウイルスが国内で広がったことが日本ではラッキーだったというふうに思った方がいいと思います。
■海外では新規陽性者増 日本の水際対策は重要
松本主任教授:
今広がっているウイルスが本当に日本の中ではもしかしたら自滅しやすいものだったかもしれない。だけど海外で今広がっているものは決してそういうものではないと。もしそれが国内でまた持ち込まれて広がってしまうと、本当に厳しいので、水際対策はやっぱり重要だと思います。
ホランキャスター:
確かに新型コロナウイルスも最初は一人二人というところから何万というところまで変化をしていきながら増えていったということを考えると、一つ二つ最初を食い止めるっていうことは大変重要ですね。
松本主任教授:
やっぱりさらに検疫も大事ですし、きちんとした検査体制も大事ですし、今これだけ落ち着いているときにこそ、ちゃんとした検査体制をもっと広げていって、もし見つかってもちゃんと抑え込むことが大事だと思います。
井上キャスター:
日本のウイルスが自滅のサイクルに入ったと仮定しますと、日本ではそのサイクルに入って海外でははいらなかった。これはたまたまという考え方ですか?
松本主任教授:
たまたまですよね。もう本当に日本でそのタイプのものが広がったことが幸運だったということなので、決して何か日本特有のことを起こしたわけではないというふうに思います。
井上キャスター:
一つ言えるのは、やはり人から人に移っていくときにコピーをしていくので、全体の検査・陽性者が下がれば、この変異をしていくリスクを減らせる、つまり強い株が国内では今は出にくいけれども、海外のをどう入れないか、とこういう考え方ですか。
松本主任教授:
そうです。今落ち着いてるんですけど本当にこれからはまだなんとも。海外から持ち込まれるとわからないということだと思います。