探せば見つかる
300坪の畑を始めてから(2012年夏)は畑仕事に忙しくそれまで趣味としていた散歩が減った。私の散歩はウォーキングではない、ブラブラ景色を眺めながらののんびり散歩、野に咲く花の写真を撮り、植物に集まる虫の写真を撮る散歩。なので、これまで知らなかった数多くの植物動物の写真が撮れ、それらを調べ、名前を知ることができた。
畑を始めてから散歩は減ったが、畑の周囲は森のようになっており、そこに今まで出会っていない植物動物を見つけ、また、畑にも私の知らない植物が勝手に生え、私の知らない動物が勝手にやってきた。それらの多くも写真に収めてきた。
動物の中では昆虫の類が圧倒的に多い、チョウ、ガ、ハチ、ハエ、アブ、アリ、甲虫、トンボ、バッタ、カメムシなどなど。
「よっしゃ、今週は溜まっていた蛾の記事書き週間にしよう」と思ったことは何度もあり、図書館から蝶蛾の図鑑を借りて何度もやっていた。モンシロチョウ、アゲハチョウなど有名どころはすぐに判明したのだが、あまり知られていないものになると、これはこれである(同定というらしい)と断定することが難しくなる。似ているものがいくつもあって、雄と雌で見た目に違いがあり、季節によっても見た目に違いがあり、個体変異というのもあったりするからだ。「もうお手上げ」と根性無しは何度諦めたことか。
腰痛を患い畑を止めざるを得なくなって、気持ちが落ち着いた去年(2018年)11月頃から気合入れて溜まりに溜まった不明動物、特に昆虫、中でも蛾の判明作業をたびたびやっている。その結果、いくつもの種類が判明した。今回紹介するのはその1つ。
アコウハマキモドキ(赤秀葉捲擬き):鱗翅目の昆虫
ハマキモドキガ科 九州~沖縄諸島、八重山諸島、東南アジアに分布 方言名:ハベル
名前の由来は資料がなく正確には不明だが、食草がアコウということでアコウ(赤秀)と名が付くと思われる。ハマキモドキについてはハマキムシ(葉捲虫)が広辞苑にある。「植物の葉を巻いてその中にすみ、これを食害する昆虫、特にチョウ目ハマキガ科の蛾の幼虫の総称。」とのこと。ハマキモドキガ科はそのハマキガ科に似ているのでモドキ(擬き)がついているのだろう。概ねは小型の蛾。ちなみに、アコウは高さ20mにもなるクワ科の常緑高木、和歌山以南~南西諸島に分布するガジュマルの仲間。
前翅長5~6ミリ。成虫の出現は4~6、9~11月の2回あり、冬の寒い間と夏の暑い間はお休みしているようである。
『沖縄昆虫野外観察図鑑』に「すばやく、じぐざぐに食草周辺を飛翔する」とあり、本種であったかどうか覚えていないが、ハマキモドキガの類でそういう飛び方をするのを見た覚えがある。同書にはまた「前かがみに翅端を上げて葉上に止まる」ともあり、私の写真(ボケているが)もそんな感じ。他のハマキモドキガも似たような止まり方をする。
参考写真
記:ガジ丸 2019.2.3 →沖縄の動物目次
参考文献
『ふる里の動物たち』(株)新報出版企画・編集、発行
『沖縄大百科事典』沖縄大百科事典刊行事務局編集、沖縄タイムス社発行
『沖縄昆虫野外観察図鑑』東清二編著、(有)沖縄出版発行
『名前といわれ昆虫図鑑』偕成社発行
『いちむし』アクアコーラル企画発行
『学研生物図鑑』本間三郎編、株式会社学習研究社発行
『昆虫の図鑑 採集と標本の作り方』福田春夫、他著、株式会社南方新社社発行
『原色昆虫大図鑑』井上寛・岡野磨瑳郎・白木隆他著、株式会社北隆館発行