薬草の勉強を始めて半年以上になるが、その間、数冊の薬草に関する文献を読んだ。その薬草の中心は沖縄の薬草であり、それを包むように日本の薬草や漢方薬も少し齧り、そして、さらにその外側の西洋のハーブについても少し勉強していた。
薬草の本のいくつかにフジボグサがあり、その花穂の見た目がラベンダーに似ているのでその類かと思ったのだが違っていた。フジボグサはマメ科の木だった。
薬草の本のいくつかにはまた、ウツボグサというのもあり、じつは私は、フジボグサとウツボグサを混同していた。ウツボグサはシソ科の多年草で「その花穂の見た目がラベンダーに似ている」のはこれであった。頭の中にいろんな薬草、ハーブがゴチャゴチャと入り交ざって、只でさえ記憶力の弱い私の脳味噌は整理不能となっていたようだ。
只でさえ年取って脳の力が弱りつつあるのに、新たに薬草の勉強を始める、いや、それはまだいい。沖縄の薬草であれば見慣れているのも多いので覚えやすい。だが、そこにハーブまで加えたことが間違いの元。ハーブは種類が多い。同科同属に品種が多くある。同科同属は見た目も似ている。日常的に傍にあったとしても覚えるのはきっと難しい。
フジボグサをウツボグサと混同して、調べて下記の説明文を書いたが、野生のフジボグサに私はまだ出会っていない。文献によるとその分布は「宮古、石垣、小浜、西表」となっていて沖縄島には自生が無いようである。だから出会っていないのであろう。私が見たのは海洋博公園の植物展示室。鉢物で展示されていた。下の写真はそれ。
フジボグサ(藤穂草):添景・薬用
マメ科の常緑低木 宮古、石垣、小浜、西表に分布 方言名:マユシヌブ
名前の由来は資料が無く正確には不明だが、見た目と『琉球の樹木』にある漢字表記の藤穂草とその説明文から想像はつく。花の色が藤色(淡紫色)で、茎の先に長さ20~30センチの総状花序をつける。それが藤の花穂に似ていることからと思われる。『琉球の樹木』によると、本種は低木に分類されている、それなのに「草」とつくのはそう見えるからであろう。別の文献、『沖縄植物野外観察図鑑』などには「多年草」とあった。
野原の明るい所に生え、高さは30~150センチになる。葉は奇数羽状複葉で小葉は1~4対、小葉の長さは6~12センチ、草全体に細かい毛がある。
花は茎の先端に長さ20~30センチの直立した狭円筒状の花序をつけ、多数の花を次々と咲かせる、花色は淡紫から紅紫色で開花期は初夏。全草が薬用になる。
記:島乃ガジ丸 2019.2.17 →沖縄の草木目次
参考文献
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『沖縄の都市緑化植物図鑑』(財)海洋博覧会記念公園管理財団編集、同財団発行
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『親子で見る身近な植物図鑑』いじゅの会著、(株)沖縄出版発行
『野外ハンドブック樹木』富成忠夫著、株式会社山と渓谷社発行
『植物和名の語源』深津正著、(株)八坂書房発行
『寺崎日本植物図譜』奥山春季編、(株)平凡社発行
『琉球弧野山の花』片野田逸郎著、(株)南方新社発行
『原色観葉植物写真集』(社)日本インドア・ガーデン協会編、誠文堂新光社発行
『名前といわれ野の草花図鑑』杉村昇著、偕成社発行
『亜熱帯沖縄の花』アクアコーラル企画編集部編集、屋比久壮実発行
『沖縄四季の花木』沖縄生物教育研究会著、沖縄タイムス社発行
『沖縄の野山を楽しむ植物の本』屋比久壮実著、発行
『海岸植物の本』アクアコーラル企画発行
『花の園芸大百科』株式会社主婦と生活社発行
『新しい植木事典』三上常夫・若林芳樹共著 成美堂出版発行
『花合わせ実用図鑑』株式会社六耀社発行
『日本の帰化植物』株式会社平凡社発行
『花と木の名前1200がよくわかる図鑑』株式会社主婦と生活社発行
『熱帯植物散策』小林英治著、東京書籍発行
『花卉園芸大百科』社団法人農山漁村文化協会発行
『ニッポンの野菜』丹野清志著、株式会社玄光社発行
『藤田智の野菜づくり大全』藤田智監修、NHK出版編
『やんばる樹木観察図鑑』與那原正勝著、ぱる3企画発行
『熱帯の果実』小島裕著、新星図書出版発行
『熱帯花木と観葉植物図鑑』(社)日本インドアグリーン協会編、株式会社誠久堂発行
『ハーブを楽しむ本』川口昌栄編集、株式会社集英社発行
『琉球薬草誌』下地清吉著、琉球書房発行
『沖縄やんばるフィールド図鑑』 湊和雄著 実業之日本社発行
『グリーン・ライブラリー』タイムライフブックス発行
『ネイチャーガイド 琉球の樹木』大川智史・林将之著、株式会社文一総合出版発行
『つる植物』沖縄都市環境研究会著 (有)沖縄出版発行
『熱帯アジアの花』ウィリアム・ウォーレン著、チャールズ・イー・タトル出版発行
『講談社園芸大百科事典』野間省一編集、講談社発行
『沖縄の薬草百科』多和田真淳・大田文子著、那覇出版社発行
『沖縄薬草のききめ』多和田真淳著・発行
『身近な薬草活用手帖』寺林進監修、株式会社誠文堂新光社発行
『食べる野草と薬草』川原勝征著、株式会社南方新社発行
『薬用植物大事典』田中孝治著、社団法人家の光協会発行
『薬になる植物図鑑』増田和夫監修、柏書房株式会社発行
『沖縄食材図鑑』田崎聡著、有限会社楽園計画発行