もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

北朝鮮への経済制裁

2017年11月23日 | 社会・政治問題

 日本の追加制裁に加え、アメリカが13団体などへの追加制裁を決定した。

 日本の追加制裁対象が35団体に及ぶことも驚きであったが、アメリカが追加した団体には過去数年間・数百億円に及ぶ輸出入に関わった企業が含まれていると報じられているのは更なる驚きである。なぜ、このように巨額の取引を行っていた団体が、段階的に・複数回にわたる経済制裁対象から外れていたのだろうかという驚きである。複雑な商取引の実態解明に時間を要したのだろうか、それとも制裁対象が中国に籍を置く企業であったためなのだろうか。素人である自分が考える経済制裁と言えば、大東亜戦争惹起の要因となったABCD包囲網や戦国時代の兵糧攻めのような全面禁輸・ゼロオフという単純なイメージであるが、現代の経済制裁は相手国民の生活を維持するための経済活動(民生用の原油や食料等)は容認しなければならないというジレンマに満ちた手段を選択しなければならないのだろう。民生用品と軍需用品の線引きが困難であることは言われ続けてきた。日本企業がビデオデッキのために開発した高性能ベアリングが、イランの核物質濃縮用の遠心分離器に転用されたことや、トヨタのランドクルーザーが第3世界の軍用車両として活躍しているのは有名な話である。このように軍民が供用できる状態を「デュエル・ユース(二重用途)」と呼ぶことを初めて知ったが、北朝鮮に対しては民需を圧迫する恐れもあるデュエル・ユース品を含めた広範囲で完全な経済制裁を希望するものである。

 ここ2か月間北朝鮮が核実験やミサイル発射を行っていないのは、一連の核・ミサイル技術の開発を完了して量産体制に移行したためとの観測が韓国から流れて来た。事実とすれば、民生維持との美名に隠れて国連の制裁決議違反を続けた中国の勝利であるかもしれない。