安倍内閣の支持率急落によって、秋の自民党総裁選での党首交代はもとより、倒閣の動きすら出ている。
今、安倍内閣を倒して新政権に移行することが得策なのだろうかと疑問に感じている。全人代を終えて権力基盤を盤石として覇権の野望を剥き出しにした中国、米朝会談を踏み台として国際的な認知を得ようと画策する北朝鮮、強気のプーチン長期政権を選択したロシア、安全保障と通商をセットにして周辺国を恫喝するアメリカ、腰の定まらぬ大統領に率いられた韓国、昭和天皇の御製さながらの四海波立つ国際情勢下の舵取りに、安倍総理を超える人材がいるのだろうか。巷間取り沙汰される石破氏は論語読みの頭でっかちの印象であり、強みとされる米国安全保障関係者との人脈も、民主党政権下で関与政策を推進したメンバーであるためにトランプ政権下では中枢から除外されているとみるべきであろうし。岸田氏は外相としての実績を誇るものの安倍総理の指示・指導に支えられての実績でしかないと思われる。このように人を得ていないのはともかくとして、問題とすべきは種々の問題に対する国会の論議が一向に聞こえてこないことであると思う。本来ならば総務委員会もしくは財政金融委員会で質疑されるべき森友文書問題を予算委員会で質疑し、アメリカの懲罰的関税に対しての取り組みが討議・交渉されるであろうG20にも財務大臣が出席できないという事態を招いている。行政府の瑕疵を攻撃し正すことは立法府の責務であろうが、日本の置かれた現状を考えるならば、あまりにも「木を見て森を見ない所業」と思わざるを得ない。オーストラリアでは増加する中国の影響を局限する法律を整備した。豪の知識人は日本でも対中防護策を早期に整備すべきであると警鐘を鳴らしている。森友文書の解読・防衛に血眼の議員諸氏には、もっと優先すべき事柄があることを自覚して、中国の影響力を排除するための議員立法を目指す程度の自覚は欲しいものである。
以上の理由から、長期政権で培った外国要人との人脈もさることながら中韓からは右翼との尊称を得た安倍総理は、国益を託すに足る宰相と思うのだが。