もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

コロナと五省

2021年01月12日 | コロナ

 関東4都県は既に、関西3府県は今日にも、愛知・岐阜・熊本も多分、緊急事態宣言の範囲はますます拡大するだろう。

 それにつれて大きくなったのが、「緊急事態宣言の発令が遅い」との大合唱である。緊急事態宣言後の街頭インタビューでは、明らかに病院通いや食糧の買い出しとは思えない《着飾った銀座マダム》までもが「遅い」とのたまわっていた。『緊急事態を宣言せざるを得なくなったのは、アンタのようにフラフラ出歩く人がいるからダッ』とツッコミを入れそうになったが、これが平均的な世相であるのかと我慢した。
 強制力や罰則が伴わない緊急事態宣言では、不要不急の外出や歓楽街の営業活動を根絶することは不可能であることは、宣言後にあっても歓楽街の人出が2~3割減に留まっていることからも明らかで、問題は緊急事態宣言の遅速ではなく個人の意識・自覚であるように思える。前述のマダムの例に戻れば、不要不急行動をする理由として、先ずは宣言が無いことを挙げ、宣言後にあっては、「マスクをしている」「大人数ではない」「安全な店を選んでいる」・・・等の限りない理由を見つけることだろう。
 かっては不治の病とされた結核・小児麻痺・ハンセン病等は医療の進歩によって日本では殆ど新規感染は根絶したとされているが、それでも”0”ではないようで、感染症との戦いには極めて長期間に及ぶと考えられる。中国ウィルスとの戦いも同様で、しかもイギリス、南アフリカ、ブラジルでウィルスがより感染力が強いものに変異したことや、開発されたワクチンの効果持続性が不明でインフルエンザワクチンのように毎年接種しなければならないともなれば、対コロナ戦争は永遠に続くもので「コロナ以後の世界」は来ないのかも知れないと悲観している。
 永遠に続くかも知れないコロナ戦争を耐えるためには、新型インフルエンザ等対策特別措置法に強制力を与える改正も一策ではあろうが、根本的な解決は迂遠ではあっても個人の自覚と自制でしかないように思う。

 海軍兵学校には海軍士官の人格陶冶の基本となる五省訓が掲げられ、生徒は日々自省したとされている。一般社会・軍人世界を問わず、周囲から反感を持たれるのは言行が一致しないことではないだろうか。古人も「百日の説法屁一つ」として如何に正論を述べて尊敬される人でも、一つの愚行で全ての尊厳を失うと諭し、五省では「言行に恥ずる勿かりしか」と自省を求めている。総理や議員先生の会食もそれに該当するであろうし、寅さんは「私こと思い起こせば恥ずかしきことの数々・・」とする傍らで同じ失敗を繰り返している。極めて小物で世間様への影響など全くない自分にしても「言行に恥ずる」ばかりで「恥ずかしきことの数々」であるが、コロナ戦争においては冒頭のマダムにも「ツッコめる生活」を心掛けようと思う。
 最後に、五省訓を掲げて自省のバネにしたい(掲載は2回目で、自戒したことはは数知れず。)

海軍兵学校五省
一 至誠に悖(もと)る勿かりしか(誠実さや真心、人の道に背くところはなかったか)
二 言行に恥づる勿かりしか(発言や行動に、過ちや反省するところはなかったか)
三 気力に缺(か)くる勿かりしか(物事を成し遂げようとする精神力は、十分であったか)
四 努力に憾(うら)み勿かりしか(目的を達成するために、惜しみなく努力したか)
五 不精に亘(わた)る勿かりしか(怠けたり、面倒くさがったりしたことはなかったか)