大統領選と中国コロナによってアメリカの混迷・分断が顕在化し、次期政権下ではアメリカの相対的な地位確実に衰退すると観ている。
混迷・分断の兆候としての象徴的な例は、今回の大統領選が必ずしも公正には行われなかったことである。投・開票場における各陣営支持者の衝突、不正選挙の申し立てに対しては究明・審理することなく門前払いされる等、両支持者間に大きなしこりを残した。最後には、今月6日の大統領選結果確定のための上・下院合同会議にトランプ大統領支持者らが乱入して議事堂を一時占拠して州兵まで出動する事態に発展して5名の死者まで出してしまった。
凡そ先進国の選挙で議事堂が占拠されたり死者まで出ることは考えられない。まるで内戦直後に国連の監視下で行われる選挙の様相で、自由陣営の盟主としての良識など露ほども感じられない出来事であるが、如何にアメリカ社会が分断されているのかを示しているように思えてならない。
大統領選で明らかとなった分断は、民主・共和両党の確執であり騒擾は一部の熱狂的な支持者の行動と観ることもできるが、バイデン氏が次期閣僚の多くにマイノリティー起用を示唆していることや、民主党内部にもバイデン氏の急進左派的政権運営を危惧する向きもあるとされ、そうなれば、分断は白人によるアメリカ支配を至上とする階層VS左傾勢力VSマイノリティの複雑な対立に拡大変化する可能性が有るように思える。
バイデン氏が正常な判断力を維持するならばアメリカ社会の分断を克服できる指導力を発揮するであろうが、アメリカでは既に痴呆症気味のバイデン氏に代わり、バイデン氏よりも更に急進左派であるカマラ・ハリス次期副大統領の大統領就任が確実視されており、ハリス大統領が実現すればアメリカの分断はより深く・大きくなるのであろうと推察している。
アメリカの混乱拡大・発言力低下・国際社会での孤立を適確に予測しているのは、習近平氏であろうと推測している。バイデン氏からアジア情勢に疎い国防長官指名という対中軟化のシグナルに習氏は、間髪を入れずにWHO調査団の中国入りを事実上拒否して回答したかのようである。さらに習氏が巧妙であるのは、アメリカの孤立を早めるためにEUに大攻勢を仕掛けるとともに、金正恩氏に対米会話再開をうかがわせる内容の演説をさせた。これらの、対中軍事費の削減や米朝会談実現としてバイデン大統領の国内支持向上に繋がるもので、バイデン氏に恩を売れるからである。
バイデン(ハリス)大統領の媚中政策によって直接に・直ちに大きな打撃を受けるのは、台湾・香港次いで日本であろうと考える。菅首相は尖閣諸島が日米安保の適用範囲との言質を得て、日米関係に大きな変更は無いとしているが、安閑とはしておれないと思っている。