もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

衣食足りて礼節を知る

2021年01月05日 | 社会・政治問題

 2回目の緊急事態宣言が、早ければ7日にも発令される状況となった。

 今回の緊急事態宣言は、関東の1都3県が対象とされており、該当する都県では既に酒類を提供する飲食業種に対して、終業時間を午後8時までとする時短要請を発出している。
 これまでメディアで発言する経営者は、略「○○を通じて社会に貢献したい」「お客の笑顔が最大の喜び」と述べていたように思うが、昨今聞こえてくるのは「売り上げが激減した」「休業補償は少なすぎる」の声ばかりのように感じる。おそらく両者ともに真実であろうと思えるが、決定的に違うのは「金銭の多寡」の違いに起因するものはないだろうか。
 古人は”人はパンのみにて生きるに非ず””仙人は霞を食べる”と説いたような理想や信念を金銭欲に勝る高みに置いているが、一方で論語は”衣食足りて礼節を知る”と衣食が足りることが社会生活の前提(根幹)と説いている。コロナ禍以前における経営者の発言は将に金銭欲よりも理想や信念を高みに置くもので、些か眉唾の感を抱きつつも一面では納得していた。しかしながら現在の経営者の言は、自分の衣食が足りる方策が唯一の目標であるように感じられる。飲食業種の経営者にとっては酷な言い方であろうが、これまでサラリーマンや一次産業従事者には経験できないことも多分あったであろうことや日本には飲食業を国有化する程の余力は無いことを思えば、コロナ禍の打撃は”塞翁が馬”と諦めてもらうしかない。
 先進国の産業構造は、国民の生活費以外の余裕分を如何に吸い上げることを目標として維持発展したと思っている。とりわけ日本では、そのための安直な手段として飲食業に代表される第3次産業がもてはやされ、先進国では類を見ない労働力の偏重が起きていると思っている。しかしながら、コロナ禍終息以後を考えると、経済の停滞・後退に伴って国民のゆとりは消え、さらにはコロナ禍で衰退した国力回復に伴う負担増が求められることは必至で、そうなれば日本経済、とりわけ第3次産業を支えていた国民の消費意欲は消えて、再びコロナ禍以前の状態に戻ることは無いように思える。

 今回のコロナ禍は、戦争による変革以上の大変革を全世界に及ぼすと思っている。世界的には、トランプ大統領が敗北しアメリカの指導力が低下すること、国連の調停能力が著しく減退するとともに西側職区の混乱に乗じてコロナ犯中国が発言力を増していることが挙げられるが、日本でも緊急条項を持たない憲法の脆弱性(私権強制の限界)が明るみにされたことや産業構造・労働力再配分等が提起されるであろうこと、これらの決着がどのようにつくのか老い先短い身ながら、注視したいと思っている。