産経新聞に掲載された、精神科医の和田秀樹氏へのインタビューで「嫉妬心」が解説されていた。
自分は、「嫉妬」の英訳は「ジェラシー」と思っていたが、精神分析学では嫉妬には二つ(又はそれ以上?)の概念があるらしく、氏の解説を抄訳引用すると、
《ジェラシー:自分より勝っている人間に追いつき・追い越そうという心理で向上心をもたらすプラスの一面を持つ》
《エンビー:相手に自分より勝っている点を見つけた時、破壊したいという衝動を抱く心理》
とされている。
氏はさらに言を次いで《戦後復興や高度成長を成し遂げた背景には、米国より・他人より「豊かに成ろう」、「偉く成ろう」というジェラシーを国民全体が共有していたが、政治家の子は政治家に、豊かな家庭の子は豊かに・偉くなるという階層の固定化が定着してきた現在では、エンビーの要素が大きくなって「他人の足を引っ張ることをためらわなくなった》ともされている。
我が身を振り返れば、お金持ち・頭脳明晰者・イケメン・絵の巧者・・・に対して羨望を超えて人一倍以上の嫉み心を持っているが、努力嫌いでとうの昔にジェラシーは忘れ、近年ではエンビーさえ放つ気力を失っている。
氏はエンビーの要素が疑われる例として「松川訪仏団へのバッシング」を挙げておられる。バッシング理由の多くは「税金・公費の無駄遣い」とするものであるが、党費=税金という数式は必ずしも正確でないことから主張の根底には「恵まれた人への攻撃」というエンビーが少なからずあるのではとされている。氏の名誉のために付け加えると、氏は文中で「訪仏団の行動は不適切ではあるが」とされている。
社会から祝福されたり同情されたりした人に対して誹謗中傷を投げつける人、他人の高級車を傷つける人・・・。共通するのはそれらを発奮材料とするジェラシー嫉妬よりも壊してやれというエンビー嫉妬であるのかも知れない。
そういえば、大臣のウナギ弁当を糾弾した議員がいたが、エンビーに突き動かされた「足の引っ張り」と観れば納得できるようにも思える。