もうチョットで日曜画家 (元海上自衛官の独白)

技量上がらぬ故の腹いせにせず。更にヘイトに堕せずをモットーに。

尹錫悦政権の積弊清算を歓迎

2023年01月21日 | 軍事

 韓国恒例の積弊清算が伝えられているが、今回は従来とは聊か事異なる一面もあるように思える。

 従来の積弊清算では、旧政権中枢に関連する経済的な腐敗追及が主であったように思えるが、今回の積弊清算は「親北思想」の排除という面が大きいと観ている。
 今回の捜査対象とされる罪状は、選挙干渉・妨害容疑が多いものの、親北勢力の牙城と観られている「民主労総」への家宅捜索などと併せ観ると、文政権における親北思想の蔓延は抜き差しならぬ程度まで拡大していることは疑いようもないように思える。
 文在寅前大統領は、在任中から「北朝鮮の主席報道官」と揶揄されるほど親北を隠さなかったし、西側諸国からも北朝鮮への原油瀬取りや先進技術の迂回輸出など国連決議違反が疑われる行為取り締まりに手心を加えているのではとの疑念を持たれていた。政権交代で官僚の中枢まで交替する韓国の制度化にあっては、その文在寅氏が任命若しくは重用した勢力は当然に親北で占められることになり、西側諸国の「韓国疲れ」の最大の要因ともなっていた。
 かっては、韓国での北朝鮮スパイの摘発は日常茶飯事であったが、文政権下にあっては殆ど報じられることが無かったことは、スパイがいなくなったのではなく政権の司法指揮で摘発ができなかったのではないだろうか。
 まだ、親北勢力に対する清算捜査は韓国軍にまで及んでいないようであるが、自衛隊機に対する射撃レーダ照射、北朝鮮の砲撃に対抗して発射したミサイルの爆発、北方限界線海域における海軍の不手際などから考えると、軍内における北シンパの存在も杞憂とは出来ないようにも思える。

 台湾陸軍でも、上級司令部の中枢幹部が中国工作員として逮捕されたことが報じられた。肝心の日本でも、OB提督に特定防衛秘密を漏洩した1等海佐が懲戒免職となった。
 二つの事例から「西側社会の軍の箍(たが)が緩んでいる」と指摘する向きもあると思うが、過度の個人情報保護も遠因の一つであるのではと思っている。日本の場合では、隊員の思想調査はできなくなったために、公然と活動することに対しては「隊員の政治活動禁止」によって排除できるものの、非公然活動については把握しようがないと思っている。
 これらの情報保全・防諜の脆弱性改善のために高市早苗議員が提唱・主導されている「セキリュティ・クリアランス制度」を早期に整備して、情報段階に応じたアクセス制限を設ける必要があると思う。
 「箍の緩み」は一般社会でも見られ、勤務先の機密情報を以って同業他社に高額で鞍替えする不心得者の例が度々報じられていることを思えば、「箍」は文明病として対処せざるを得ないのかもしれない。


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