今日はその3ですね。 この辺りから記憶が飛んでいます。ですから、小学の高学年なのか、中学へ上がる頃なのかよく自分でも覚えていません。
自分の記憶の中では、ヒヨコの黄色い毛が抜けて、白い鶏になり始めて、虫籠に入り切れなくなり、同時に、家の中であちらこちらにフンをしまくって、その掃除が大変だった事は覚えています。
ただね、ほんとうに可愛かった。 学校から帰ると、玄関辺りからぴよたろうの鳴く声が聞こえました。そして家に入るや否や、自分で虫かごの蓋を開けて(簡単な構造でしたから)、ぴょんと籠の上で待っているんですね。
勉強などそっちのけでした(さぞかし両親は心配だったと思います)。
たかが家畜です。ニワトリなど家畜の扱いです。 「大きくなったらどうするの?」
母の口癖でした。
どれくらい月日が経ったんでしょう。いつしか、ぴよたろうの頭に小さなトサカのような物が生えて来ました。
今でこそトサカとわかるのですが、当時はどこかで頭を打って血が出ていると思い込みましたよ。何せ虫かごですから。
それで、休みの日に、知り合いから材料を頂いたり、倉庫にあった、いらない木を組み合わせて、小さな犬小屋程の鳥籠を作ったのでした。その頃には家の中には置けず、玄関の横(つまり外)に置くことになっていました。夜には暖かく毛布を2重にかけて、毎朝と夕方の餌やりと散歩が日課でした。
散歩のときは、僕の後をどこまでも付いてくるんですよ。 邪魔な位にね。 その頃にはトサカも立派になり、大きなニワトリに成長していましたよ。
ニワトリって10m位なら飛ぶって知ってました? 当時親戚のおじさんに話をしても信じてもらえなくて、ある時、家に親戚の人が遊びに来た時に、丁度ぴよたろうの散歩の時間でね。 適当に畑で遊ばしていたんですね。
そしてかくかくしかじかとおじさんに話をしても「そんなバカな!」でしたよ。何せゲージの中に入った家畜です。卵を産まなければ、肉にされる家畜です。卵を産んでもその価値は「肉」しかありません。それが当時は普通の感覚だったのでしょう。
「じゃーおじさん。 名前を呼ぶから見ててね。」と僕が「ぴよたろう」と呼ぶと、畑の方から10メートル位飛んで僕の腕に飛び乗って来るんですよ。まるで、高匠の鷹みたいにね。
それにはおじさんも驚きを隠せなかったようです。「へー慣れてるね」って感じでした。
ぴよたろうにはもう一つ、当時では不思議な癖?があって、少量の砂の上で、砂浴びをするんです。僕は「変な事するな?」くらいにしか思わなかったのですが、体がかゆいのかな? と思って、ぴよたろうの体をよーく調べると、「あれ!変な黒い小さな物が」それがぴょんぴょん跳ねるんです。
びっくり仰天です。すぐに親を呼んで見てもらうと、「ノミだぞこれ」という話になり、そういえば最近倉庫の中を見てないなという話になり、おやじが倉庫(結構大きな倉庫です。田舎ですから)の奥の方を調べに行くと、なんとなんと野良猫がちゃっかり子供を産んでいました。 一大事です。 番犬がいるのに野良猫か?って・・・。とにかく、猫退治と、ノミ退治で大変でした。 猫は鶏を襲います。 仕方が無い事です。そして、倉庫の穴などを塞ぐ処理などを行いました。その頃の番犬はもう老犬でしたし、倉庫と家が離れてましたからね。そんなわけで、今思えばぴよたろうが身をもってノミの存在を知らせてくれたんだとね。
ぴよたろうに感謝です。夏でしたから、ぴよたろうを綺麗にあらって、赤くなってるお腹に軟膏を塗ってあがました。「ごめんよぴよたろう」そして月日が流れます。
続きは明日です。今日も読んでくださった方に感謝。