ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

体験語る精神障害者たちに反響続々 広がる理解 

2009年01月22日 01時04分56秒 | 障害者の自立
 神戸市の精神障害者のグループが、自らの体験を語る活動を昨春始め、県内の大学などから依頼が舞い込み、注目を集めている。幻覚などの症状だけでなく、日々の暮らしの悩みも詳しく話す。目指すのは「精神障害への理解が広がり、バリアーのない社会をともに作ること」だ。(中島摩子)

 体験を語っているのは、神戸市中央区の特定非営利活動法人(NPO法人)「中央むつみ会」が、精神障害者向けに運営する就労継続支援事業所で働く八人。「『障がいがあって生きる』体験談を語る事業」として、昨年三月にスタートさせた。

 一回約九十分。最初にソーシャルワーカーが障害の概要などを説明したあと、メンバーがマイクを握る。看護や福祉関係の大学や専門学校のほか、播磨や丹波地方のシルバー人材センター、高齢者大学などから依頼があり、これまでに九回実施した。今後は小学校にも出掛ける予定という。

 代表を務めるのは、統合失調症の女性(54)。二十七歳で発病し、幻聴に悩まされたことや、入退院を繰り返したあと、家族や勤務先などの支えで自立生活を送っていることなどを話している。

 障害を公に話すことは初めてだったため、最初は緊張のあまり震えた。しかし、聞いた人から「精神障害者に対する見方が変わりました」「誰でも起こりうる障害だと分かりました」などの感想が届き、役に立てた手応えを感じているという。

 厚生労働省によると、精神障害者は全国に約三百二万人。女性は「障害者もみんなと同じ社会で生きている。周囲の支援があれば、もっと生きやすくなる。その一歩として事業を続けたい」と話す。

 体験事業の受け付けは中央むつみ会TEL078・262・7511

点字が拓く:ブライユ生誕200年/2 日本初の全盲の弁護士・竹下義樹さん

2009年01月22日 01時01分28秒 | 障害者の自立
◇障害者自身が自己実現できる時代に--竹下義樹さん(57)
 「ブライユのおかげで、私は弁護士になれました」。昨年10月のパリ。障害者差別禁止法制定に向けて日本弁護士連合会の調査団長として渡仏した竹下義樹さん(57)=京都弁護士会=は、日仏の法曹関係者らを前に、点字を発明した仏人への感謝の言葉を万感の思いを込めて述べた。

 日本初の全盲の弁護士として活動を続けて約四半世紀。会議室にこだまする拍手を聞きながら、竹下さんは「盲人にとってかけがえのない情報の窓」である点字ヘの深謝の念を改めて抱いた。

 石川県輪島市で育った。中学3年生の時、相撲部でのけいこが原因で網膜はく離となり、失明した。

 「自分の両目と取り換えてもいいから息子を助けてくれ」。父は医師にすがった。母も伯母の家に行って号泣した。しかし、竹下さんがこの話を知ったのは成人後。「僕の前で、両親は悲観した雰囲気を全く感じさせなかった」と振り返る。

 失明後間もなく、能登半島の雪の中を母に手をひかれて7、8キロ歩いた冬の日を鮮明に覚えている。向かったのは、母の小学校の同級生宅。金沢にある県立盲学校に通う全盲の娘が帰省していた。

 「点字を教えてください」。母は息子のために点字盤や50音の一覧表を借りてくれた。竹下さんの点字との出合いである。「プツンと点を打ったものを文字だと言われても『不思議だな』としか感じなかった」。だが、指でなぞるうち「なんて規則正しく作られているのか」と気付き、2日足らずで習得した。

 盲学校に弁論部を作るなど話術が巧みだったこともあり、法廷で議論を戦わす弁護士になりたいと夢を抱いた。京都の龍谷大法学部に71年、点字受験で合格。しかし、司法試験は当時、点字での受験を認めていなかった。

 門前払いを続ける法務省。対して、竹下さんを支援する学生や司法修習生たちの輪は100人にも広がり、73年に点字受験が認められる。仲間とボランティアが点訳してくれた参考書200冊、テープ1000本で勉強を重ねた。そして9回目の受験となった30歳の時、合格の知らせが届いた。

 初心である「障害者の権利擁護」を貫き、事務所の5人の同僚とともに200件以上の訴訟を受け持ち奔走する。この間、自身が切り開いた点字受験によって視覚障害を持つ後輩弁護士が3人誕生した。「彼らは僕にとって何よりの誇りです」

 昨年、障害者権利条約が発効した。「これからは障害者自身が自己実現できる時代になっていく」。明るい未来を感じ取っている。