ゴエモンのつぶやき

日頃思ったこと、世の中の矛盾を語ろう(*^_^*)

「サラマンカ宣言」から「障害者権利条約」へ

2009年01月24日 00時45分42秒 | 障害者の自立
 この本はDPI日本会議の編集になる『DPIわれら自身の声』(Vol.24、No.3、2008年10月16日)に掲載されている安積遊歩さんの書評で知ったものである。すでに安積さんによる整った書評がある。ぜひ、現物を手にとってほしい。しかし、私流に勝手に紹介しよう。なお、国連の障害者権利条約については日本で出版されたものも多い(その一つは、私がこのページでも紹介した障害児を普通学校へ・全国連絡会編の『障害者権利条約――わかりやすい全訳でフル活用!!』である)。

■ 完全な2部構成になっている本書
 第一部が嶺井雅也さんによる「インクルーシヴ教育を求めて」である。第二部としてシャロン・ラストマイアーさんになる原文の日本語訳があるインクルーシヴ教育の具体的事例である「カースティとインクルージョン」がある。

 私が見た限り、第一部と第二部と個々に目次がついている。全体の目次は見当たらない。2つの本が合わさった感じになっているつくりである。

 嶺井さんの文章は「サラマンカ宣言」(1994年)と2006年の国連での権利条約制定に始まる2007年に日本政府が署名した動きを丹念に追っている。嶺井さんが恐れているノーマライゼーション理念と同様の「換骨奪胎」がすでに始まっていることを示している。

 そこにあるのは、分離・別学体制を前提にする「インクルーシヴ教育」という奇妙なものである。嶺井さんが感じとっていらっしゃる危険性は、現実に姿をあらわしている。

 インクルーシヴ教育が今の社会では抵抗を受けやすく、さらに変形されやすい。第二部に置かれているシャロン・ラストマイアーさんの「カースティとインクルージョン」でも見られる。しかも、本人たちは社会生活を思いきり楽しんでいる様子がはっきり見える。

■ 原点に戻って考える
 嶺井さんは、1994年にユネスコがサラマンカ宣言を採択した時点に戻って、原則をもういちど確認されている。スペインのサラマンカという地理も含めてである。当時は社会的排除や社会的包摂はもちろん、インクルージョンという言葉自体も日本にはまだ紹介されていない時代であった。この宣言でしきりに使われている「インクルーシヴ教育」も、日本語への訳語から議論になったという。

 と同時に、国連の障害者権利条約の制定過程も作業部会の草案から取り上げられている。国連での議論のなかで、分離型の特別教育自体が徹底的に批判されていることがわかる。

 こうした過程を辿ると、日本政府の、とりわけ外務省が仮訳したという訳語についても、問題があることが明確になる。訳語に苦労した嶺井さんだから指摘できるのであろう(なお、先に本を紹介した障害児を普通学校へ・全国連絡会が編集している『障害児を普通学校へ』でも機関誌で、日本語訳の問題性についても指摘していたと思う)。

■ 教育面から国連障害者の権利条約の重要性を説いている
 これまでにも、障害の定義を巡ってなど、社会的権利については多くの指摘があった。本書では、教育についても国連の障害者権利条約について詳細が明かにされている。しかも、原則にたち戻って、共に学び共に生きる関係が明らかにされている。

 まさに副題にあるとおり「サラマンカ宣言」から「障害者権利条約」に向う歩みを、述べている。インクルージョンという社会政策も、教育から大きな動きがあったことも分かる。

 障害者たちが動くことによって、日本社会も大きく変わるだろう。インクルージョン社会に変えていきたい。障害者たちが試みるとともに、私たち、その他の人々も力を合わせるときだろう。本書は体裁は小さく重さも軽いが、ぎっしり詰まった内容に圧倒されないように、エネルギーを蓄えたときに読む本だろう。

嶺井 雅也/シャロン・ラストマイアー 著『インクルーシヴ教育に向って――「サラマンカ宣言」から「障害者権利条約」へ――』
2008年、八月書館、110ページ、ISBN978―4―938140―58―8

ジョブコーチ:障害者の就労を支援する人材育成--あす下関で実践セミナー /山口

2009年01月24日 00時43分15秒 | 障害者の自立
 障害者の就労を支援する「ジョブコーチ」を育てようと、セミナーが24日午前10時20分から、下関市竹崎町のシーモールホールで開かれる。障害者を雇用する企業代表ら7人が、実践のノウハウを紹介する。学校の先生や社会福祉法人職員、保護者らに参加を呼びかけている。当日参加も可能で3000円。

 主催はNPO法人「ジョブコーチ・ネットワーク」。横浜市の社会福祉法人で自閉症の人たちの就労を支援してきた小川浩代表(大妻女子大教授)らが06年に設立し、全国で講座を開いている。

 障害のある人と企業の“本音”を通訳するのがジョブコーチの役割。下関市で発達障害のある子どもの母親が運営するNPO法人「シンフォニーネット」が開催を申し出た。

 24日は、宇部興産の特例子会社、リベルタス興産の有田信二郎社長らが、障害者を雇用した企業に続けているサポート事例を報告。東京や広島のジョブコーチからは企業と交渉を進めるうえで不可欠な知識を紹介する。

 セミナー実行委員会事務局(090・3635・4910)の岸田あすかさんは「仕事を定着させるには、働く人の特性を見て教える部分と見守る部分の判断にコツがある」と参加を呼び掛けている。

障害者雇用:厳しく 求職1401人に就職50人--昨年4~11月の月平均 /石川

2009年01月24日 00時41分38秒 | 障害者の自立
 ◇県内6ハローワーク、昨年4~11月の月平均
 ◇希望者19%増にも不況の逆風で滞留--前年同期比
 経済情勢の悪化で、障害者の雇用環境が厳しさを増している。石川労働局によると、昨年4~11月、県内で仕事を求めている障害者は月平均で前年より2割増加。企業活動が後退し、就労が滞っている。養護学校など関係者は「働くことは社会参加であり、社会的自立」と、雇用の維持へ企業の理解を訴えている。

 同労働局は、県内6カ所のハローワークで月末ごとに障害者の雇用状況を調査。昨年4~11月の月平均の有効求職者数は、前年同期比19%増の1401人だった。

 障害別では、身体834人(10%増)▽知的206人(13%増)▽精神など361人(55%増)。06年導入の障害者自立支援法で、新たに施策の枠組みに入った精神障害者の滞留が目立っている。

 一方、ハローワークの紹介での就職は計396人(月平均50人)で2・6%の微増。ただ、11月は40人と少なかった。ハローワーク金沢は「企業から、不況を理由に難色を示される例が増えた」とし、障害者を多く受け入れてきた製造業が急速に生産調整を進める状況に懸念を示す。

 ◇生徒実習先確保に奔走--養護学校
 明和養護学校(野々市町)では、就職希望者は約10人で、ほぼ内定したのは半数だ。就労の鍵となる実習先として生徒60人分が必要で、前向きな企業や人手不足の業種を探している。進路担当教諭は「企業も仕事と人が減り、実習生を見る余裕がないようだ」。別の養護学校では全教職員に1人1件の実習先紹介を求めるなど、生徒の自立に向けた雇用確保に必死だ。

 障害者雇用には各種助成制度があり、補正予算案でも初めて雇う中小企業に奨励金100万円を支給する制度が国会審議中だ。石川労働局では「助成を利用して雇用維持に努めてほしい。ハローワーク職員が企業に同行訪問するなど足を使った就業支援も進めたい」と話す。

障害者就職支援セミナー

2009年01月24日 00時40分37秒 | 障害者の自立
障害者の就職を支援しようと22日、伊那市のいなっせで就業支援セミナーが開かれた。会場には障害のある人や支援者、企業経営者など約100人が集まった。

 このセミナーは、地域全体で障害者の就業を促進しようと、南信障害者就業支援ネットワークが開いた。

 宮城県で会社を経営する大場俊孝社長が講師を務め、「障害を乗り越えて働くために」という演題で講演した。

 大場社長は、全社員の2割にあたる10人の精神障害者を雇用している。

 障害者の雇用が難しいという現状について大場さんは、「家族、支援機関が、無理をさせられないという思いから就職をあきらめている場合が多い」と話した。

 また企業側も受け入れに不安があることから、「訓練制度を利用して職場環境や仕事への適応を進め、雇用につなげることが大切」と説明した。

 大場さんは、「障害者が職場に定着するにはお互いの理解が必要。現在の環境をそれぞれ見つめ直して理解を深めてほしい」と呼びかけていた。