松山「はばたき授産園」 毎日6時間世話 「出荷が一番うれしい」
松山市中野町の知的障害者入所授産施設「はばたき授産園」の入所者らが栽培する花の苗の売れ行きが好調だ。ビニールハウスの外に出して日光や風にあてるなど手間を掛けて世話をすることで、丈夫でよく育つ苗に仕上げたことが口コミで評判となった。マリーゴールドやパンジーなど年間約100万ポットを県内や香川県などに出荷しており、入所者らは「きれいな花を、一人でも多くの人に届けたい」と意気込んでいる。(山田果生)
同園は、障害者の自立を支援している松山市の社会福祉法人「宗友福祉会」(丹生谷宗久理事長)が1990年に設立。入所者の職業訓練のため自動車解体、木工作業などの委託作業に取り組んできた。
アスパラガスなどの栽培も行っていたが、種まきと収穫の時以外は仕事がほとんどないため、10年ほど前から、種まきから出荷まで2~3週間で済み、ポットへの移植や水やり、出荷準備など様々な仕事がある花の苗の栽培を始めた。
近くの農家や園芸会社に通って栽培方法を学び、マリーゴールドやサルビアから始めた。最初の年の出荷量は約2万ポットだったが、栽培規模や花の種類を徐々に拡大。現在では、約7000平方メートルの敷地で、春から夏にかけてはペチュニアやサルビアなど9種類、秋にはパンジーとビオラを栽培しており、入所者や通所者約50人が、午前8時半から約6時間の作業に携わっている。
年間約4000万円を売り上げるまでになった人気の秘密は、苗の丈夫さと、成長の早さだ。
室温の高いハウス栽培では、苗の丈が伸びすぎることを防ごうと成長抑制剤を使うことが常識だが、同園では、出荷後も1、2週間は成長が抑えられたままになる同剤を使わずに栽培している。
ハウス内で約2週間育ててからポットに移植し、ハウス外に運び出して屋外の棚に並べて日光や風に直接あてる。大量の苗を手作業で外に出す面倒な作業を行うことで、適度な生育速度となり、しっかりと根のはった苗に成長。抑制剤を使っていないため、出荷直後からすくすくと育つという。
この時期、入所者らは種まきやポットへの植え替え作業に追われる。秋山千鳥さん(53)は「種をまいたり、苗を植え替えたりと色々な仕事ができて楽しい。きれいに育った花を出荷する時が一番うれしい」と笑顔を見せる。
同園では今後、キュウリなどの野菜の苗作りにも力を入れるとしており、丹生谷理事長は「入所者が自分たちのペースで得意な仕事をすることができる上、より良くするために工夫する面白さがある。障害者が働くチャンスを増やしていきたい」と期待している。
問い合わせは同園(089・963・3772)。
(2010年4月14日 読売新聞)
松山市中野町の知的障害者入所授産施設「はばたき授産園」の入所者らが栽培する花の苗の売れ行きが好調だ。ビニールハウスの外に出して日光や風にあてるなど手間を掛けて世話をすることで、丈夫でよく育つ苗に仕上げたことが口コミで評判となった。マリーゴールドやパンジーなど年間約100万ポットを県内や香川県などに出荷しており、入所者らは「きれいな花を、一人でも多くの人に届けたい」と意気込んでいる。(山田果生)
同園は、障害者の自立を支援している松山市の社会福祉法人「宗友福祉会」(丹生谷宗久理事長)が1990年に設立。入所者の職業訓練のため自動車解体、木工作業などの委託作業に取り組んできた。
アスパラガスなどの栽培も行っていたが、種まきと収穫の時以外は仕事がほとんどないため、10年ほど前から、種まきから出荷まで2~3週間で済み、ポットへの移植や水やり、出荷準備など様々な仕事がある花の苗の栽培を始めた。
近くの農家や園芸会社に通って栽培方法を学び、マリーゴールドやサルビアから始めた。最初の年の出荷量は約2万ポットだったが、栽培規模や花の種類を徐々に拡大。現在では、約7000平方メートルの敷地で、春から夏にかけてはペチュニアやサルビアなど9種類、秋にはパンジーとビオラを栽培しており、入所者や通所者約50人が、午前8時半から約6時間の作業に携わっている。
年間約4000万円を売り上げるまでになった人気の秘密は、苗の丈夫さと、成長の早さだ。
室温の高いハウス栽培では、苗の丈が伸びすぎることを防ごうと成長抑制剤を使うことが常識だが、同園では、出荷後も1、2週間は成長が抑えられたままになる同剤を使わずに栽培している。
ハウス内で約2週間育ててからポットに移植し、ハウス外に運び出して屋外の棚に並べて日光や風に直接あてる。大量の苗を手作業で外に出す面倒な作業を行うことで、適度な生育速度となり、しっかりと根のはった苗に成長。抑制剤を使っていないため、出荷直後からすくすくと育つという。
この時期、入所者らは種まきやポットへの植え替え作業に追われる。秋山千鳥さん(53)は「種をまいたり、苗を植え替えたりと色々な仕事ができて楽しい。きれいに育った花を出荷する時が一番うれしい」と笑顔を見せる。
同園では今後、キュウリなどの野菜の苗作りにも力を入れるとしており、丹生谷理事長は「入所者が自分たちのペースで得意な仕事をすることができる上、より良くするために工夫する面白さがある。障害者が働くチャンスを増やしていきたい」と期待している。
問い合わせは同園(089・963・3772)。
(2010年4月14日 読売新聞)