コンピュータの世界では、20年前に夢見ていたスマートフォンやタブレットPCが実現している。まずは夢を思い描くことから現実の変化がスタートする。2011年の終わりに際して、20年後の公共サービスの姿を夢見てみたい。
■市庁舎の縮小
転入・転出、印鑑証明、住民票、納税証明など、いま市民が市庁舎に出向いて行っている手続きは消滅している。市民は自宅から電話で引越先住所と時期を市役所コールセンターに伝えるだけで、あとは市役所同士が手続きを行ってくれる。本人証明や納税証明も、市役所コールセンターに伝えれば、市役所が本人に代わって相手方に証明する。住民票や納税証明書といった紙文書はない。事業者の許認可申請も、すべてインターネット経由の音声入力。補足的な打ち合わせが必要な場合にはテレビ会議で済む。こうしたサービスの実現は、2010年代に急速に進歩した音声認証技術の賜物である。
市民が市役所へ行かなければならない手続きがないので、そもそも、市役所に窓口機能がない。2010年頃、市役所があった場所には、市議会議事堂と一部の管理事務部門だけが残っている。残りの空間は市民広場になっていて、非常災害発生時の避難拠点となる。産業振興担当は、中心市街地を拠点として地元企業に出向いて経営を支援し、観光担当は、観光PRのために世界各地を飛び回っていて固定オフィスはない。
一方で、対面が基本の福祉系サービスは、市内各地に各種の小規模なサービスステーションがくまなく点在していて、各種サービスが至近距離できめ細かく展開されている。要介護の高齢者も身体障害者も地域の人間的助け合いの中で不安なく暮らしている。
■いつでも、どこでも、世界最高水準の教育コンテンツで学べる
市立の小中学校では、世界中から厳選された教育コンテンツに基づいて、世界最高水準の教育を、いつでも、どこでも受けられる。英語教育は、世界でもっとも評価の高いプログラムから直接サービスを受ける。教師は、自ら教えるのではなく、コンテンツを厳選し、それをうまく構成する目利きとプロデューサーの役割を果たしている。
校舎は、教師が児童・生徒に知識を伝達する場ではなく、先生、児童・生徒、地域企業、父兄などが一緒に考え、社会で役に立つモノの見方、考え方、分析に必要なスキル、外国語などを互いに議論し、刺激し合い、社会とつながっている学び合いの場だ。子どものやる気、能力と適性に応じて飛び級も落第も科目毎に起こるのが当たり前。たとえば、数学は大学レベル、英語は小学レベルの内容を履修している中学生など、各自の進度に合わせた個別教育が実現している。
■プッシュ型サービス
最新のインフルエンザ感染防止対策、各種イベント開催情報、地域で多発している犯罪情報など、生活するうえで役立つ情報は、市役所からプッシュでテレビ画面やスマートフォン画面に届けられる。年金受給とか、子どもの医療費補助とか、市民は申請する必要がなく、受給資格が発生すれば、市役所の方からサービス提供開始が打診され、拒否しない限り提供される。すべてのサービスが申請を待たずに行政側からpushで提供されていて、市民には申請する権利ではなく、提示されるサービスを拒否する権利がある。
もし、生活情報について追加的な情報が必要になったら、図書館の情報ヘルプデスクへ電話すれば、すぐに教えてくれる。一方、情報の不正利用防止は徹底しており、自分以外は自分のデータに横断的にアクセスすることは不可能で、自分のデータに誰がいつアクセスしたかは漏らすことなくすべて記録されている。疑わしいアクセスが発生した場合には速やかに通知される。2010年頃に、ネットバンキングで提供されていた環境が更に進化して、行政サービスでも民間サービス同様の使いやすさで実現している。
佐賀新聞 2011年12月29日10:30
■市庁舎の縮小
転入・転出、印鑑証明、住民票、納税証明など、いま市民が市庁舎に出向いて行っている手続きは消滅している。市民は自宅から電話で引越先住所と時期を市役所コールセンターに伝えるだけで、あとは市役所同士が手続きを行ってくれる。本人証明や納税証明も、市役所コールセンターに伝えれば、市役所が本人に代わって相手方に証明する。住民票や納税証明書といった紙文書はない。事業者の許認可申請も、すべてインターネット経由の音声入力。補足的な打ち合わせが必要な場合にはテレビ会議で済む。こうしたサービスの実現は、2010年代に急速に進歩した音声認証技術の賜物である。
市民が市役所へ行かなければならない手続きがないので、そもそも、市役所に窓口機能がない。2010年頃、市役所があった場所には、市議会議事堂と一部の管理事務部門だけが残っている。残りの空間は市民広場になっていて、非常災害発生時の避難拠点となる。産業振興担当は、中心市街地を拠点として地元企業に出向いて経営を支援し、観光担当は、観光PRのために世界各地を飛び回っていて固定オフィスはない。
一方で、対面が基本の福祉系サービスは、市内各地に各種の小規模なサービスステーションがくまなく点在していて、各種サービスが至近距離できめ細かく展開されている。要介護の高齢者も身体障害者も地域の人間的助け合いの中で不安なく暮らしている。
■いつでも、どこでも、世界最高水準の教育コンテンツで学べる
市立の小中学校では、世界中から厳選された教育コンテンツに基づいて、世界最高水準の教育を、いつでも、どこでも受けられる。英語教育は、世界でもっとも評価の高いプログラムから直接サービスを受ける。教師は、自ら教えるのではなく、コンテンツを厳選し、それをうまく構成する目利きとプロデューサーの役割を果たしている。
校舎は、教師が児童・生徒に知識を伝達する場ではなく、先生、児童・生徒、地域企業、父兄などが一緒に考え、社会で役に立つモノの見方、考え方、分析に必要なスキル、外国語などを互いに議論し、刺激し合い、社会とつながっている学び合いの場だ。子どものやる気、能力と適性に応じて飛び級も落第も科目毎に起こるのが当たり前。たとえば、数学は大学レベル、英語は小学レベルの内容を履修している中学生など、各自の進度に合わせた個別教育が実現している。
■プッシュ型サービス
最新のインフルエンザ感染防止対策、各種イベント開催情報、地域で多発している犯罪情報など、生活するうえで役立つ情報は、市役所からプッシュでテレビ画面やスマートフォン画面に届けられる。年金受給とか、子どもの医療費補助とか、市民は申請する必要がなく、受給資格が発生すれば、市役所の方からサービス提供開始が打診され、拒否しない限り提供される。すべてのサービスが申請を待たずに行政側からpushで提供されていて、市民には申請する権利ではなく、提示されるサービスを拒否する権利がある。
もし、生活情報について追加的な情報が必要になったら、図書館の情報ヘルプデスクへ電話すれば、すぐに教えてくれる。一方、情報の不正利用防止は徹底しており、自分以外は自分のデータに横断的にアクセスすることは不可能で、自分のデータに誰がいつアクセスしたかは漏らすことなくすべて記録されている。疑わしいアクセスが発生した場合には速やかに通知される。2010年頃に、ネットバンキングで提供されていた環境が更に進化して、行政サービスでも民間サービス同様の使いやすさで実現している。
佐賀新聞 2011年12月29日10:30