東日本大震災で被災した視覚障害者が体験を伝える「語り部プロジェクト」を、日本盲人会連合(東京都新宿区)が計画している。津波からの避難やその後の生活を語り継ぎ、視覚障害者の防災対策に生かしたい考え。日盲連は依頼があれば全国に派遣する。
24日に第1弾
岩手県視覚障害者福祉協会などが、同県大船渡、陸前高田両市で被災した30~70歳代の視覚障害者9人に聞いたところ、多くの人が、地震情報をラジオから入手し、避難の際も、家族や近隣住民の助けを借りていた。避難所でも、移動時の介助などで支援が得られたことは少なく、盲学校や福祉施設が避難所に指定されていることを知らなかった視覚障害者も多かった。
日盲連によると、語り部には、岩手、宮城、福島3県と仙台市の各視覚障害者福祉協会から、被災した会員計約20人を登録する予定。
第1弾として、今月24日、岩手県花巻市の中学校が課外授業で同県釜石市を訪れた際、地元の視覚障害者が逃げる時の様子を語り、中学生を連れて実際に避難した経路を歩く。
岩手県視覚障害者福祉協会の及川清隆理事長(60)は「津波が来ても視覚障害者は個々に避難できず、地域の支えがないと命を守れない。災害時の不自由さへの認識を深めてもらえれば」と、語り部の意義を語る。
日盲連は、語り部を全国に派遣したい考えだが、事業費が不足しているといい、依頼者への資金協力を求めている。
行政に改善要望
語り部プロジェクト以外にも、日盲連は、視覚障害者が災害時に置かれた状況を改善しようと行政への要望活動などを続けている。
今年4月には、仙台市と宮城、岩手両県に34項目にわたる支援を要望。災害時に障害者向けの福祉避難所を設置することや、要援護者を避難所に誘導するため民生委員を派遣する仕組み作り、そのために障害者の個人情報を福祉団体や支援団体に開示すること、沿岸部のラジオ難聴地域の解消などを求めている。
日盲連の竹下義樹会長(62)は「視覚障害者はつえを持たずに避難し、避難所になかったため困った」と話し、避難所に白杖はくじょうやルーペなどを備えることも要望している。
東日本大震災と阪神大震災時で被災した視覚障害者の生活ぶりをまとめた冊子も、初めて刊行する予定。年4回発行し、日盲連の加盟61団体のほか、全国の自治体向けにも配布し、啓発活動につなげる計画だ。
岩手県に、視覚障害者への災害時支援を要望する県視覚障害者福祉協会の及川理事長(4月25日、盛岡市で)
(2013年5月3日 読売新聞)
24日に第1弾
岩手県視覚障害者福祉協会などが、同県大船渡、陸前高田両市で被災した30~70歳代の視覚障害者9人に聞いたところ、多くの人が、地震情報をラジオから入手し、避難の際も、家族や近隣住民の助けを借りていた。避難所でも、移動時の介助などで支援が得られたことは少なく、盲学校や福祉施設が避難所に指定されていることを知らなかった視覚障害者も多かった。
日盲連によると、語り部には、岩手、宮城、福島3県と仙台市の各視覚障害者福祉協会から、被災した会員計約20人を登録する予定。
第1弾として、今月24日、岩手県花巻市の中学校が課外授業で同県釜石市を訪れた際、地元の視覚障害者が逃げる時の様子を語り、中学生を連れて実際に避難した経路を歩く。
岩手県視覚障害者福祉協会の及川清隆理事長(60)は「津波が来ても視覚障害者は個々に避難できず、地域の支えがないと命を守れない。災害時の不自由さへの認識を深めてもらえれば」と、語り部の意義を語る。
日盲連は、語り部を全国に派遣したい考えだが、事業費が不足しているといい、依頼者への資金協力を求めている。
行政に改善要望
語り部プロジェクト以外にも、日盲連は、視覚障害者が災害時に置かれた状況を改善しようと行政への要望活動などを続けている。
今年4月には、仙台市と宮城、岩手両県に34項目にわたる支援を要望。災害時に障害者向けの福祉避難所を設置することや、要援護者を避難所に誘導するため民生委員を派遣する仕組み作り、そのために障害者の個人情報を福祉団体や支援団体に開示すること、沿岸部のラジオ難聴地域の解消などを求めている。
日盲連の竹下義樹会長(62)は「視覚障害者はつえを持たずに避難し、避難所になかったため困った」と話し、避難所に白杖はくじょうやルーペなどを備えることも要望している。
東日本大震災と阪神大震災時で被災した視覚障害者の生活ぶりをまとめた冊子も、初めて刊行する予定。年4回発行し、日盲連の加盟61団体のほか、全国の自治体向けにも配布し、啓発活動につなげる計画だ。
岩手県に、視覚障害者への災害時支援を要望する県視覚障害者福祉協会の及川理事長(4月25日、盛岡市で)
(2013年5月3日 読売新聞)