ゴエモンのつぶやき

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横浜市の障害者施設整備 「バリアフリー条例」が壁

2014年08月30日 03時06分29秒 | 障害者の自立
 横浜市で今年に入り、地域活動支援センターなど小規模障害者施設の新設、移転が軒並みストップしている。「福祉のまちづくり条例」のバリアフリー基準を満たす新築や賃貸物件の確保が難しいためだ。障害者団体は「バリアフリーのために施設が造れなくなるのでは本末転倒」と困惑。条例の対象施設を現行の全施設から、県条例と同じ床面積500平方メートル以上に緩和してほしいと訴え、署名活動を始めた。市も障害者団体も福祉の進展を目指していることに変わりないが、厳しいジレンマに直面している。

 バリアフリー法は、不特定多数や主として高齢者や障害者が利用する建築物などを新築、増築、改築、用途変更する際には通路や駐車場、出入り口、廊下、階段、傾斜路、エレベーター、車いす用トイレなどの項目について細かいバリアフリー基準を義務付けている。対象は床面積2千平方メートル以上だ。

 各自治体は条例で基準の上乗せを行っているが、県が対象床面積を500平方メートル以上としたのに対し、福祉の先進自治体を自認する横浜市は0平方メートル以上、つまり全施設とした。2012年度には関連条例を「福祉のまちづくり条例」に一本化し周知を図ってきた。

 そこで問題が生じたのが、地域活動支援センター(旧地域作業所)など市内に約400カ所ある日中活動系の小規模障害者施だ。条例の一本化後、「指導が強化されたと感じる。そのため、新設、移転の見通しが立たなくなった」と市障害者地域作業所連絡会(市作連)前会長の佐藤文明さんは語る。

 市作連が5月、加盟団体を調査したところ、新設予定7件のすべてが土地探しを含め難航し、移転予定10件も難航か困難を予想していたという。

 このため、市作連、市精神障害者地域生活支援連合会(市精連)など市内の障害者団体5団体は26日、対象床面積を500平方メートル以上に緩和するよう求める署名運動を行うことを決めた。

 ことし3月末の横浜市の障害者手帳所持者は約14万9千人。09年3月末の約12万5千人から5年間で約2万4千人も増えた。特別支援学校の卒業生も00年度の420人に対し、11年度は735人。障害者施設へのニーズは高まり続けている。一方で、東日本大震災からの復興、円安、東京五輪などで建築費が高騰し、各障害者団体は施設整備に頭を悩ませている。

 そうした中で、市が小規模障害者施設にもバリアフリー基準適用を徹底していることに、障害者団体からは「理想を求めるのは良いが、現実離れしている」との悲鳴が上がる。

 小規模障害者施設は狭い敷地に新築したり、雑居ビルの一室や民家を賃借したりしている。床面積は地域活動支援センターで平均約140平方メートルにすぎない。市内の駅周辺で基準を満たす賃貸物件はめったになく、新築、改修も多額の費用が掛かる。障害者団体こそ施設のバリアフリー化を進めたいと思っているが、限られた物件、資金の中で妥協点を探している現実がある。

 条例について佐藤さんは「国の基準をそのまま小規模施設に当てはめれば、エレベーターとトイレばかりが広く、活動場所が狭いという矛盾が生じるのは明らか」と指摘。市精連の大友勝代表も「現在の基準では田園地帯でしか施設を造れない。街の中、人の中で支えるという障害者福祉の基本理念がゆがんでしまう」と述べ、「対象を県条例と同じにするのが現実的な対応ではないか」と指摘する。

 障害者団体の困惑に対し、市建築情報課は「バリアフリーの基本理念から面積の緩和は考えていない」と言い切る。今後の高齢化を考えれば、障害の種別にかかわらずバリアフリーは徹底すべきだとの考えだ。新築の場合は完全に適用。ただ、既存物件を利用する用途変更の場合は「施設ごとに物件や利用者の事情を聞き、バリアフリーの各項目について適用除外するかどうか審査する。ぜひ相談してほしい」と説明する。

 ただ、障害者団体側は「審査は半年かかったケースがある。許可される保障もなく審査が長期間になれば物件を確保していられない」と語り、面積の緩和を強く求めている。

◆建築費の高騰も課題

 「駅から近くなければ障害者は利用できない。雑居ビルの空き室を探しているが、基準を満たす物件がない」「耐震性の問題で移転が必要になった。これまで支えてくれた地域の中で探しているが見つからない」。横浜市のバリアフリー基準に対し、新設、移転を検討している障害者施設からは厳しい現実を訴える声が相次ぐ。

 西区で全障害を対象にした地域活動支援センター3施設を運営しているNPO法人「無限夢工房」(鈴木源一郎理事長)は、4施設目を整備しようとビルの空き室を探している。樋野大禄統括所長は「既存3施設は横浜駅に近く、利用者は市内全域にわたっている。4施設目も駅近くで見つけたい。障害者の生き方を保障するなら、交通アクセスも重要」と語る。

 しかし、物件探しは難航している。「オーナーに障害者施設を理解してもらい、さらに、バリアフリーのために水回りや室内の改修を承認してもらうのは大変だ」。審査の間の家賃負担も心配といい、「許可される保障もないのに何カ月も物件を確保していられない。審査はせいぜい1カ月以内でないと」と語る。

 港南区で知的障害者、発達障害者を対象にした地域活動支援センター3施設を運営する一般社団法人「みのりの里」(関水実代表理事)は4施設目の新築を検討中だ。候補地とオーナーも見つかっている。しかし、「造れるかどうか悩んでいる」と小野義浩常務理事は表情を曇らせた。

 みのりの里は、既存の建物を改築した2施設に加え、ことし4月に新築の3施設目をオープンした。延べ床面積約160平方メートルの2階建てだ。「建築資材は高騰し、消費税も上がった。補助金が上がらない中で大変な負担だった」という。それでも基準通り玄関への通路にはスロープを併設し、四つのトイレのうち一つは、中で車いすが360度回転できるトイレを整備した。「利用者は17~18人を想定していたが、活動スペースが想像以上に狭くなり12~13人しか利用できなくなった。利用を断わざるを得ない人も出てつらかった」。その車いす用トイレも、現在は利用者に身体障害者がいないため物置同然になっている。

 4施設目について小野さんは「エレベーターは1基500万円以上。オーナーに基準通りに建築してもらうと家賃が上がり、職員を雇えなくなる」と苦しい財政事情を語る。

 「知的障害者、発達障害者の施設と身体障害者の施設ではニーズも違う。限られた資金、スペースの有効利用を考えれば障害種別に応じて柔軟に対応してほしい」と語る。「特別支援学校の卒業生は増え続けている。施設がなくて困るのは障害者と親だ」と訴えた。


改修し入り口前方を広げた無限夢工房のトイレの一つ。雑居ビルのトイレは改修も難しい=横浜市西区

【神奈川新聞】 2014.08.29 09:00:00

映画で障害者への理解を

2014年08月30日 02時54分55秒 | 障害者の自立
 NPO法人療育ねっとわーく川崎が9月3日、障害児・者への理解を深めてもらおうと、ドキュメンタリー映画の上映会を多摩市民館大ホールでを開く。入場無料。

 上映するのは▼自閉症と呼ばれるアマチュア写真家・米田祐二さんの沖縄の旅を追ったドキュメンタリー映画『ぼくは写真で世界とつながる』▼静岡県富士市にある重症心身障児者のための生活介護事業所の取り組みを5年にわたり記録した映画『普通に生きる』の2本。『ぼくは写真で世界とつながる』は午前(10時30分〜11時40分)と午後(1時〜2時10分)の2回上映。『普通に生きる』は午後6時30分〜7時55分。各回30分前開場。終了後は約30分の講演もある。

 問い合わせは同NPO(【電話】044・930・0160)。

多摩区版  2014年8月30日 土曜日   タウンニュース

精神障害者医療費助成:早期実現を 精神障害者ら、奈良で緊急集会 /奈良

2014年08月30日 02時51分22秒 | 障害者の自立
 精神障害者の医療費自己負担分への助成の早期実現を求める緊急集会が27日、奈良市登大路町の県文化会館で開かれた。約350人が参加した。

 助成は、県が精神障害者健康福祉手帳の1、2級保持者(計約7200人見込み)に対し、市町村と費用を折半する形で2014年度当初予算に1億6000万円を計上し、10月開始を予定していた。しかし、県市長会(12市)は対象を1級保持者からとし、10月開始は間に合わないと県に伝えた。一方、ほとんどの町村は1、2級保持者を対象に10月から始める見込み。

 集会を開いた「精神障害者の福祉医療を実現する県会議」の栃本一弥共同代表は「1〜3級で福祉医療実現を求めてきたのは生活実態に差がないから」と理解を求めた。同じく奥田和男さんは「約10年間訴えて、県議会で予算化していただいた時は小躍りして喜んだ。残念なことに市で対象者抑制の動きがあり、生活実態をみた制度づくりを実現させたい」と話した。各市の9月議会で取り上げられるよう、議員に働きかける。

毎日新聞 2014年08月28日 地方版

「見えにくさ」ゆえに 得られにくい理解

2014年08月30日 02時45分43秒 | 障害者の自立
 ◆発達障害者の支援 

 福岡県内の男性(25)は、発達障害の一つである学習障害(LD)だ。一度耳で聞けば覚えるほど記憶力がいいのに、立体的な位置関係の把握が苦手なため黒板の写しが間に合わず、小学高学年から授業についていけなくなった。母親は男性につらく当たるようになり、伯母(65)が男性を引き取った。その後、男性は非正規の仕事を見つけたが、職は安定せず、金銭管理など日常生活にも困難がある。伯母は「自分がいなくなったらと思うと夜も眠れない」と訴える。

 7月から、発達障害者の乳幼児から成人期にかけての支援を考える企画「ひとりで歩けるように」を担当している。取材を始めて驚いたのは、「発達障害」と一口に言っても、その特性や程度が人によって大きく異なることだ。

 耳で聞いて理解するのが苦手な人がいる一方で、視覚より聴覚の方が理解しやすい人もいる。軽い知的な遅れがある人もいれば、知能指数が飛び抜けて高い人もいる。記事では一人一人の事例を細かに紹介しているが、その人の内容が全ての発達障害者に共通するのではないことを本欄でも強調しておきたい。

 一方で、話を聞いた人の多くに共通するのが、“普通”に見えるのに、日常生活で困ってしまうということだ。その「見えにくさ」ゆえ、気付くのが遅くなったり、周りの理解が得られなかったりする。障害という言葉に大きな抵抗を覚え、本人や周囲の受け入れに時間がかかるケースも少なくない。家族から「わざわざ障害者にするのか」と責められる母親もいる。

 ある医師は、発達障害を診断する際、「その人が困っているかどうかが大きな判断基準になる」と話していた。診断はレッテルを貼るのが目的でなく、あくまで支援を受けるための一歩と考えたい。

 文部科学省の調査では、40人の通常学級のうち2~3人は発達障害の疑いがあるという。発達障害者支援法の成立はわずか10年前。行政支援はまだ始まったばかりで、医師不足や療育施設不足など課題は山積しているが、それぞれの現場には熱意を持った支援者も多いと感じている。

 生活保護費が膨らむ中、発達障害者が能力を生かして働くことは、財政的な面でもプラスになるはずだ。丸抱えでなく、ひとりで歩けるための支援を考えていきたい。

=2014/08/29付 西日本新聞朝刊= 社会部 川口 安子

三重をゴマ名産地に 四日市の九鬼産業

2014年08月30日 02時40分16秒 | 障害者の自立
 四日市市尾上町のゴマ食品メーカー「九鬼産業」が、国産ゴマの栽培を県内で広げようと活動している。今年は初めて同市智積町の障害者就労支援施設「ユーユーハウス」の利用者と一緒に種植えや収穫作業をした。同社担当者は「三重を全国一のゴマ産地にしたい」と意気込んでいる。

 八月二十一日、ユーユーハウス近くの畑で、施設利用者や九鬼産業社員ら十人ほどが収穫作業に汗を流した。五百平方メートルで十キロ弱の黒ゴマが採れた。土壌に細菌が繁殖する病気にかかってしまい、通常より収穫量は少ないものの、全て製品に使われる。

 同社開発部の藤沢英二次長(43)は「単純作業が続くが、障害のある人たちはとても熱心に取り組んでくれた」と話す。

 九鬼産業は大紀町にある自社農場で無農薬でゴマを栽培し、ごま油や、いりごまなどを製造している。消費者の安心・安全志向から国産の需要は高く、供給が追いついていない状態という。

 三重銀行グループが開いているビジネスプランコンテストに昨年、国産ゴマ生産日本一を目指すプランで応募。準グランプリを受賞し、三重銀総研の支援を受け、ユーユーハウスとの協力関係ができた。

 ゴマは現在、99%が外国産という。栽培は水はけのいい土地さえあれば難しくないが、手間がかかり、採算が取れないことから廃れていった。三重銀総研の伊藤公昭取締役(52)は「産地化と同時に、休耕田活用や障害者の就労機会の創出も目指している」と話す。

 来年度はさらに四カ所の障害者施設が参加し、計一トン以上の収穫を予定している。日本一を目指し、協力してくれる一般農家も探していく。


ゴマを収穫する九鬼産業の社員とユーユーハウスの利用者ら=四日市市智積町で

2014年8月29日 中日新聞