県内患者らも熱戦
精神障害の人が出場するフットサル(五人制サッカー)の初の全国大会「第一回ソーシャルフットボール全国大会」(中日新聞など後援)が三日、名古屋市港区であり、静岡、焼津、島田市などの患者らでつくる「VACS-GELA静岡」が東海代表で出場。上位には食い込めなかったが、対戦を通して全国の患者仲間と交流を深めた。優勝は薬物依存患者らの自助団体で関東代表の「ダルク」(東京都)。
全国九地域の代表と愛知県選抜の計十二チームが出場し、男性五人に加え、女性一人が追加でプレーできる特別ルールで争った。静岡は予選リーグ二試合に臨み、優勝候補など強豪チームと当たりいずれも敗戦。だが、選手らは一致団結して最後のホイッスルまでボールに食らいついていた。
主将の男性(36)=静岡市=は「全国大会で強いチームと戦えて、学べるところが多かった。今後の励みにしたい」と決意を新たにした。監督を務めた県立こころの医療センター(同市)の作業療法士、大塚昭宏さん(31)は「チーム結成から一年。選手らは互いに信頼感を高め合って試合に臨んでくれた。自信につながったと思う」と振り返った。
フットサルは、プレーを通してコミュニケーションの練習にもなり、少人数でも手軽にできることから、患者チームをつくる精神科の医療施設が増加。対人関係の自信を取り戻して、社会復帰を果たす人もおり、現在は全国で約百三十チームが活動している。
医療や福祉の関係者らが昨年、NPO法人日本ソーシャルフットボール協会(横浜市)を設立し、今回の全国大会を開催。今後も二年ごとに全国大会を開く予定だ。同協会理事長で新阿武山病院(大阪府高槻市)の岡村武彦院長(57)は「さらに参加者を増やし交流の輪を広げることで、患者さんの社会参加を後押しし、病気への偏見をなくしたい」と意気込む。
ソーシャルフットボール全国大会で熱戦を繰り広げる選手たち
2015年10月5日 中日新聞