ゴエモンのつぶやき

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兵庫・明石市、発達障害者や難病患者も職員採用へ 「全国で初」

2015年10月30日 03時16分41秒 | 障害者の自立

 兵庫県明石市は28日、来年1月に行う平成27年度の職員採用試験から障害者の受験資格を、発達障害者や難病患者にも拡大することを発表した。障害者雇用促進法では身体・知的と精神疾患のある障害者の雇用が義務付けられているが、発達障害や難病患者は含まれず、同市は「全国で初めてではないか」としている。

 事務職と技能労務職で計2人程度の採用を予定。11月2日から申し込みを受け付ける。

 同法は25年4月に改正され、障害者の法定雇用率を国や自治体で2・3%、民間企業で2・0%と規定するほか、身体・知的障害者に加えて30年度から精神疾患がある障害者の雇用も義務づけたが、発達障害者や難病患者は含まれていなかった。

 同市人事課は「障害者差別の解消を進める上で、国の方針よりも障害者の範囲を広げ、社会参加を後押しすることが適切だと判断した」としている。

2015.10.28     産経ニュース


介護費用の不安、どうすればいいの? 脳梗塞にまつわる悩み

2015年10月30日 03時07分05秒 | 障害者の自立

 「介護保険サービスの利用者負担金が2割に上がって家計を圧迫するから、サービスの利用を控えようかしら……」。脳梗塞(こうそく)を患った80歳の義父の介護する75歳の義母が言い出しました。ナオコさん(49歳・会社員)は義母の健康を維持するためにも、その考え方には反対です。「介護の質を落とさずに介護費用を節約できる制度はないのかしら――」。ナオコさんは夫のマサオさん(53歳)とともに脳梗塞の高齢者が利用できる社会保障制度について調べることにしました。

 ある週末の夜のことです。実家に出かけていたマサオさんが帰ってきて、こんなことを言い出しました。「おふくろが死ぬまで蓄えが持つかどうか心配しているんだよ」。

 「えっ、お義父さん、ちゃんとした企業に勤めていたから年金だって十分にあるでしょう」

 「それが、おやじの介護保険の利用者負担金が1割から2割に上がったらしいんだ。支払う額が2倍になると家計に響くっておふくろが嘆いていたよ」

 介護保険法の改正に伴い、2015年8月から一定の所得以上(本人の合計所得金額が160万円以上、単身で年金収入のみの場合は280万円以上)の人は、介護保険サービスの利用者負担金の割合が1割から2割に引き上げられました。これは65歳以上の高齢者の約5人に1人が当てはまるといわれています。


 ●より詳しく知りたい方は、下記のURLをクリックすると厚生労働省のサイトを見ることができます。

  http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/riyousyahutan.pdf

 「それで、これからは自費でときどき利用していたショートステイを控えようかって……」

 「それはやめたほうがいいわ。ショートステイの利用料は、お義母さんの健康を維持するための必要経費だもの……。ほかで節約するしかないわね。それにしても真面目に働いてきてそれなりの保障や貯蓄がある人でも病気や介護をきっかけに経済的に困るおそれがあるってことか……。介護費用をサポートしてくれる制度はないのかしら」

 この連載でも以前に紹介しましたが、介護保険サービスの利用者負担を軽減してくれる制度には「高額介護サービス費」があります。これは1カ月に支払った利用者の負担の合計額が上限額を超えたときは超えた分の費用が払い戻されるものです。ただし、この制度も介護保険法の改正に伴い、2015年8月から所得の高い世帯(現役並み所得者に相当する人がいる)では、負担の上限が月額3万7200円から4万4400円に引き上げられました。


 ●より詳しく知りたい方は、下記のURLをクリックすると厚生労働省のサイトを見ることができます。

  http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/kougakukaigo.pdf

 「要介護2のおやじの利用者負担は、これまで1割負担で毎月約1万9000円だったから、8月以降は約3万8000円になったってことだな……」

 「じゃあ、高額介護サービス費が利用できるじゃないの」

 「だけど、自分で申請して数カ月待って払い戻される金額は、おやじの場合たった800円だよ。書類を作成する手間賃で終わりだよ……」

 「そりゃ、1回に戻ってくる金額は微々たるものだけど、年間で計算すれば9600円よ。1泊分のショートステイ代になるわ。高額介護サービス費を申請してみましょうよ」

解決策①

 高額介護サービス費には個人ではなく世帯合算できる所得区分があり、夫婦ともに介護保険サービスを利用している世帯で、一方の利用者負担額が上限額を超えていなくても合算した金額が超えていれば対象となる。また、医療費との合算ができる高額医療・高額介護合算制度もある。いずれの場合も対象となる人には市区町村から支給申請書が送付されてくるので、忘れずに手続きを行いたい。これらの制度について知りたいときは、市区町村の介護保険課など担当窓口もしくは地域包括支援センターのソーシャルワーカーに問い合わせを。

 「ほかにもおやじが利用できる制度はあるのかな……」

 介護費用だけでなく医療費の自己負担を軽減してくれる「高額療養費制度」も利用しましょう。これは、同一月に医療機関や薬局の窓口で支払った医療費の自己負担額が上限額を超えた場合に、超えた分の費用が払い戻される仕組みです。1カ所の医療機関等で支払った自己負担額が上限額を超えていなくても、同じ月にかかった複数カ所の医療機関等で支払った自己負担額を合算した金額が上限額を超えていれば、高額療養費の支給対象になります。また、世帯合算した合計額が上限額を超えたときも高額療養費の支給対象になります。ただし、世帯合算できるのは同じ医療保険に加入している人に限られます。 

 「お義父さん、脳梗塞の後遺症で半身まひがあるわよね。この状態は障害者に該当すると思うのよ。障害年金はもらえないのかしら」

 障害年金は、年金に加入中に、もしくは年金に加入していた人が病気やケガが原因で障害のある状態になったときに受け取ることができるものです。障害年金には、障害基礎年金、障害厚生年金、障害共済年金があります。障害基礎年金の障害等級は1級(自分で身の回りのことが行えず、常に介護を必要とする状態)と2級(自分で身の回りのことを行うのが困難で、場合によって介護を必要とする状態)があり、1級では年間約100万円、2級では約80万円が支給されます。

 2人がインターネットで障害年金のことを調べてみると、こんな情報を得ることができました。「お義父さん、2級に該当するわよ。障害年金をもらえれば介護費用はずいぶん助かるわ」とナオコさんが言ったとき、マサオさんがその言葉をさえぎりました。

 「おい、待てよ。初診日における要件で、65歳以上は原則として対象にならないと書いてあるぞ。じゃあ、おやじはもらえないのかなあ」

 「えっ、高齢者はもらえないの? ここには65歳以上で老齢年金を受け取る権利がない厚生年金・共済年金加入者は対象になるとも書いてあるわ」

 「それは、高齢者になっても現役で働いている人のことだろう。おやじは違うよ、老齢年金をもらっているもの」

 「そうか……、やっぱりもらえないのかしら。厚生年金に加入していると、障害厚生年金も受給できるみたいよ」

 障害厚生年金は、初診日に厚生年金に加入していたときの病気やケガによって障害がある状態になったとき、障害の程度に応じて支給されるものです。障害等級には1級、2級、3級(自分で身の回りのことを行うのが難しく、場合によって介護を必要とする状態)があり、1級、2級に該当する人は障害基礎年金と両方を受け取ることができます。また、3級よりも軽い障害の場合には一時金として支給される障害手当金もあり、国民年金加入者より手厚い制度となっています。

 「どれか一つくらい、おやじがもらえる障害年金はないものかね。制度のことはややこしくてよくわからないなあ」。

 「そうねえ。ダメ元でもいいから一度、聞いてみたいなあ。退職したら会社のサポートはなくなるし……。こんなときは、どこに相談すればいいのかしら」

解決策②

 障害年金をもらえるかどうかを知りたいときは、年金事務所、市区町村の国民年金窓口に問い合わせるほか社会保険労務士に相談するとよい。日本司法センター「法テラス」でも障害年金に関する相談を受け付けており、必要に応じて最寄りの相談窓口を紹介してくれる。年金制度は複雑なので、専門家に一度は相談を。

 ●日本年金機構「全国の相談・手続き窓口」

  http://www.nenkin.go.jp/section/soudan/

 ●日本司法センター「法テラス」サポート・ダイヤル

   http://www.houterasu.or.jp/service/hoken_nenkin_shakaihoshou/shougainenkin/index.html

 ナオコさんが自宅近くの年金事務所に問い合わせたところ、義父はやはり初診日における要件を満たせず対象外になってしまいました。しかし、ここであきらめるわけにはいきません。

 「そういえば……」とナオコさんはあることを思い出しました。回復期リハビリテーション病棟に入院していたとき、ソーシャルワーカーのアドバイスを受けて、義父は身体障害者手帳を取得していたのでした。

 身体障害者手帳とは、身体障害者福祉法に基づき、手帳の交付対象となる障害に該当すると認められた人に交付されるもので、各種の福祉サービスを受けるために必要となります。所得税・住民税など税金控除のほか、医療費の助成、補装具・日常生活用具の給付や助成、電車、バス、タクシー、航空機、フェリーなど乗り物運賃の割引、NHK放送受信料や水道基本料の減免、在宅サービスなどの福祉サービスを受けることができます。

 「こうした福祉サービスを上手に利用して、介護保険サービスを減らすことができれば介護の質を落とさずに費用を節約できるわ」とナオコさんは思いました。

 このほか各自治体では、高齢者の生活を支えるためのさまざまなサービス――介護保険外のサービスを行っています。また、地域包括ケアシステム()を構築するうえで高齢者の生活支援が欠かせないことから、そのサービスの提供者として老人クラブや自治会、ボランティア、NPOを活用する動き(互助体制)が各地で起こっています。

 *地域包括ケアシステム…厚生労働省が推進している政策で、2025年をめどに高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を最後まで続けることができるよう住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される仕組みのこと。保険者である市区町村や都道府県が地域の自主性や主体性にもとづき作り上げていくことが求められている。

 「認知症の伯母さんのときもデイサービスがない日の午後に出かけられる場所として住民ボランティアが運営している地域サロンを利用していたわよ」

 「そういう場所がおやじの住んでいる地域にもあれば、デイケアを1日だけ振り替えて介護保険サービスを減らす手があるかもしれないなあ……」

 「ケアマネジャーさんに相談してみましょうよ。介護保険外のサービスを組み合わせるのは、ひと手間がかかって面倒くさいけど、まだまだ費用を節約できる可能性はあるわ」とナオコさんはがぜんやる気になってきました。

解決策③

 身体障害者手帳を申請したいときは、主治医に相談し、実際の手続きはかかっている医療機関のソーシャルワーカーにサポートしてもらおう。また、各地域で行われている介護保険外サービスを組み合わせて利用したい場合はケアマネジャーにまず相談を。また、介護費用をはじめ、経済的な困りごとがあるときは地域包括支援センターのソーシャルワーカーに早めに相談したい。

 こうしてナオコさんとマサオさんは、さまざまな機関に相談して介護費用の節約に取り組みました。脳梗塞の人が対象となるすべての制度を利用できたわけではありませんが、義父母が介護サービスを手控えるという事態を回避することはできました。

 「それにしても中流家庭にとって、ますます厳しい時代になりそうだから、老後の資金の中には介護費用をきちんと見積もっておかなきゃ……。マサオさん、うちも家計を引き締めますよ」とナオコさんは宣言しました。

 さて、脳梗塞にまつわる悩みは今回で終了します。次週からは、ナオコさん世代を直撃する問題――女性の更年期にまつわる悩みについて取り上げます。

アピタル編集部より

 この連載は、架空の家族を設定し、身近に起こりうる医療や介護にまつわる悩みの対処法を、家族の視点を重視したストーリー風の記事にすることで、制度を読みやすく紹介したものです。

 『メディカル玉手箱』は、毎週木曜日朝に新しい記事をアップします。バックナンバーも含め、下記の一覧から無料でご覧になれます。

  http://apital.asahi.com/article/tamatebako/index.html

渡辺千鶴 (わたなべ・ちづる)

愛媛県生まれ。京都女子大学卒業。医療系出版社を経て、フリーランスに。1988年より医療・介護分野を中心に編集・執筆に携わる。共著に『日本全国病院<実力度>ランキング』『知っておきたい病気の値段のカラクリ』(共に宝島社刊)『がん―命を託せる名医』(世界文化社刊)などがある。東京大学医療政策人材養成講座1期生。現在、総合女性誌『家庭画報』の医学ページで、がんの治療をはじめ療養に伴う心や暮らしの問題に対してサポートしてくれる医療スタッフを紹介する「がん医療を支える人々」を連載中。

 


拡張する身体/「機械」は肉体を超えるのか?

2015年10月30日 02時47分06秒 | 障害者の自立

4年に一度、オリンピックと同じ年に開催されるパラリンピック。障害者スポーツの世界ではいま、義肢装具の発展が著しい。しなやかにたわむ炭素繊維製の「ブレード」と呼ばれる義足を付けた選手が、健常者の記録に肉薄し、時に追い越す事態も起きている。
だが、義肢装具を着けての記録を、健常者の記録と同等に扱うべきか否かをめぐり、いまも世界では議論がたえない。機械を装着した身体が生身の肉体の能力を超えるとき、どこまでが私たちの「からだ」なのか。身体の「拡張」はどんな問題をはらむのか――。

「健常者なら銀メダル」――義足での記録は「参考」扱いに

障害者の走り幅跳び世界記録を持つドイツ人選手、マルクス・レーム(27)は、2014年7月にあったドイツ国内の陸上選手権大会で、健常者を破って優勝した。このとき出した記録「8メートル24センチ」は、ロンドン・オリンピックなら銀メダルに相当する。リオデジャネイロ五輪が十分狙える記録だ。

だが、正式な大会記録にはならなかった。現地報道によると、大きく湾曲したカーボン製の義足をつけているレームの助走速度は踏み切り直前には秒速9・72メートル。これに対して2位の選手は秒速10・74メートルで、レームの助走スピードだと義足を着けていなければ8メートルは跳べない、といった異議が出たためだ。

最終的にドイツ陸連は、義足の装着が有利に働いたと判断し、レームの記録を「参考記録」扱いにした。

レームは14歳のときに、マリンスポーツ中の事故で右足を切断した。その後、義足をつけて陸上競技大会で次々に記録を更新してきた。彼はいまも、陸連の措置に納得していない。レーム自身も整形技工士だ。

「一生懸命トレーニングを積んできたのに、抜きんでた記録を出すと、それを正当化しなければならないというのは変だ」。

陸連インクルージョン(共生)担当部長のゲルハルト・ヤネツキーは、「何よりも公平性を重視した」と話す。ヤネツキーは「健常者と障害者が一緒に参加して同じ競技を行うことの重要性は十分認識している。だが、記録は別だ。健常者と同じエネルギー消費を基盤にしないと比べられない」と言う。

ヤネツキーによれば、健常者とともに競う場合に記録が比べられるよう、競技用の義足の素材や形状などの基準をドイツ陸連として作成中なのだそうだ。「基準を早く示したいが、慎重にならざるをえない。2020年の東京五輪に間に合えばよいが」と話す。

両足義足のピストリウスは五輪出場を手にしたが......

スポーツ義足は炭素繊維製の「ブレード」と呼ばれる。ブレード特有の反発力が結果に表れやすい種目の一つが、走り幅跳びだ。トップレベルの幅跳び選手たちには共通点がある。それは義足側で踏み切る、ということだ。

9月のジャパンパラ陸上競技大会に出場した若手選手は言う。「ブレードは人間の足より大きな力を発揮する。記録も出る」

義足の優位性を巡ってはこれまでも議論が巻き起こっている。08年には、両足義足のスプリンター、オスカー・ピストリウス(28、南アフリカ)が北京五輪出場を訴えたが、「他選手より有利になる人工装置の利用」(国際陸連)を理由に認められなかった。その後、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に訴え、五輪出場を勝ち得たが、義足選手への「加速装置」「道具ドーピング」との批判は今もなおくすぶり続けている。

だが、技術は進歩し続ける。健常者の記録を破ろうと、ロボット技術などに基づいた義足の開発も進む。
ソニー系研究所の研究員、遠藤謙(37)は昨年5月、元五輪選手で、400メートルハードルの日本記録を持つ同い年の為末大と競技用義足の開発会社「Xiborg(サイボーグ)」を設立した。足を切断した友人の力になりたいとヒト型ロボット研究から義足開発に転じた。

 為末とタッグを組んだのは、どんなに高性能の義足でも選手が速く走るための体の使い方や練習法を知らなければ生かせない、と考えたからだ。為末は走り方の指導に加え、選手の感触などを言葉にして遠藤に伝える。選手の特性に合わせた世界に一つしかない「足」を作ることで「健常者の記録を障害者が超えることは可能」と遠藤は言う。将来は培った技術をさらに進化させ、「障害が障害ではない社会を」と思い描く。

「身体拡張」の倫理的問題 

ドイツ・ケムニッツ工科大学教授のベルトルト・マイヤー(38)は、生まれつき左手のひじから先がなく、筋電義手を使って日常生活をこなす。専門は社会心理学だ。

マイヤーは言う。「これまでの義肢装具は、失った機能を回復するツールだった。だが、数十年もすれば技術はさらに発達し、生まれつき備わっている身体能力を超える機能を身につけることも可能になるだろう。つまり、『生身の人間よりも義肢のほうが高機能になる』という倫理的な問題が生じうる」。

具体的には、「自分の手足以上の機能が欲しいので、手足を切って最先端の義肢装具をつけて欲しい」という人が現れるのではないか、という。ハイテク義肢装具が普及することで可能になる身体の「拡張」行為が「普通の」ことになれば、現在の健常者が「健常者」でなくなる恐れがある。つまり、現在できている行為が「普通」以下の行為になる。すると、そのことが「障害」になってしまう、と指摘する。

「こうした問いかけに対して、いまの人間社会は回答を出していない。そうした行為が許されるのかどうかを考えなければならない場面が、そう遠くない将来に現実になるのではないか」。

軍事への利用も

技術の発展には「光」と「影」がつきものだ。病気や障害のある人たちの身体の動きを機械で後押しする「アシストスーツ」は、高齢化社会の一助として期待される。一方で、人間の身体能力を増強する「パワードスーツ」は、戦場での活用も視野に入る。

米国防高等研究計画局(DARPA)は2011年から、ハーバード大学などに委託して「ウォーリアー・ウェブ」を開発中だ。かかとと太ももの裏側にワイヤを取り付けてモーターで動かし、歩くときのエネルギー消費を10~15%減らす装置だ。

「兵士たちは50キロを超える荷物を持って72時間行動することもある。けがを予防するためにも負担の軽減が必要だ」と、DARPAの担当マネジャー、クリス・オーロスキーは言う。戦闘服の下に装着するための改良も進んでいる。

日本の防衛省も今年度、「高機動パワードスーツ」の開発のための予算9億円を初めて盛り込んだ。4年間かけて研究し、18年度に試作品の完成を目指す。戦場で重い装備を持ったまま素早く動いたり、災害時に人命救助で活用したりすること想定している。

技術の進化とともに、私たちの身体はどこまでも「拡張」していく。私たちは、新しい「からだ」とどう折り合いをつけていくのか。

そんな問いかけとも、向き合っていかざるをえない。

マルクス・レーム選手

遠藤謙さん(=左から2人目)と為末大さん(左から3人目)

(関連する特集はGLOBE特集「からだ+機械=」で読めます)

 


千葉を車いす競技の拠点に  2020年の先に理想社会へ

2015年10月30日 02時39分05秒 | 障害者の自立

熊谷俊人・千葉市長インタビュー

 この秋、来年のリオデジャネイロ・パラリンピックの出場権を争う車いすバス ケットボールと車いすラグビーのアジア・オセアニア予選が、相次いで開かれた。 会場はいずれも千葉市の千葉ポートアリーナ。障害者スポーツと健常者スポーツ の混合を目指す千葉市が支援を買って出た。熊谷俊人市長(37)に、理念実現へ 向けたこれまでの道のりと展望を聞いた。

 Q=幕張メッセで2020年東京オリンピックのレスリング、フェンシング、 テコンドーの3競技が行われる。千葉市としてどう取り組む。

 A=オリンピックは大事ですが、千葉市はよりパラリンピックに力を注いでい きたい。私たちの視点は20年以降のあるべき社会の姿にあります。オリンピッ クを契機に新都心(幕張)を含め千葉市に国内外から多くの人が集まる都市にし たい。一方、パラリンピックに関しては、障害者スポーツに対する理解が日本も 千葉市もまだ不十分です。ここを徹底して取り組んでいきたい。
 私たちは、20年の東京オリンピック開催決定(13年9月)前から、千葉市 を障害者スポーツ、特に車いす競技のメッカにしようと取り組んできた。いくつ か思想があって、一番目は障害者に対するインフラ整備という意味で重要である。 二番目に、障害者と健常者が混ざり合ってスポーツを楽しむ社会をつくり上げる。 三番目が、オーエックスエンジニアリング(競技用車椅子製造)や千葉ホークス (車いすバスケットボールのチーム)を都市の資源として市民に知ってもらう。 この三つの理屈は都市戦略としても重要です。 
 東京オリンピックに向け万全の準備をして成功させるのは当然ですが、20年 が最高潮で、その後維持できないものをつくってもしようがない。都市として2 0年以降もやるべきものをつくっていく。議会や市民の理解も得られます。

 Q=パラリンピックの会場誘致は。

 A=会場誘致に特に力を入れるという考えではない。それは一過性で終わって しまう。車いす競技の会場を誘致できれば理想的ですが、車いすバスケットの日 本代表選手が何かしら千葉市に縁があるというのがいい。そのためには市内の企 業には選手を積極的に雇用してもらい、市民にも普段から競技を観戦して、楽し み方が分かっているという状態で20年を迎えてほしい。
 これは一般論ですが、日本人はドラマがないと競技を見に行かない。今回、リ オデジャネイロの予選を開催しましたが、こういう大会を見てほしいと思います。 パラリンピックじゃなくても、その競技を楽しみに思える市民を増やしたい。
 大会前には選手が学校訪問をして、選手とのふれあいを図った。子どもたちに、 障害者というよりアスリートだと感じてほしかった。予選には多くの子どもたち が応援に来てくれた。これを続けていくことが大切だ。

 Q=理念と同時に財政的な裏付けが必要では。

 A=そこの見極めは大事だ。バスケットに関して、市は1500万円の協賛金 を出し、そのほか諸々の協力をした。しかし、予選には多くのメディアが訪れ、 盛んに報道してくれた。NHKのBS放送で中継もされた。これだけPRしてい ただければ、十分に元が取れている。20年くらい掛けてやろうとしたことが、 わずか5年くらいで流れができた。私からすれば、安く、理想社会への実現へ近 づいたのですから、ここは投資のポイントだと思います。やはりオリンピック、 パラリンピックの求心力はすごいと言えます。

 Q=予選を通じ、市民の障害者スポーツへの理解も深まったと言える。

 A=理想社会の実現は長いスパンで考えなければならないが、千葉市は議会が 理解している。この点は、私が2期目(13年5月)に入る前から理解されてい て、今や千葉市の「色」といってもいいでしょう。 
 障害者スポーツはマイナスのイメージを持たれがちですが、車椅子が介在する ことで競技として一段、深まっています。だから、多くの人に一度は競技を見て ほしいとお願いしてきました。今回、リオの予選を観戦して私の言っている意味 が分かったという人が大勢いました。

 Q=20年パラリンピック会場やキャンプ地として千葉市の優位性は。

 A=千葉ポートアリーナは約1500万円かけて床材を張り替えた。車椅子競 技を実施すると床が傷むという声が多い。アリーナと同じ敷地内にホテルがあり、 利便性も高い。車椅子競技に関しては千葉市が拠点になる可能性があります。あ と数か月で20年パラリンピックの会場も決定しますが、そうなると千葉市がし なければならないことも見えてきます。注目されるようなチームが合宿に来てく れるようになればいいのですが。

2015年10月28日    オーヴォ


県立図書館で読書バリアフリー研究会

2015年10月30日 02時32分18秒 | 障害者の自立

読書の喜び障害者にも 電子図書の活用法学ぶ

■音声、色で読みやすく

 障害がある子どもたちに読書の喜びを伝えようと、県内では初めての「読書バリアフリー研究会」が25日、佐賀市の県立図書館で開かれた。県内外の学校・福祉関係者ら約40人が、音声を聞きながら文字の大きさや色を変更できる電子図書「マルチメディア・デイジー図書」の活用法などについて学んだ。

 伊藤忠記念財団(東京)は2010年から児童書を電子化し、全国の図書館や学校、福祉施設に無償で提供。パソコンや情報端末「iPad」で閲覧できる。研究会には同財団の担当者も出席し、音読に従って文章や絵を表示でき、読んでいる箇所を色で強調できる電子図書の特長を紹介した。

 視覚障害者は字が小さく見えたり、白地の紙がまぶしく見えるといい、発達障害がある人は文字からの情報入手が苦手といわれる。これらを背景に、文科省による2012年の調査では小・中学生の2・4%が、紙に書かれた本を読むことが困難としている。担当者は「電子図書の利点を知らない人が多い。公立図書館などで利用普及を図り、障害者の読書機会を増やしたい」とアピールした。

 研究会ではほかに鳥取大附属特別支援学校の児島陽子教諭らが学校図書館の取り組みや学習障害、バリアフリー図書について講演。障害がある子どもの読書環境を向上させる取り組みや課題を探った。

「マルチメディア・デイジー図書」を体験する参加者たち

2015年10月29日    佐賀新聞