◇琴の浦クラブ わかやま大会県代表7人
24日に開幕する第15回全国障害者スポーツ大会「紀の国わかやま大会」の車椅子バスケットボール競技の県代表チームに、県内唯一のチーム「琴の浦バスケットボールクラブ」(和歌山市)から7人が選出された。車椅子同士の激しい接触プレーから“格闘技”と評されることもあるが、健常者と障害者が同じルールで楽しめる競技でもあるといい、メンバーらは「地元開催の全国大会で、車椅子バスケに注目が集まってほしい」と期待をかけ、練習に熱を込めている。(下村公美)
車椅子バスケはダブルドリブルがないことなどを除き、コートの広さやリングの高さ、ボール、人数(1チーム5人)などは一般のバスケと同じ。戦力の均衡を図るため、障害の程度によって選手一人につき1・0~4・5の持ち点が与えられ、チームの合計点数が14点以下になるようにチームを編成する。
スピード感のある試合展開や、車輪の操作や体重移動を駆使した切れのあるターンなど選手のテクニックが見所。全国障害者スポーツ大会では規定で不可能だが、健常者が出場できる試合もあるという。
同クラブは、約40年前に結成され、現在は健常者を含む20歳~50歳代の男女約15人が所属。週2回、午後7時から2時間、和歌山市毛見の県子ども・女性・障害者相談センター体育館でメンバーが汗を流している。
同クラブのキャプテンで、わかやま大会で県代表にも選出された山下敦美さん(43)(和歌山市)は18歳の時、友人の運転する車に同乗していて交通事故に遭った。下半身が不自由となり、しばらくはつえなど支えを利用しながら歩くこともできたが、加齢による筋力の低下などで31歳の時、車椅子に乗るようになった。
体を動かすストレス解消法を探していたとき、勤務先の同僚で、現在のチームメートでもある風呂川和生さん(50)(海南市)に勧められて同クラブの見学に訪れた。
スポーツの経験はなかったが、車椅子でコートを疾走する爽快さが心地よく、すぐにのめりこんでいった。ポジションはセンター。攻守の要として、最初から最後までコート内を走り回るスタミナが持ち味で、2013年からはチームのキャプテンを務める。
同クラブは、昨年から県内の小中学校に出向いて子どもたちに車椅子バスケを体験してもらう取り組みもしているが、わかやま大会は競技の魅力をPRする大きなチャンス。山下さんは「健常者も障害者も、一緒にプレーできる仲間が増えればうれしい」と最終調整に余念がない。

練習に励む「琴の浦バスケットボールクラブ」のメンバー
2015年10月24日 Copyright © The Yomiuri Shimbun