ともに大病を克服した下関市菊川町下大野の先本琢男さん(75)と妻みす江さん(67)夫婦が、「前向きに生きたい」との思いで自宅を改装したカフェレストランが今月、開店から丸3年を迎えた。夫婦の温かい人柄と、自家栽培の野菜を使ったメニューが評判だ。「『おいしかった』という客の言葉を励みに、細く長く続けたい」と口をそろえる。
店名は「森の中のテラスオープンカフェ菜の葉」。イノシシも顔を見せる自然豊かな環境にある。大根、ゴボウなど旬の野菜や魚を生かした日替わりランチ(デザート・飲み物付きで800円)や、ピザセット(500円)などを提供。みす江さんは調理、琢男さんは野菜栽培や接客などを担当する。
開店は、障害者施設で指導員としてパンなどを焼いていたみす江さんが、趣味の料理を生かそうと温めてきた計画だった。ところが、2011年に乳がんが発覚。琢男さんも心筋梗塞を患い、2度の手術を経験した。2人は夢の成就を希望に、闘病を続けた。
12年春に体調が戻り、自宅の改修を開始。半年間かけて、台所の拡張や子供部屋の改造などを終え、同年12月の開店にこぎ着けた。
開店直後から、女性客を中心に口コミやインターネットで評判が広がり、市外からも客が訪れる。常連客で近くに住む手嶋真二さん(73)は「もてなしの心を感じる」と魅力を話す。
夫婦はレストラン営業だけでなく、住民が集うサロンやパン教室も主宰し、多忙な日々を送る。「楽しむのが長続きの秘けつ」と琢男さん。みす江さんも「新たな仲間もできた。地域のにぎわい作りにも役立ちたい」と笑顔を見せる。
営業は木~日曜の午前11時~午後3時。座席は座敷を含め20席で予約制。年内は27日まで、年始は1月7日から。問い合わせは同店(083・287・2431)へ。

笑顔を見せるみす江さん(右)と琢男さん(右から2人目)の夫婦
2015年12月26日 Copyright © The Yomiuri Shimbun