ゴエモンのつぶやき

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抱え上げない入浴ケア 障害者施設で脱衣所と浴室にリフトを設置

2015年12月04日 03時28分37秒 | 障害者の自立

 千葉県佐倉市の障害者施設「重心通所さくら」(竹内耕所長)は、脱衣所と浴室にリフトを設置することで、個々の利用者の希望や残存能力に応じた入浴ケアを提供している。機械浴槽を使わずに行う抱え上げないケアは、利用者と職員の負担を大幅に軽減。ケアの質の向上にリフトは不可欠な存在になっている。

  社会福祉法人生活クラブ風の村が運営する「さくら」は、定員20人(生活介護15人、児童発達支援・放課後等デイサービス5人)の通所施設。佐倉市と四街道市を中心とする重症心身障害児者保護者の会の「学校卒業後に適切な生活の場がほしい」という要望を受け、2013年7月に開所した。生活介護等は約50人と契約し、毎日10~15人が利用。同法人の基本理念である「一人ひとりの個性と尊厳を大切に質の高い支援を目指す」を方針に、毎回利用者の希望を聞き、職員が1対1でリラクゼーションやパソコン、音楽活動などを支援している。

  リフト導入は、2年間の施設建設準備中に法人役職員や行政、保護者の会のメンバーなどが協議して決めた。同法人は、残存能力を損なう恐れがあり画一的な入浴方法になりがちな機械浴槽を特別養護老人ホームでも使用せず、リフト導入にも慎重だった。しかし、安全・安楽なケアや残存能力を損なわないケアにはリフトが必要と判断。脱衣所と浴室に導入した。

  リフトは4社の製品を比較検討した結果、脱衣所と浴室の壁にレールを通す工事が要らず、浴室から脱衣所への湿気漏れも防止できる㈱竹虎の鴨居を渡る天井走行式リフト「かるがる®Ⅲ」に決めた。

  利用者の希望を尊重する「さくら」では、入浴ケアの際も、利用者と話し合って湯温や入湯時間、リフトを使う場所・回数を決めている。

抱えられる方が怖い

  例えば、毎週1回入浴する筋ジストロフィーの間貴洸さん(21)の場合、38度の湯船に5~6分つかる。リフトは車いすから脱衣台に移る時、脱衣して浴室に移る時、浴室の床に敷いたマット上で体と頭を洗った後に浴槽に入る時、浴槽から出て体を拭き脱衣台に移る時、脱衣台から車いすに戻る時に使う。

 体と頭を洗った後に浴槽に入る  

 

脱衣して浴室に移る

体と頭を洗った後に浴槽に入る

  間さんは身長160㌢、体重55㌔。座位が不安定で、男性2人でも抱え上げが難しく、転倒の危険があるため、すべての行程でリフトを使っている。「ここで初めてリフトを使った。最初は怖かったが、今は体も楽で怖くない。抱えられる方が滑って怖い」と話す。

  一方、座位が安定し車いすから脱衣台へ平行移乗できる人は、脱衣後シャワー椅子に移り、浴室に移動し体や頭を洗浄。浴槽への出入りだけリフトを使うなど残存能力を損なわない配慮をしている。また、機械浴槽を使わない分、安全面には最大の注意を払い、移乗・入湯時は必ず2人が付いて体を支えたり、シンエイテクノ㈱の滑らない風呂マット「ダイヤエース」を浴槽の底部に敷いたりするなど工夫している。

  個々の希望に応えるため、1人当たりの入浴時間は平均50分。湯船にゆっくりつかる人が多く、1日の入浴者は午前2人、午後2人が限界だという。「リフトは利用者に合わせ柔軟な使い方ができる。職員の負担軽減にも役立っており、リフトがないと困る」と竹内所長は話す。

  「さくら」では、リラクゼーションなどの場でも寄贈された床走行式リフトを使い、抱え上げない環境を整えており、「今後の課題は脱衣台の高さ調整。車いすや便座への平行移動を考え高さを決めたが、介護者に合わせ高さを変えられたらもっと負担軽減できる」という。

  機械浴槽を使いながらも脱衣所では人力による抱え上げをしている施設が多い中、抱え上げないケアができる環境をつくり、柔軟に使い分けている「さくら」の取り組みには、利用者の個性と尊厳を守る強い気概が感じられる。

2015年1203日    福祉新聞編集部


障がい者差別の解消 自治体は対応要領づくり急げ

2015年12月04日 03時24分52秒 | 障害者の自立

きょう3日から9日までは「障害者週間」。各地で障がいのある人の社会参画を促すための啓発活動が行われる。障がいがあっても自立し、共生できる社会づくりを進めなければならない。

折しも今、障がいを理由とした差別を禁止する「障害者差別解消法」が来年4月から施行されるため、施行に向けた準備が進められている。

差別解消法は、国や自治体、民間事業者に、「障がいのため、窓口対応の順番を後回しされた」などの差別的な取り扱いを禁止する。併せて、「目や手が不自由な人のために代読や代筆をする」「意思疎通が苦手な人に絵カードを活用する」といった個別の状況に応じた配慮を可能な範囲で行うことも求めている。こうしたことは、障がい者の活躍の場を広げる上で欠かせない配慮だろう。

そのため、差別解消法は、どのような場合に、どんな手助けが必要なのか、行政機関に差別の考え方や具体的な事例を明示する対応要領を策定するよう定めている。

法律上、国は必ず要領の策定を行わなければならないことから、政府レベルでは策定作業が進んでおり、全省庁の対応要領が近く出そろう見通しである。しかし、自治体は努力義務にとどまるため、策定できるのか、法施行に間に合うのかと懸念されている。

自治体は、策定作業を急ぐ必要がある。未策定の自治体があれば、公明党の地方議員も応援して、進めてもらいたい。国も、自治体にノウハウの助言や担当職員向けの研修会の開催などを後押ししていくべきだ。

ちなみに愛知県は、県職員の対応要領の策定を義務化する内容を盛り込んだ条例案を12月定例議会に提出している。策定を条例で義務化する措置は、全国の都道府県で初めてだが、差別解消に意欲的に取り組む姿勢が伝わってくる。

一方、各省庁では、主な事業分野別に民間事業者向けのガイドライン(指針)の策定を進めている。業界団体などとの連携を強化し、少しでも多くの事業者が指針に沿った取り組みができるようにすることも必要だ。官民を挙げて、差別解消に向けた対応に万全を期したい。

公明新聞:2015年12月3日


録音図書、自宅でも楽しんで

2015年12月04日 03時08分28秒 | 障害者の自立

朗読再生機器を視覚障害者に貸し出し 北海道・苫小牧市立中央図書館

 【苫小牧】苫小牧市立中央図書館は視覚障害者用の朗読ディスク「デイジー」の再生専用機器3台の貸し出しを、1日から始めた。専用機器は館内利用に限っていたが、より利便性を高めようと実施。同館は「たくさんの人が読書を楽しむ機会をできる限りサポートしたい。積極的に利用して」と呼び掛けている。

 来年4月に施行される障害者差別解消法に合わせた取り組み。デイジーは視覚障害者や、読書が困難な人向けのカセットテープに代わる録音図書で、ページや小見出し、段落などの音声案内が付いているため、聞きたい部分に簡単に飛べるようになっている。

 同館で所蔵するデイジーは現在、湊かなえや宮部みゆきの現代小説から、池波正太郎の時代小説など計214タイトルで、図書と同様に貸し出している。専用機器は2010年に導入し、館内でデイジーを聞く際に利用できた。

 機器は1台3万円以上と高価だが、今回の貸し出し開始で、購入しなくても自宅で利用できるようになる。同館の溝江恵美司書は「視覚などに障害がある人にも、読書を楽しんでもらいたい」と話している。

 機器の貸し出し対象は個人で、視覚障害者手帳1~6級か、読書が困難だと確認できることが条件。貸し出しは2週間で、他の利用希望者がいなければ最長30日まで借りられる。図書館カウンターで登録が必要だが、代理人でも可。問い合わせは同館(電)0144・35・0511へ。

12/02    北海道新聞


点字カレンダー役立てて 七尾のサークル 2女性が取り組む

2015年12月04日 02時59分40秒 | 障害者の自立

 七尾市で、二月に二人だけの女性で立ち上げた点字ボランティアサークル「点字マスターズ」が、初めての視覚障害者向けのカレンダー作りに取り組んでいる。「地域の点字利用者の役に立ちたい」と結成。市社会福祉協議会のボランティアセンターに唯一登録する点字サークルで、完成品は市視覚障害者協会に寄付する予定だ。(松村真一郎)

 二人は、同市白馬町の徳田晴子さん(59)と同市南ケ丘町の石間滋子さん(65)。二人ともボランティア活動に関心があり、発足前に各自で通信講座などで点字を学んでいた。二月に市社会福祉協議会が主催した点字体験講座で飛び入りで参加し、知り合った。講座の中で、講師役の点字指導員北村正毅さん(金沢市)から「七尾に点字サークルがない」という言葉を聞き、「やってみようか」と共通の思いを持った。

 二人は、市視覚障害者協会が市内の視覚障害者とカラオケで交流を深めていることを知り、視覚障害者の楽しみを増やそうと、十一月には歌詞を点訳したカラオケ歌詞集二冊を作成。代表の徳田さんは「何度も間違えて、そのたびに修正を繰り返した」という労作で、市の社会福祉協議会と視覚障害者協会に贈った。

 活動の第二弾となる点字カレンダーは、B5サイズの専用用紙に点字で数字と曜日を打ち込む。月ごとに七尾市と中能登町の祭りや花火大会などのイベントも盛り込み、利用者が地域の楽しみをいつでも把握できるように工夫を凝らす。十二月末までに完成部数を積み上げていくという。

 市内には約二百人の視覚障害者がおり、今後も多様な点字媒体のニーズがあるとみている。徳田さんは「これからも利用者の希望に合わせて、さまざまなものを作っていきたい」と笑顔で話す。サークルは、現在会員を募集している。入会希望者は、徳田さん=電090(2377)2233=へ。

点字カレンダー作りに取り組む徳田晴子さん(左)と石間滋子さん

2015年12月3日  中日新聞


ハンドバイクの聖地へ 若林巡る

2015年12月04日 02時54分12秒 | 障害者の自立

◎荒井駅付近にレンタル拠点/名所周遊コースを検討

 平たんな土地が広がる仙台市若林区を手こぎ式三輪自転車「ハンドバイク」の「聖地」にしようと、東北ハンドバイク協会(巴雅人代表)がPRしている。6日に開業する市地下鉄東西線の荒井駅付近にレンタサイクルの拠点を置き、東日本大震災の被災地などを巡るコースを設定しようという構想だ。

 11月23日には愛好家約15人が集まって被災した荒浜周辺を試験走行。津波の爪痕や復興の様子を見て回った。
 ハンドバイクには、専用車のほかにも車椅子にハンドル兼用のペダルと駆動輪を取り付けるタイプがある。変速機や電動アシスト機能を組み合わせることで障害者やお年寄りでも楽に操縦できるのが特徴だ。
 「若林区は土地が平らでハンドバイクとの相性がいい」と巴代表。「車からでは見落としてしまいがちな景色も、ハンドバイクなら自分のペースでゆっくり楽しめる」とその魅力を語る。
 協会では既に貸し出し用バイク4台を準備。荒井駅付近を起点に陸奥国分寺の桜、卸町のイチョウ並木など若林区に点在する四季折々の名所を巡るコースを検討中だ。「荒浜をコースに組み入れ、津波の被害をハンドバイクから間近に見つめてほしい」(協会)
 来春には全国の愛好家に呼び掛け、ハンドバイクと自転車で若林区内を周回する「ツール・ド・若林」(約36キロ)の開催も予定している。
 巴代表は「ハンドバイクは障害者の行動範囲拡大と健康維持にも役立つ。障害者も自由に若林区を駆け巡ることができるようレンタル事業の準備を進めていきたい」と意欲的だ。
 連絡先は巴代表022(289)9603。

ハンドバイク仲間が集まった若林区荒浜地区での試験走行

2015年12月03日    河北新報