伊豆市の日本サイクルスポーツセンターで30日から来月1日まで、日本初となる国際自転車連合公認の障害者自転車競技国際大会「ジャパンパラサイクリングカップ」が開催される。大会を支える関係者や選手にとって初の“ホーム”での国際試合。「日本人の活躍や競技の魅力を多くの人に見てもらいたい」―。認知度向上への願いも込め、大会に臨む。
出場するのはアジアや欧州の8カ国39人。日本からは今年の世界選手権の金メダリスト藤田征樹選手(30)ら14人が参加。中国やポーランドなどからも世界選手権の優勝経験者が名を連ね、レベルの高い大会となりそうだ。30、31日にトラック、1日にロードの各競技を行う。
会場となる同センターは、整った練習環境を求めて普段から全国各地の選手がやって来る。大会を主催する日本パラサイクリング連盟の権丈泰巳理事長(43)は2月、選手強化や東京五輪を見据えた競技普及のため伊豆の国市に転居し、連盟の拠点を移した。福岡県に妻子を残し、経営する会社も売却。同市内にマンションを借りた。選手が滞在できる部屋を用意し、管理栄養士による食事指導なども手配する。
権丈理事長を突き動かすのは、前向きに競技に取り組む選手の姿。大学1年の時、所属する日本大自転車部で視覚障害者用の2人乗り自転車のサポートをして以来、関わりを続けてきた。「それぞれにつらい経験があっても懸命に打ち込んでいる。見ていてぐっとくる」と選手に温かいまなざしを向ける。
選手も競技への強い思いを語る。浜松市出身の大城竜之選手(44)=東京都=は「視覚障害の自分でも自転車ができる。工夫と熱意で走る姿を見てほしい」。視覚障害の鹿沼由理恵選手(34)=同=も「海外の試合は結果しか伝わらない。今回は間近で感じてもらえる」と、関心が広がることを願っている。
<メモ>パラサイクリング 障害者の自転車競技。障害の種類と使用する自転車によって四つの区分に分かれ、さらに障害の度合いで計13のクラスに分類される。障害の種類は大まかに四肢障害(切断、機能障害)、脳性まひ、視覚障害、下半身不随がある。種目は、トラックがタイムトライアル、パーシュート(追い抜き競走)、チームスプリントなど、ロードはタイムトライアル、チームリレー。
大会に向けて練習を重ねる出場選手=27日午後、
2015/10/29 @S[アットエス] by 静岡新聞