日本語の言葉に漢字をあてるということがある。当て字、借り字ともいう。日本語を漢字で書く場合に、漢字の音や訓を、その字の意味に関係なく当てる漢字の使い方として、狭義には、古くから慣用の久しいものについて、目出度し めでたし と用いることを言う。デジタル大辞泉より。借り字は、意味に関係なく、音または訓の同じものをあてて用いた文字、宛字とも書く。日本国語大辞典より。また、当てる 充てる 宛てる 中てる と、いずれも、あてる であるが、字義によって異なる用い方をする。たとえば、大辞泉で次のようである。(充てる)全体の一部をそのために使う。「余暇を読書に―・てる」「ボーナスを旅費に―・てる」。(宛てる)相手に向ける。「母に―・てて手紙を書く」 このように、当てる という言葉は、いくつかの意味を漢字表記することによって書き分けることができる。それをまた、当て字 という語になったときには、熟合して、言葉の意味が加わる。 . . . 本文を読む
そら 空 を宛てる。日本国語大辞典では、空間・場所・位置などの上の方をいう、として、地上の上方で、神の世界と想像した天より下の空間、虚空、中天、転じて、地上の上方に広がる空間全体をさしていう、古くは、あめ 天 が天上の神々の生活する世界を想定しているのに対して、より現実的な空間をいうと考えられる、と説明する。*古事記〔712〕中・歌謡「浅小竹原(あさじのはら) 腰泥(なづ)む 蘇良(ソラ)は行かず 足よ行くな」
*万葉〔8C後〕一四・三四二五「下つ毛野安蘇の河原よ石踏まず蘇良(ソラ)ゆと来ぬよ汝が心告(の)れ〈東歌・下野〉」日本大百科全書ニッポニカは、戸外で仰ぐときに目に入る地物・海洋・生物・天体以外の部分を、空といっている、天空ともいう、と述べる。フリー百科事典ウイキペディアは、天空ともいう地上から見上げたときに頭上にひろがる空間のこと、天、と述べる。空字の読みについて、字通によれば、古訓 名義抄 空 ムナシ・ウツボ・キハム・オホキナリ・ソラ・クハタツ・オホソラ・アナ・ウツケタリ と見える。
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日治か 日拠か 台湾、日本の植民地支配どう表記 朝日新聞コラムの、世界初2013の見出しである。リードには、戦前50年、日本に植民地支配された時代を何と呼ぶか。台湾で最近、議論が起きた、と言う。議論は民間出版社、史記文化事業が新たに作った高校1年向けの3種類の歴史教科書で、日本の植民地統治を日拠と記したのがきっかけだ、と記事は報じている。。日拠には日本の軍事占拠や不法な占拠といった意味合いがあるようだ。台湾における日本統治時代の呼称に、日拠、日本占拠あ時代と、日治、日本統治時代があり、その使われ方には台湾の歴史を見る歴史観にかかわる。すなわち、日拠を用いるのは大陸中国のもの、日治を用いるのは台湾独立史観のも、いずれもイデオロギーにかかわる。日清戦争後の1895年から1945年まで下関条約による日本統治の時代があった。1949年には大陸中国で国民党が敗れ台北に逃れ、台湾と日本とは日華平和条約を調印している。1972年に日台断交、これは日中国交正常化による。 . . . 本文を読む
日本語表記には文字体系が2つあることによって融通している。漢字文字と仮名文字とである。固有の日本語を表わすのにそれぞれ書き分けをしている。名詞の多くは文字にした、漢語からとり入れた漢字の字音語と、固有の仮名専用で表すことのできる語とで、この2つについては原則、そのままに表すことができる。それに対して、漢字を訓読みして語を活用させるとその語尾に漢字と仮名を交えて書くようになったので、仮名を送るように書き表してきた。訓読みは仮名専用の語でもあるが、漢字表記に加えるようになって、名詞のほかの語に用いられる。そして仮名専用で言えば文法的な機能を持つ辞について、助詞助動詞の類をはじめとして文字に表した。日本語発音に従って文字を書くと、漢字と仮名の連続になる。仮名はカタカナが用いられてきたが、1945年を境にして、太平洋戦争後は、学習指導要領の制定により、日本の学校教育で平仮名が最初に教えられるようになったので、平仮名が使われるようになる。 . . . 本文を読む
日本誤百科 50ページ 私では役不足 を、表題にしている。役不足 の意味内容の取り違っていると解説する。これもまた文化庁の調査が引き起こす例である。辞書の解説に載せるので広まりつづけること、世間に知らしめる役目の不足である。 >[補説]文化庁が発表した平成18年度「国語に関する世論調査」では、「彼には役不足の仕事だ」を、本来の意味である「本人の力量に対して役目が軽すぎること」で使う人が40.3パーセント、間違った意味「本人の力量に対して役目が重すぎること」で使う人が50.3パーセントと、逆転した結果が出ている。 この解説でわかることは、本人の力量がどれくらいかを説明していないことであるので、役目が軽すぎるのは、重いのか、軽いのかわからない。どうしてこういう説明をするのか、こういう説明で済ませられると考えているのか、不可思議である。 . . . 本文を読む
ほし 星 を宛てる。字通に引用する古訓に、>
〔和名抄〕星 保之(ほし) 〔名義抄〕星 ホシ・ハル 〔篇立〕星 ヒハレタリ・ホシ 〔字鏡集〕星 ヨハヒホシ・ホシ・ハレタリ と見える。星についての観測は倭名類聚抄に記すその名からあったようである。日本百科全書ニッポニカの説明から、 >平安時代の中期、源順(みなもとのしたごう)が著した『倭名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)』のなかには「日、陽烏(やたがらす)、月、弦(ゆみはり)月、満月、暈(かさ)、星、明星(あかほし)、長庚(ゆうつづ)、牽牛(ひこぼし)、織女(たなばたつめ)、流星(よばいぼし)、彗星(ははきぼし)、昴星(すばるぼし)、天河(あまのかわ)」の15項目がある。陽烏は太陽、明星は木星、長庚は金星である。清少納言(せいしょうなごん)の『枕草子(まくらのそうし)』には「星はすばる、ひこぼし、夕づつ。よばい星少しおかし、尾だになからましかば、まいて」とある。 . . . 本文を読む
国連事務総長が会見「適切な機会に訪朝」=日本にも言及
国連総長がソウルの外交部庁舎で記者会見を行い、発言したニュースに、日本政府に批判をする内容があったと報じる。聯合ニュースでは、適切な機会に北朝鮮当局、韓国政府と協議し、訪朝問題を検討するとの考えを示したとある。そして、歴史認識問題をめぐる韓国、日本、中国の対立について政治指導者らが虚心坦懐に、正しい認識に基づいて未来志向的に解決していかなければならないと述べた。 >歴史認識問題をめぐる韓国、日本、中国の対立については「歴史認識問題やその他の政治的理由により緊張関係が続いていることを遺憾に思う」と述べた。これらの問題は政治指導者らが虚心坦懐(たんかい)に、正しい認識に基づいて未来志向的に解決していかなければならないと強調した。
日本の平和憲法改正の動きに対する国連の立場を問う質問には「今後、歴史をどのように認識し、正しい歴史が未来志向的な国家関係をどのように維持できるか、こうしたことに対する日本の政治指導者らの深い省察と国際的な未来のビジョンが必要だ」と答えた。 . . . 本文を読む
つき 月 を宛てる。次は、日本国語大辞典の引用である。
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二七・三二日で自転しながら、約二九・五三日で地球を一周し、その間、新月・上弦・満月・下弦の順に満ち欠けする。太陽とともに人間に親しい天体で、その運行に基づいて暦が作られ、神話、伝説、詩歌などの素材ともされる。日本では「花鳥風月」「雪月花」などと、自然美の代表とされ、特に秋の月をさすことが多い。太陽に対して太陰ともいう。つく。つくよ。月輪。また、ある天体の衛星のこともいう。 . . . 本文を読む
運行が見合わされている を例題にしている。見合わす という動詞が現代では使われなくなっているので、この語法は不適だと解説する。おそらくコラムの解説者が見る辞書で、文語形とあることから、現代では使われないとするのだろう。この解説の内容では辞書によってなぜかこのような取り上げ方がある。現在、使われなくなるということはその用例の記載もないということになるが、それはそうではないので、用例を検索してみるべきであろう。見合わせ 見合わせて 見合わす 見合わされて などの表現上に違いを解釈するか、また、コラムの言うように、見合わせられている という受け身の解釈が可能か、意味内容の読み取りに注意がいるようである . . . 本文を読む
文字の使い分けはことばとともにある。漢字を取り入れた日本語は文字がことばであることをまなび、日本語発音をどう表記するか、仮名を工夫して文字として用いた。その文字に応じて言葉が書き表された。ことは が、言葉となる。漢字を用いて表された日本語は字音語と呼ばれて日本語発音で表される。ことは ことのは ことば となる。
文字を宛てるのは表記上の読みが日本語であってそれを読み慣わす。国号について固有名であるところから、やまと を倭または和に宛てて表記し、大和と書き表して、やまと のことばが、大和となる。それをまた、日本 として文字を宛てると、やまと の表記には、日本が宛てられるが、この表記の使用は限られていたが、日本国王と表されたりもした。 . . . 本文を読む