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横須賀総合医療センター心臓血管外科

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地域医療における心臓血管外科の緊急手術

2020-06-22 09:35:37 | 心臓病の治療
 心臓血管外科の緊急手術の代表は、急性大動脈解離や大動脈瘤破裂などのその場で治療しないと救命出来ない症例です。急性心筋梗塞や各種の急性心不全などの少し病態を立て直したり、循環補助装置を装着したりして少し時間的な余裕のある緊急手術もありますが、基本的に一刻を争う緊急手術が心臓血管外科の仕事というものです。
 さて、この緊急手術を行うためには多くの人的、物的資源の同時投入が必要です。外科医だけでなく麻酔科医、臨床工学技士、看護師、入院ベッド、また輸血を緊急手配する検査科、緊急の検査を対応する放射線科技師など。これら全てがそろって初めて患者さんは救命するための手術台に載ることが出来ます。
 この中で、最も障害となるのは手術室および施術室スタッフの確保です。他の緊急手術や、定時手術で手術室やスタッフが埋まってたら、いくら心臓血管外科医がそろっていても手術は出来ません。また、執刀する心臓血管外科医が手術中で、まだ目処が立っていない時点でも受け入れはできません。まさに緊急手術は病院の総力戦であり、その総合力が問われるものです。
 しかしながら、一つの病院で緊急手術が常に複数列出来る体制を維持するには、それなりの病院の規模、患者数も必要となるので、多くの施設では緊急枠は通常1列のみです。その中で、地域の人たちの命をどうやって守っていくか、これは病院間の連携が必要です。幸い、横須賀市には横須賀市立うわまち病院意外に横須賀共済病院も緊急手術の受け入れが可能ですので、基本的に横須賀地区の地域で心臓血管外科の緊急手術は簡潔できています。実際に横須賀共済病院からうわまち病院へ緊急手術のために転送される場合もありますし、逆にうわまち病院から共済病院に転送することで一刻も早く救命処置が出来る場合もあります。地域の救急においては、医療機関どうしの連携が非常に重要です。
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