外巻弁はステントの外側に生体弁の弁膜を張ることで弁口面積が大きくとれるというメリットがありますが、早期に壊れる症例があるので使用しないとする施設も多いと思います。外巻弁には大きく、アボット社のトライフェクタ、リヴァノバ者のクラウンがあります、また、クラウンの前モデルとしてマイトロフローというものも数年前までありました。
マイトロフローは当時、イタリアのソーリン社が作った外巻弁で、筆者も2014年に多く使用経験がありますが、幸い早期の弁機能不全症例は今のところ聞いていません。またマイトロフローの改良版のクラウン弁も現病院で使用経験がありますが、こちらの弁も現時点で2016年から30例以上移植していますが、現時点では弁機能不全はなく、外巻弁でもTrifectaのように早期弁機能不全は起きないと思っていました。しかしながら前々回の胸部外科学会関東甲信越地方会でマイトロフローの早期弁機能不全の発表があり、会場からも早期弁機能不全の経験があるという医師も多数いて議論となり、やはりTrifectaに限らず、マイトロフロー、クラウン共に外巻弁は弁の可動範囲が大きいことで弁口面積が大きくなる一方、その分、弁膜にかかるストレスが大きくなって壊れやすくなるのではないか、という認識が一般化しているものと思われました。先週も都内の病院で、クラウン弁移植後の再弁置換手術を実施した施設があり、その部長に直接話を聞いたところ、3年ほどで再手術となったということでした。
マイトロフロー、クラウンの最もいい点は、同じサイズでも実際の弁の大きさが最小であることです。特に19mm弁は現存する人工弁で最も小さく、一番小さい機会弁よりも小さいので、狭小弁のため機会弁しか入れられない、という事態が発生しなくなりました(この弁の使用経験がない施設ではいまだに狭小弁という理由で機会弁を縫着したという話を聞きますが。)マイトロフロー自体はその意味で筆者の印象としては悪くありませんが、他施設での評判としては外巻弁は早期に壊れる症例がある、という点で現時点では評判がいいとは言えず、使われる頻度も少ない生体弁と言えます。です。
マイトロフローは当時、イタリアのソーリン社が作った外巻弁で、筆者も2014年に多く使用経験がありますが、幸い早期の弁機能不全症例は今のところ聞いていません。またマイトロフローの改良版のクラウン弁も現病院で使用経験がありますが、こちらの弁も現時点で2016年から30例以上移植していますが、現時点では弁機能不全はなく、外巻弁でもTrifectaのように早期弁機能不全は起きないと思っていました。しかしながら前々回の胸部外科学会関東甲信越地方会でマイトロフローの早期弁機能不全の発表があり、会場からも早期弁機能不全の経験があるという医師も多数いて議論となり、やはりTrifectaに限らず、マイトロフロー、クラウン共に外巻弁は弁の可動範囲が大きいことで弁口面積が大きくなる一方、その分、弁膜にかかるストレスが大きくなって壊れやすくなるのではないか、という認識が一般化しているものと思われました。先週も都内の病院で、クラウン弁移植後の再弁置換手術を実施した施設があり、その部長に直接話を聞いたところ、3年ほどで再手術となったということでした。
マイトロフロー、クラウンの最もいい点は、同じサイズでも実際の弁の大きさが最小であることです。特に19mm弁は現存する人工弁で最も小さく、一番小さい機会弁よりも小さいので、狭小弁のため機会弁しか入れられない、という事態が発生しなくなりました(この弁の使用経験がない施設ではいまだに狭小弁という理由で機会弁を縫着したという話を聞きますが。)マイトロフロー自体はその意味で筆者の印象としては悪くありませんが、他施設での評判としては外巻弁は早期に壊れる症例がある、という点で現時点では評判がいいとは言えず、使われる頻度も少ない生体弁と言えます。です。
その後、様子観察で状態を見ていましたが、担当のドクターが変わり、そろそろ心不全の症状が出る前に、手術を検討したほうがいいと言われました。
それで、1回目の手術を担当してくれた、ドクターに相談したところ、年齢的にも若いので、今回は機械弁をしたほうがいいと言われました。私としては、インスピリスの生体弁を考えていたのですが、迷っています。
今の弁はマイトロフローの物なので、弁の石灰化などの機能不全が、体質によるものなのか、弁によるものなのか判断しかねています。
ドクターは、体質的なものかもしれないので機械弁を薦めるということでした。しかし、今の弁がこの記事に有るような、機能不全をたまたま起こしたのであれば、もう一度インスピリスの弁で置換することも検討できるのかと思っています。
しかし、仮に10年から15年弁が持ったとしても、70過ぎから80歳前には、もう一度3回目の手術が必要になってきます。
やはり危険性は高くなると思いますので、これも迷っています。
機械弁にしたばあい、ワーファリン服用による制限とリスクも心配です。野菜がかなり制限されると聞いています。また、感染性心内膜炎のリスクも生体弁に比べると高いのではと思っています。他にも、脳梗塞や脳出血のリスクも考えます。
もしよろしければ、3回目の手術のリスクとワーファリンの副作用、現在のインスピリスの臨床評価など教えていただけると、非常に助かります。よろしくお願いします。
現在65歳未満であればガイドライン通りに機械弁での人工弁置換を推奨するのは妥当と思います。ワーファリン服用を何十年も続けている患者さんの多くは特に問題なく経過していますが、確かに時々出血のトラブルを経験するのも事実です。納豆とクロレラ、青汁は食べられなくなりますが、他の野菜などはそんなに気にしなくともいいと個人的には思っています。機械弁の患者さんは規則正しい生活が基本となると思いますし、受診も定期的にきっちりして来てくれる方が多いですので、患者さんの性格によっても機械弁と生体弁で合う合わないがあると思います。
以前にもお伝えしたとおり、当院では若年者の患者さんに関しては生体弁を希望される場合はInspirisを基本的に使用しています。他に、最近のデータとしてMedtronicのAvalusという生体弁も5年ほどのデータだったと思いますが、Inspirisと比較して同等の耐久性が証明されています。生体弁と機械弁の両方の話をすると、殆どの場合は生体弁を希望されますし、50代の自分がもし人工弁置換を受けるなら間違いなく生体弁を選択すると思います。
三回目の手術が必要になる可能性はたしかにありますが、TAVI IN SAVEが出来る可能性は充分あります。2回目、3回目の治療をどうするか、ということは学会でもテーマになっていて、結論は出ていません。それぞれの患者さんに合わせて検討していく必要があると思います。
現在はたしかMitroflow23mmだと思いますが、圧較差が上昇してきたということでしょうか。4m/sに達しても心機能、BNP、自覚症状などを総合的に診ながら再手術のタイミングを検討する必要があると思います。念のために再手術するというよりは、何らかのデータの進行などを根拠に再手術を勧めると思いますがその辺はいかがでしょうか?
across AV max velocity 476cm/s maxPG91mmHg meanPG52mmHgと今回なっています。
2D measurements EF:50.5% FS:25.9%
Simpson法:59.5%
自覚症状は、出ていないような気がします。普通に犬の散歩等日常生活を送っています。
執刀していただいたドクターは、弁の狭窄が早く進んだので、牛弁が硬くなる体質で、今回生体弁にしてもまた同じように早期に狭窄が起こるのではないかと心配しているようです。外巻弁が機能不全を起こしたとすれば、狭窄ではなく閉鎖不全になるのではとも言われました。
体質の影響も大きのでしょうか?
よろしくお願いします。
マイトロフローは外巻き弁ですが、ちょっと圧較差が大きく出やすいということも事実です。それを考慮しても人工弁通過血流速度が5m/sを超えるようなら手術が必須と思います。
それから追加ですが生体弁と機会弁とで感染性心内膜炎の頻度が変わるというエビデンスはないと思います。ほぼ同等のリスクと考えていいと思います。どちらも年間1%ほどの脳梗塞の頻度があると思います。
ご返事いただけないようなので、私の回答に何か問題があったかと思っています。
お忙しいと思います。失礼しました。
最後に一つだけご意見をお聞かせください。
先生自身の問題としてとらえ、置換した弁に狭窄が見られた場合、生体弁を選んで、2回目3回目と手術を受ける可能性がある方を選びますか?先生の心臓外科医として、もし患者になった場合の立場での考えをお聞きしたいのですが。よろしくお願いします。
自分の中では、生体弁を選択しています。更に今回の手術も含めてあと3回必要かなとも思っています。
私にとって術後のQOLを考えると、ワーファリンのリスクよりも、再手術のリスクの方が低く感じるのです。
自分の信用できるDr.にオペをしてもらえれば、特別なことが起こらなければ、何も問題がないようにも思えるからです。
また、再手術で機械弁を選んだとしたら、初めに生体弁を選んだ意味がなくなるような気もします。
今回、機械弁にすれば、特に問題がなければ再手術はないと思います。生体弁なら、今回の手術の後に少なくとも更に1回、運が悪ければ2回になるかもしれません。しかし、再手術の方が自分にとっていいように感じるのはおかしいのでしょうか?
再度返信します。
返信ありがとうございます。
私の中では、生体弁と考えています。
やはり、残された人生のQOLを考えると、ワーファリンに対してのリスクの方が再手術のリスクよりも高く感じるからです。
先生たちの努力のおかげで、心臓手術の安全性が非常に高くなったのも、その理由です。
今回2度目の手術で、生体弁を選ぶと最低でも今回を含め2回、もしかすると3回の手術になるかもしれません。
今後は、その手術に耐えられる身体づくりをしていくほうが、私にとって有意義な生活のように感じます。
執刀医の方に、自分の考えを伝えようと思っています。
質問なのですが、1回目の手術の時に執刀医から、再手術は3回も4回もしている人がいると聞きました。
手術としては、患者本人の体力や体の状態が手術成功のカギになるのでしょうか?
一つ気になるのは、血液検査で8年くらい前から、クレアチニンの数値が1.12~1.20の間で常に変動していることです。45歳の時は1.00前後でした。
この数値も劣化の原因と考えらるのでしょうか?
色々と、ご返事できにくいような内容を質問してすみませんでした。本当にありがとうございました。